DWBA世界タイトルマッチ 13
「はっ!」
「起きたか蓮。そのままだぞ」
もう分かる。確認しなくても分かる。俺はコーナーポストにめり込んでいる。
「良い攻撃だった。少ししかダメージを与えられないならば急所に打撃を当てる。実に理にかなっている。しかしそれも効かなかった・・・すまん、すまん蓮、どうすれば魔王にダメージを与えることが出来るのか分からん」
リクは固く目を閉じ、頭を下げて許しを請う。
「気にすんなよリク。魔王は言ったんだ。『自分で気付くしかない』ってな。俺しか分からねえんだと思う。だから気にすんなリク」
俺はリクに今できる限りの笑顔で微笑みかける。だが口の中がズタズタで血が滴り落ちている顔は恐かったに違いない。しかしそんな俺をリクは抱きしめた。思いも寄らない行動に一瞬驚いたがすぐに納得した。リクは優しい男だ。弟子が助けを求めているのに助ける事が出来ない自分の不甲斐なさを悔い、そしてそんな自分を非難せず笑いかける俺をまた無策で死地に送り出さなければならないことを許せないのだ。
「もうすぐインターバルが終わっちまう。リクのとっておきのコンビネーションでも教えてくれよ」
「ああ、ああまかせろ!魔王の度肝を抜いてやる」