DWBA世界タイトルマッチ 35
「優希!魔王の標的が王国から俺に変わっちゃったじゃねえか」
「まさか魔王にもモテるとはね。さすが闇のオーラ発現者、やるじゃない」
「バカ!一番好かれたくねえ奴だわ。今度会ったらボコボコにされるんだぞ!っていうかどうするんだよ。ヨハンからはメンチきられまくってるわ、魔王からはストーカー宣言されるわで俺明日にでも死ぬんじゃねえか?」
「ちょっと待って蓮。映画『ブラックの王ヨハンの娘アリスに首輪を嵌めて調教したらヨハンがブチ切れた件』出演と、『DWBAタイトルマッチ ~魔王よ、ベルトは渡さない。もう一度テンカウントを聞かせてやる~』の生中継が決まってるのよ。死んでも死んじゃ駄目」
「お前もう俺の事を使い潰そうとしてない?大丈夫?モテモテになるって言ってたけど魔王に好かれたからみんなに避けられるだろうなあ」
「何馬鹿なこと言ってんのよ。人類だけでなく地上の生物で初めて魔王を倒した男なのよ?それも魔王自ら手を掲げてね。蓮の前に男女問わず行列が出来るわよ。予言しておくわ。あなたは1ヶ月もしないうちに誰もいない田舎に行きたいって言うことになる」
「ホントかよ?」
「もっもしあなたがそれで一人ぼっちになるなら、わっ私がけっ結婚してあげっあげるわ」
「ほっホントか!?」
「ホッホントよ。さあ蓮、今はゆっくり休みなさい。ガイアヒールで体力は回復してるといっても精神はすり切れて限界のはずよ。起きたら約束どおり全てを話すわ」
「そうだった!そういう約束だったな。じゃあ・・・起きたら・・・・・」
緊張の糸が切れたのか、気絶するように後ろに倒れ込む。リクの太い腕が俺を優しく支える。
「蓮、よく頑張った。今はゆっくり休め。優希よ、いよいよだな。覚悟は出来たのか?」
「ええ、蓮の戦いを見て私も命を賭ける覚悟が出来た。リク、あなたとの最期のケンカ、楽しかったわ」
「最期などと言うな。これからも我等の戦いは続くのだ」
「フフフッなんか物語の終わりみたい、魔王とも戦ったしね。ありがとうリク、この物語だけは打ち切りにさせる気は無いわ」
「その意気だ優希。では我等も明日に備えて休むとしよう」
「そうね、全ては明日にかかってる」
二人はお互い頷き、拳を合わせた。