フレイムロード フレア 7
リクが叫んだ直後、レーザーのような黒い炎が岩を貫き、さらにソラの脇腹を貫いた。
「ハッ・・ハッ・・ハッ・・・ガハッ」
ソラは前のめりに崩れ落ちた。
「ソラーーーーーー!!」
俺はソラに向かって駆ける。すると腹に強烈な衝撃が走り吹っ飛ばされた。
リクが蹴り飛ばされたのだ。
「何してんだリク!早くソラを治療―」
「戦いの最中だ!!お前程度がしゃしゃり出て来るな!!ソラは無事だ。アリエスのおかげでな」
そうだ!ダメージを肩代わりしてるアリエスはどうなった。すぐにアリエスの方へ振り向き確認する。
「アリエッ・・・アリエーーーーース!!!!!」
アリエスも前のめりに倒れていた。腹部の辺りに血だまりが見える。だが意識はハッキリしているようだ。
「だっだい・・じょうぶ・・・カハッ・・フーーッフーーーッフーーーッ・・・大丈夫よ蓮」
「大丈夫ってそんな訳ねえだろが!」
「蓮・・動かないで。リク・・ごめんなさい」
「うむ、ソラを宜しく頼む」
リクは振り向かず答える。リクの視線はレーザーのような炎で切断された球体から動かない。その時、断面に手がかけられた。
「ようお前達やってくれたじゃねえか。ブラックファイヤートマホークを止めるなんてな。でもソラとアリエスは脱落か。やっぱり最後にやり合うのはお前と思ってたぜリク」
「フンッさっさと降りてこい。我はお前をぶちのめしたくてしょうがないのだ」
「ハハハッ面白えじゃねえか」
フレアは勢いよく穴から飛び降りる。しかし着地と同時に膝を付く。
「お前も余裕がなさそうだなワハハハハハッ」
「あぁ?ポンコツが調子に乗ってんじゃねえよ。お前なんかこの状態でも5回は殺せるぜ」
「言ってくれるではないか。それではこうしよう。我は昨日蓮が魔王とボクシングをしているのを見て以来滾ってしょうがないのだ。我達もボクシングで決着をつけようではないか」
「面白え。俺も同じ気持ちだよ!」
フレアがリクに近づいてくる。
「しかしまあ我はセコンドの方が性に合っている。お前のセコンドになってやろう」
「はぁ?てめえ何言ってンだ?本当にポンコツに―」
何かの気配を察知したフレアが振り返る。
すると破壊された石が数万の石槍に変化してすぐそこまで迫っていた。
「ウッウオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」
フレアは全力でパンチを繰り出し迎撃していく。
「まだまだ来るぞワハハハハハハハハッしっかり迎撃しろ!ハイ、ワンツーワンツー」
「てめえ!このフレア様をなめんじゃねえ!」
フレアの拳が炎を帯びる。その拳で殴ると石槍は一瞬で燃え尽きる。それだけでなく、延長線上にある石槍を燃やし尽くした。
「コラ反則だぞ!ボクシングで炎を使うとは何事だ」
「これのどこがボクシングだクソッタレがーーー!終わったらお前をBBQにしてやるからな!」
二人は軽口を叩いているが、蓮はその凄まじい攻防に圧倒される。フレアは迎撃ミスした石槍の破片が身体に突き刺さろうとも集中を切らさずパンチを繰り出す。リクは前方の攻撃に集中しているフレアの背後を石槍の軌道を変化させて狙うが、それをフレアは背中からファイヤーボールを打ち出して迎撃する。ただ数が多い。ここでも迎撃ミスから生じた破片が背中に突き刺さる。戦いは根比べの様相を見せてきた。
石槍攻撃が3分、1ラウンドほど続いた時、ついに石槍が尽きる。
「ハァーッハァーッハァーッハァーックククッリク、ボクシングは俺の勝ちだな。さてそれじゃあお前をBBQに―」
フレアが振り返ってリクを見ると、全身大火傷を負っていた。そしてついにフラつき膝を付いた。