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Humanity Magi  作者: やばくない奴
リベリオン・マギ
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戦わない選択

 御鷹(みたか)が向かった先は、もちろんマグスたちの集落だ。彼がいつものように仮設住宅に立ち入ると、彼の目には見慣れない光景が飛び込んでくる。包帯に身を包んだ愛恋(あれん)が布団に横たわり、他のマグスに看病されている。ただならぬ状況を前にして、御鷹は訊ねる。

「……何があった?」

 その質問に答えるのは、愛恋を看病しているマグスだ。

「昨日、赤い髪のマグスがこの集落を襲ったッス。愛恋は最後までオラたちの盾になり、戦ってくれたんスけど……あのマグスにはまるで歯が立たなかったッス」

「そのマグスは……義足を着けていたか?」

「その通りッス」

 犯人は、研究所を焼き払った人物で間違いは無さそうだ。御鷹は唇を噛みしめ、握り拳を震わせる。

「何故マグスのアンタらが……ただひっそりと生きているだけのアンタらが、マグスの餌食に……」

「あの女はリベリオン・マギの服を着ていたッス。連中からすれば、人間に友好的な姿勢を示しているマグスは排除対象なんスよ」

「許せない。愛恋を傷つけたアイツらを……俺は絶対に許さない!」

 彼の中で、どす黒い憎悪がこみ上げる。それほどまでに、愛恋という少年は彼にとって特別な存在なのだろう。そんな彼を鎮めるのは、愛恋本人である。

「御鷹……その感情は、必要ない。僕たちまで、憎しみに呑まれたら……この世は、憎しみで……溢れてしまう」

「だけど……アンタは何も悪くないのに!」

「それよりもね……御鷹。僕は君に、一つだけ頼み事があるんだ」

 この容態では、愛恋は自由に行動することなど出来はしないだろう。今何らかの行動を起こすには、御鷹の力を借りるしかない。

「なんでも言ってみろ。俺に出来ることなら、なんだってしてやるよ」

「……リベリオン・マギの幹部たちと、話し合いをしてきて欲しいんだ。戦うことだけが、僕たちのやり方ではないはずだからね」

「ああ、わかった。行ってくるよ……愛恋!」

「頼んだよ……御鷹」

 全てを託された御鷹は、すぐに仮設住宅を後にした。彼が次に向かう先は、リベリオン・マギの拠点だ。



 *



 それからしばらくして、御鷹はリベリオン・マギの拠点に到着した。彼の眼前には、臨戦態勢で構えている戦闘員たちの姿がある。御鷹は両手を上げ、戦意がないことを表明する。

「待て、待て! 今日は戦いに来たんじゃない。ここの幹部たちと、話し合いをしに来たんだ!」

 無論、戦闘員たちは、ここで素直に人間を通すような性分ではない。彼らはポケットから麻薬とライターを取り出し、その煙を吸い始める。

「ユグドラームの意志のままに!」

「ユグドラームの意志のままに!」

「ユグドラームの意志のままに!」

 この様子では、戦闘を避けられそうにはない。それでも御鷹は、武器を手に取ろうとはしなかった。そんな彼らの間に割って入る者が現れたのは、まさにそんな時である。

「司令官からのお達しだ。その男を通してやれ」

 彼らの目の前に現れたのは、義足を着けている赤い髪のマグス――――宮城紅蓮(みやしろぐれん)だった。戦闘員たちはすぐに彼女の指示に従い、道を開く。御鷹は生唾を呑み、それからゆっくりと拠点の入り口へと歩みを進める。そしてエントランスを潜り抜けた後、彼は辺りを見回し、部屋の多さに圧倒される。

「……こっちだ。ついてきな」

 彼を見かねた紅蓮は、案内を始めた。彼女に連れられるまま、御鷹はビルの中を突き進んだ。


 一先ず、二人はエレベーターの前に辿り着いた。その手前には、センサーのようなものが搭載された機械が置かれている。

「簡単に敵に仕留められそうな下っ端どもは階段を使うことになっているが、これはオレたち幹部の特権ってモンだ」

 紅蓮はそう言うと、ポケットから磁気カードのようなものを取り出した。機械が音を立て、エレベーターの扉が開く。

「行くぞ、人間」

「あ、ああ……」

 二人はエレベーターに乗り、ビルの五階まで移動した。

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