優希の大冒険 8
それから優希はビーズで魔法を習得するたび、ケイに魔物の群れの中に放り込まれた。
「おい!そんなんじゃ賢者どころか魔法剣士にもなれんぞワハハハハハハハハッ」
「ケイ!お前を殺す!コイツ等魔法が全く効かないじゃない!」
「じゃあ剣で斬るしかないなワハハハハハッ。お前は大魔法剣士になるんだろ?」
「ああそうだな!大魔法剣士くらいならないとお前を殺せないからな!!」
「ワハハハハハッ元気があってよろしい!!さあドンドン斬れ♪」
また違う日は・・・
「優希!何やってるの、早く次の兵士の治療なさい!」
「でもまだこんなに痛がって―」
サラは優希の頬を思いっきり平手打ちする。
そして胸ぐらをつかんで言う。
「じゃああなたは隣の死にかけてる兵士をそのまま見殺しにするの?その兵士だけじゃない。今からここに大勢の怪我人が来るの。あなたのオーラで賄えないほどのね。優希、私達がすべき事は死なせないことなの!兵士達をこんな所で死なせちゃ駄目なの!愛する家族や恋人に再び会わせてあげるのよ!」
サラは優希を睨み付ける。優希はその迫力に圧倒される。
サラは優希を投げ捨て、さっきまで優希が治療していた兵士の耳元で怒鳴る。
「いい?アンタの治療はここまでよ。死ぬか死なないかはアンタの気力次第。アンタ家族か彼女はいるの?彼女がいるんだね。じゃあこんな所で死ぬんじゃない!どうしても死ぬっていうなら彼女の目の前で死にな。目の前で死ぬのと紙切れ一枚で死んだ報告をうけるのじゃ全然違うんだよ!アンタにここで死なれちゃ女を一人不幸にしちまうだろ。いや私達も迷惑するから三人不幸にする。気張るんだよ!」
そういうとサラは次の兵士の治療に移る。より多くの兵士の命を救うために最低限の治療をし、その後全員に発破をかけている。サラの治療を受けた兵士達は全員笑っている。凄い。優希は正直に思った。自分は兵士の生き残るという気力を奮い立たせることが出来なかった・・・私に出来るか。優希はサラに平手打ちされて腫れている頬を叩く。
「なに弱気になってるんだ!やるんだよ」
優希は兵士の治療に向かう。
「やあ、君はたしかミハイルだったね。家族は・・・・」