DWBA世界タイトルマッチ 3
「魔王、ルールが決まったよ」
「ふむ。では聞かせてくれ」
優希は5分程魔王と話していた。
「ふむ。理解した。殺してしまってはベルトは手には入らんのだな。しかし優希よ、本当に良いのか?」
「大丈夫大丈夫!じゃあちょっと準備してくるから」
優希がリングを降りて何やらしている。そして次に優希がリングに上がって来た時、俺達は愕然とした。
優希はデビルボクシングジムと赤で書かれた黒いTシャツを着ていた。
そう、優希は魔王陣営のセコンドになっていた。
「ブフゥゥゥゥゥゥーーーー!!!」
俺はうがいをするために口に含ませていた水を勢いよく吐き出した。
「おまっお前なんで魔王側についてんだよ!!まさか洗脳されたのか!?」
「羽虫が何か言ってますね魔王様」
「羽虫!?このボケがーーー!!ふざけんじゃねえーーー!!」
「魔王様、相手にしてはいけません。これはよくある挑発です。乗ってはいけません!」
「うむ、分かった。しかしこれはお前に対する暴言ではないのか?」
「魔王様、我々はチームなのです。セコンドの私に罵詈雑言を浴びせるということは魔王様に暴言を吐いてるのと同じ事なのです」
「うむ、確かにそうだ。蓮、私を侮辱するとは良い度胸だ!」
「やっぱりじゃねえか!お前に任せると碌なことにならねえんだよ!俺は純粋にお前個人をディスってんだよ馬鹿野郎!」
「ええい蓮よ、私をこれ以上侮辱するのは許さんぞ!」
「魔王様、あのような無礼な者を1ラウンドで倒してしまっては、私の溜飲が下がりません。何とぞあの闇のオーラを少し使えるからと言って調子に乗っている小僧を15ラウンドかけてボコボコにして頂きたく存じます」
「お前しばくぞ!魔王の前にお前をしばくぞ!!」
「ええいやめよ蓮、これ以上は拳で語り合おうではないか!」
「何で俺が悪者になってんだよ!リク、お前も―」
「拳で語り合う・・フフフッ私が世界で一番好きな言葉だ。蓮、優希は洗脳などされてはおらん。あいつがメチャクチャなのはお前も知っているだろう、放っておけ。我がいればセコンドは十分だ!」
もう何なの。まともな奴はいないの?俺は諦めてイスにドカッと座り込んだ。まだ試合が始まっていないのに疲れた気がする。あっ気のせいじゃねえわ。俺魔王軍を滅ぼした後だったわ。
「あれ?そう言えばアリスはどこ行った?」
「ああ、観客がいなくて寂しいなと我が呟いたら『分かったわ。サンドウルフ達を連れてくる』と言って、宮殿に帰ったぞ
「オイオイオイオイ!ヨハンが来るんじゃねえだろうな!これ以上の面倒はゴメンだぜ」
「安心しろ。アリスにはヨハンを連れてくるなと釘を刺しておいた」
「オイオイそれはひどいなあリク。友達の僕にあんまりじゃないか」