表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/93

第18話 心霊巡り

「心配せずとも計画は考えてある。なるべく確実性の高い方法で新村美夜子さんを仕留めるよ。そのためにまず情報を整理しよう」


 棺崎がホットドッグを齧りながら言う。

 話し合いの前に買っていたのだが、よくもあの大事故の直後に食べられるものだ。

 俺なんてすっかり食欲が失せているというのに。

 図太い神経がないと霊能力者はやれないのかもしれない。

 こちらの推察をよそに、棺崎は得意げに語る。


「新村美夜子さんの出現には条件がある。君が死体のもとへ向かう時と、第三者が君に害を及ぼそうとした時だ」


「でも自宅とかバイト先でも見ましたよ」


「その時は人が死ななかったろう。無害な出現はカウントしない。霊の行動には傾向があるが、すべてを解き明かせるわけではないからね。要点を絞って考察すべきだ」


 棺崎が白衣のポケットから日本地図を取り出した。

 それをテーブルに広げると、ボールペンで現在地に青い丸を付ける。

 さらに別の地点に赤い丸を付けた。

 そこは美夜子の死体がある場所だった。


「新村美夜子さんの出現条件を利用した作戦を考えてみた。これを見てほしい」


 棺崎は三枚の星型シールを地図に貼り付ける。

 いずれも現在地と美夜子の死体の間に収まっていた。

 俺はそれぞれの位置関係を気にしつつ尋ねる。


「このシールは何ですか」


「心霊スポットだよ。新村美夜子さんの死体に向かう途中で寄れる場所を見繕ってみた」


 心霊スポットだと。

 聞き捨てならない言葉に俺が口を挟む前に、棺崎は現在地と死体の地点を直線で結ぶ。

 確かに三つの心霊スポットは経由できる位置にあった。

 ペンを置いた棺崎は端的に宣言する。


「今から我々は心霊スポットの霊に会う。そこで君がピンチに陥れば、新村美夜子さんが現れるだろう。彼女は現地の霊と殺し合うはずだ」


「えっ……、いや、あの……正気ですか?」


「霊を殺すのは人間の狂気さ。楽しい心霊スポット巡りで新村美夜子さんを殺そうじゃないか」


 その時、背後から「あの、すみません」と声がした。

 振り向くと黒スーツの男が立っている。

 二十代でも三十代でも四十代でも通じる顔立ちで、何を考えているか分からない無表情だ。

 怪我でもしているのか、左腕はギプスで吊られている。


 男は右腕をスーツに手を差し込んで何かを取り出す。


「少しお話を伺ってもいいですか」


 俺達の前に掲げられたのは警察手帳だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ