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優希の大冒険  作者: にこまる
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ナンバー1アリス 6

アリスは壁を蹴って高速移動し、撹乱しながら爪と牙を使って攻撃してくる。俺は皮膚を切られながらも致命傷を避けながらアックスで攻撃する。しかしことごとく空を切る。それどころかその手さえも引っ掻かれ、攻撃するたびに血まみれになっていった。


「ふん、アンタ自慢のアックスだか何だか知らないけど遅いのよ。それで私を倒すですって?舐めるんじゃないわよ!三重分身」


いきなりアリスが三体に別れて襲い掛かってくる。


「へっ、分身なんか本体を押さえりゃいいだけだろ。ちょろ―」


三体のアリスが同時に俺を傷付けた。


「どっどう言う事だ!?」


「あなた私の分身をオーラで作った幻だと思っているのかしら?お馬鹿さん。私の分身は全部本物よ。私を倒そうとするなら三体全部を仕留めなきゃ駄目よ。でもあなたにそんな高度な事出来ないわよね~ホホホッごめんあそばせ」


「ちょっと待て!それは反則だろが!」


「お姫様を監禁するなんて犯罪を犯しているアンタに言われたくないわ。即死刑でも文句は言えないのよ。それをアンタのケツをまな板にしてあげるだけで勘弁してあげるって言うのに感謝して欲しいぐらいよ。アンタのお尻なんてあんまり噛みたくないから私達三人で手分けしてサクッとえぐって終わらせてあげるわ」


「おい!18年連れ添ってきた俺のお尻をサクッと抉って終わらすな!」


「うるさいわね!リクに苦戦してると思われたら嫌だからサクッと行くわよ」


アリス達が一斉に目の前から消え、壁面を蹴る事を繰り返し、撹乱しながら近づいてくる。壁面を蹴る情報が蓮の頭に流れ込むが多過ぎる。とてもじゃないが処理出来ない。本気のアリスは速過ぎる。それなのに今は三体もいるのだ。情報が混じって全く役に立たない。だがこのまま手をこまねいているわけにはいかない。防御をし続けたところで傷が増え、血を失って死ぬだけ。俺は両手のアックスをふるう。しかしそれは紙一重で避けられ、アックスの攻撃をまぬがれた一体は右太腿を深く抉った。


「クソッタレ~~~!」


俺は取りあえず一体を仕留めようとアックスをふるが、攻撃対象になったアリスは気配を察知するとすぐに俺の間合いから離脱し当たる気配がない。逆に残りの二体が次々と深い傷を与えていく。


「ぐあぁぁぁぁ」

ふくらはぎを抉られ、俺はついに膝をついた。床は俺の血で一杯だ。

三体のアリスは俺の前に静かに立つ。


「降参しなさい。そして土下座してこう言うのよ。『アリス様、生意気言って申し訳ありませんでした。強く、気高く、美しいアリス様に逆らうなど愚かでした。本来なら私のお尻は抉られ、まな板になるはずなのに、この愚か過ぎる私などに慈悲をかけ、この程度のかすり傷で許して頂けるなんて感謝してもしきれません。これから私はアリス様の御慈悲に一生感謝して生きていきます』ってね。言ったらここで終わってあげる。その出血じゃあ、アンタに選択肢はないわ。さあ早くなさい」


「これをかすり傷とはな・・・でもこれじゃあ確かに時間もねえしやるしかねえか」


俺は懐に入れていた物を取り出す。


「うん?何なのそれは?」


「決まってるじゃねえか。お前の首輪だよ」


俺は洗濯物を干すために持って来た縄をアリスに見せた。


「このお馬鹿!お前は私だけでなくウルフ族の誇りをけがした。もう容赦はしないし許さない!」



「お~こわ。じゃあ逃げさせてもらうわ『アースウォール』」


俺とアリスとの間に岩の壁がせり上がり分断した。


「逃がさないわ」

激怒した二体のアリスが壁を通過して俺を追ってくる。

壁を通過して顔を出した瞬間、二体はもがき苦しむ。

こちら側を魔法『沼』を発動して泥で満たしていたからだ。


俺は二人をアックスで気絶させると、素早く二人に首輪代わりにロープを巻き、そのまま四肢を抑えるように全身にロープを巻いた。


もう一体来るかとオーラをさぐったが、どうやら脱出したようだ。このままでは二体のアリスも死んでしまうし、もうこの檻に意味はないので魔法を解除した。


すぐに気絶している二体のアリスをリクに投げる。


「リク、そいつ等を頼む。死なせねえでくれ」


「うっうむ。もちろんだ。この大地の精霊王リクに任せておけ」


その行動を見て、最後の一体のアリスは俺を待ってくれているようだった。

それでもあからさまなスキを見せる訳にはいかない。俺は泥で重くなった服を破り捨て、パン一になる。


「待たせたなアリス。御主人様の準備が出来るまで待ってるなんて、飼い犬になる準備が出来てるようで嬉しいぜ」


「挑発には乗らないわ。分身といえど二人を殺さなかったことに免じてあなたも殺さないでいてあげるわ。でもただそれだけよ。死なないだけ。覚悟しなさい。あなた、闇のオーラを使いなさい。私を消せるものな―」


「使わない。俺は闇のオーラをお前に絶対使わない。バイカールのようになって欲しくねえから」


「!!でも優希やリクには使っているじゃない!」


「優希やリクに闇のオーラを使ったところでボコボコにされる事に変わりねえよ。むしろ使わねえと失礼とすら思うからな」


「私は違うって言うの!」


アリスは怒りで毛が逆立つ。


「ああ、お前は違う。お前は二人ほど強くねえ。それに何よりお前は優しい奴だ。お前のケツを噛むと言った時、みんな本気で怒ったよな。アレは単にお前が姫様というだけじゃねえな。お前は本当に誰に対しても分け隔て無く優しい王の器を持った奴なんだろうな。そんな奴に俺は闇のオーラなんて絶対に使わない」


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