カノジョ(仮)8
カノジョ(仮)7の続き・・・
人類が人型兵器で争うようになって約50年。
月面の土地の転売禁止から端を発する月の移住者と地球在住者の戦争の中で出逢ったナナミとミナミ。二人は地球合同軍の人型兵器のパイロットとして生死をともにした。
戦後、大戦の英雄となった少年と少女は『最強のカップル』として軍のPR活動に協力していた。特に燃えるような赤い髪とGカップのバストの持ち主ミナミちゃんは、グラビアアイドルからCDデビュー。現在は、ワールド基地慰問ツアー中。
アラスカ基地でのコンサートが有料で生配信されるので、ミナミちゃんの公私とものパートナー・ナナミ君のおごりで、宇宙用兼空母カーマストラーのカフェテリアにてパブリックビューイングがおこなわれることとなった。
堅物の新任女性副長も見に来ていた。
パソコンにつないだわりと大きいモニターに、
「みんなー」
白いプードルみたいなステージ衣装を着たミナミ少尉が映って、
「カーマストラーのみんな元気ー?ナナミ―ちゃんと見てる?もうすぐ始まるから楽しみにしててね。ナナミ―、余計な『解説』よしてよね」
モニターの真ん前にナナミは座らせていた。
ほどなく始まった。
「曲・スコルピオンとぶ」
「スカート短すぎ」
と、ナナミ。
「曲・都市をこえて」
「必殺の上目づかいに谷間」
「曲・炎のめざめ」
「バラード、百万年早いだろ」
「会場のみなさーん!」
パイロットスーツに着替えたミナミちゃんが、
「この中で、月との戦争に参戦された方は?あっ、けっこういらっしゃるのね。ミナミも月面での最終決戦まで行ったよ。月の要塞落としたのみんな知ってるわね。その時いっしょだったのは最強の機体スコルピオンGXとエースパイロットのナナミ少尉。今も新造艦カーマストラーでナナミ―とはいっしょだよ」
「ナナミ―とヤってるでしょ」
会場の声に、
「ヤッてるは置いといて、カーマストラーのみんなとナナミ―と会えなくて、あたしちょっと悲しい。そんなさびしいあたしをみなさんなぐさめて。じゃあ、心をこめて唄います『かわいがってね』」
「この女、小悪魔というより悪魔だな」
いちいちコメントするナナミに、
「うるさいぞ!ガキ」
副長はガムテープでナナミの口をふさいだ。
「アンコール!アンコール‼」
会場の声に答えて、お約束通りミナミちゃんが出てきて、
「みんなー!誰かさんみたいに、しつこーい。じゃあ、特別に最後の一曲『スコルピオンGXの歌』」
聴いて副長は、
「なんだこの歌は!2番の歌詞は、バストの自慢だろ」
「ジージージージー、Gカップ♪」
(おわり)