優希の大冒険 2
アリエスは笑顔のまま俺を強引に外に連れて行く。
さっきは気付かなかったが、アリエスが引っ張る方に視線を移すとクレーターのような風呂を見つけた。リクがつくったのだろう石造りの立派なものだ。
「いま湯を入れ替えるから」
「ありがとうアリエス」
アリエスが手をかざすと綺麗なお湯が溢れ出てくる。
「すげえ!一瞬で一杯になった」
「さあ蓮、早く服を脱いで」
「えっ!?いっいやアリエス、そっそれは・・・」
「脱がないと洗濯出来ないでしょ?」
「大丈夫!大丈夫だから!これまだ洗濯してから一日しか着てないし!」
「でもそれ自分の血と返り血で真っ赤じゃない?」
「デッデザインだから!こういうデザインが好きなんだよハハッハハハ・・・」
「そうなんですね」
アリエスはそう言ったまま離れようとしない。
「あっあの・・・アリエスさん?・・・入り辛いんですが・・・」
「ふふふっ気にしないで入って。そんなに汚れてちゃすぐにお湯が汚れてしまうでしょ。汚くなったら入れ替えるからどうぞどうぞ」
「あっそうなんだ~嬉しいな~ハハハッ・・・」
これは離れる気はないなと確信した俺はズボンを履いたまま風呂に飛び込んだ。
「メチャクチャ気持ちいい~~」
「そうでしょ~。入っているだけで身体も綺麗になるし、体力も回復するわ」
ためしに身体を擦ってみると簡単に汚れが落ちていく、ズボンの汚れもみるみる落ちていっている。
「さあ、お湯を入れ替えるわね。少し我慢してね」
再び大量にお湯が注がれる。汚れたお湯が押し流され、透き通ってキラキラしている。
「ありがとうアリエちょっ何やってんの!?」
アリエスが今にも風呂に入ってこようとしている。
「えっ?どうしたの?一緒に入っちゃ駄目でした?」
「えっ!?いっいや駄目じゃないけど・・・」
「では入りますね」
アリエスが膝くらいまで浸かった時、
「ああすまんすまんアリエス。蓮は風呂よりサウナが好きなんだよ」
目を紅く輝かせた優希が両手に真っ赤になったボウリング球大の石を持って風呂のヘリに立っていた。そして俺が慌てて止めようとするも躊躇せず放り込む。お湯は一瞬で沸騰し、熱々の蒸気が俺の身体を焼く。
「アッツゥゥゥーー!!!」
慌てて飛び出すと俺は血の混じった小川に飛び込んだ。
「テメエ優希!台無しじゃねえプアッ」
怒鳴る俺に大量の水が掛けられる。優希の水魔法だ。
「整った?早く家に入れ。食事にするから」
「・・はい・・・」
文句を言おうとしたが優希の雰囲気に押され、渋々家に入る。
「あらあら、蓮はサウナが苦手みたいね」
「あ~間違えたわ~すまんすまん」
「天才のあなたが?邪魔しないでくれます?」
「ここまで我慢したじゃない。許してアリエス。さあ食事にしましょ」
「フフッまあいいでしょう」
二人は並んで歩き、家に入る。