表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偏愛霊  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/93

第23話 膨らむ不安

 俺は地面に落ちたハチマキを見つめる。


「え、これって……」


「霊に捕捉されたようだ。それが新村美夜子さんか、或いは自殺神社なのかは不明だがね」


「どっちがマシですか……?」


「死因が異なるくらいじゃないかな」


 最低な答えだった。

 しかし、それが真実なのだろう。

 どちらも嫌なのでとにかく急ぐしかない。


 目の前の鳥居は不自然なほどに真新しく、暗闇でもくっきりと見えた。

 色味は毒々しいほどに赤く、塗りたてのようなぬめりがある。

 その様相を眺めていると棺崎が警告してきた。


「鳥居には触れない方がいい。彼らのように影響を受けかねないからね」


 棺崎がスマホのライトで地面を照らす。

 草むらに紛れるように人間の死体が積み重なっていた。

 俺は「うわぁっ」と声を上げて腰を抜かす。

 隣りにいた安藤はやはり冷静で、屈んで死体を調べている。


「すべて自殺していますね。異様な光景です」


「自殺神社の力はかなり強大らしい。気を引き締めないと仲間入りしそうだ」


 棺崎の案内で俺達は鳥居をくぐり、石階段を上がっていく。

 辺りには甘ったるい腐臭が立ち込めていた。

 吐きそうになるのを堪えて黙々と足を動かす。


 石階段の途中にはぽつぽつと死体が倒れていた。

 彼らは枝を喉や手首に刺して死んでいる。

 ベルトで首を吊っている者もいた。

 いつから放置されているのか、白骨死体も少なくなかった。

 近付けば自殺してしまうので誰も片付けることができないのだろう。


 階段を上がり始めてから数分後。

 首から提げた身代わり人形がいつの間にか自殺していた。

 人形は破れた腹に手を突っ込み、中に詰めた綿を引きずり出している。


 人形を見た棺崎はあっさりと言う。


「意外と耐えたね。もう効果はないから捨てていいよ」


「これが最後のオプションだったんですけど……」


「残念だね。あとは自力で身を守るしかない」


 非情な言葉に俺は唇を噛む。

 ふつふつと焦りが膨らむも、何かできるわけでもなかった。


 ひとまず闇金の事務所から盗んできた拳銃を取り出す。

 確認したら何発か弾が残っていた。

 移動中、安藤に使い方を聞いたので撃つこともできる。


(こんなものが霊に効くのか……?)


 俺は拳銃を見て不安になる。

 ただ、これでも丸腰よりは遥かに心強い。

 きっと大丈夫だと自分に言い聞かせて、俺は石階段を上り続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >「どっちがマシですか……?」 >「死因が異なるくらいじゃないかな」 >最低な答えだった。 乾いた笑いしか出ない(乾笑)。
[良い点] 身代わり人形が自殺www
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ