優希との出会い1
開いて頂きありがとうございます。
日本中の皆さんが笑顔になれたら良いなと思って書きました。クライマックスに向かってだんだん面白くなっていきますので、少し長いですが読んで頂ければ嬉しいです。
もし面白ければ評価とブックマークを宜しくお願いします!
にこまる
今日も暑い。
真夏のような暑さの中、俺は畑を耕している。全力で耕しているのだが、隣で爺さんと婆さんが俺の数倍の速さで畑を耕している。最早人間業ではない・・・そうここは俺が元いた世界ではない異世界だ。
俺は斧 蓮18歳、祖父の代から続く蕎麦屋の息子だ。16歳の時に出前の蕎麦をある女のもとに届けに行ったせいで異世界にワープしたのだ。今思うと出前を届ける時の親父の注意をもっと真剣に聞いとくべきだった。
「おい蓮、出前頼めるか。本当ならおまえに配達して欲しくない相手なんだが、俺は母ちゃんの件で今から病院に行かなくちゃならん。山の上の大学の桜宮教授にこのそばを届けてくれ。」
『面倒くせぇなぁ。しかも山の上かよ』と心の中で毒づきながら親父の頼みをしぶしぶ引き受け、おかもちを持った。それと同時に親父がその手を掴んだ。
「なんだ―」
手伝うってのにいきなり手を掴まれた俺は、オヤジに文句を言ってやろうとしたが止めた。鬼気迫る表情をしたオヤジの顔が目の前にあったからだ。そして反抗は一切許さないという射殺すような目で言った。
「いいか蓮。おまえは、おかもちを教授の部屋に静かに置いたらすぐに出てくるんだ。目を合わすな、口を聞くな、息もするな。部屋に入った瞬間、おまえの首元に猛獣の牙がつきつけられていると思え。わかったか?わかったなら頷くんじゃなく、返事をしてくれ」
「わっわかったよ。」
親父の迫力に気圧されながらなんとか答えた。俺の手を掴んだ親父の手は微かに震えていた。親父は中学を卒業するとすぐ爺ちゃんに弟子入りしたのだが、それまでは地元で『二中のジョンソン』と恐れられていた。