第2話
4、5歳で前世の記憶を思い出した俺は村人のハンデを補うためにすぐに鍛え始めた。
なぜ村人にはハンデがあるのかというと、これは図書館にある書物に書かれてあったものなのだが、この世界では、生まれた瞬間にランクが決まるそうだ。どういう意味かと言うと、村人はD級であり、その子供もD級なのだ。だが、ベテラン冒険者、BやA級から生まれた子供は高ランカーの血筋が流れており、少し鍛えただけでもC→B→A級に上がりやすいそうだ。
だが俺は村人の子。旅などせずに農業をして生きてきた人の子なので、ハンデが大きいのだ。
もちろん、それを言い訳にするつもりもない。俺は村人を卒業して、立派な冒険者になるという思いで、近くにある大きな山へ登り、そこで秘密の修行を始めた。7歳の頃だった。
いつも通りに修行という名の筋トレをしていると、背後にいきなり背の大きな影を感じた。びっくりした俺は振り返り、尻もちをついた。
「うわぁぁ……ビックリしたぁ……。」
「おやおや、すまないね。もっと音を立てて近づけば良かったかな?」 と、大きな背に反するような弱々しい声。
顔を上げるとそこには、とてもイカつい爺さんがニコニコしながら俺を見下ろしていた。
「あ……あなたはどなたで?」と俺は言う、なんせ俺の村にはこんなガタイのいい爺さんは一人もいないからだ。
「あぁ……私はカン。昔、王の側近で働いていたものだ。」
「えぇ!!王様に!?」
「あぁ、本当だよ。」と爺さんは言う。このことは本当らしい。
歳の理由で仕事を辞めたこの人は、残った時間を世界を旅することに決めたそうで、その旅の途中で1人で鍛えている俺を見つけたそう。だが、気になることがある。
「なぜ、俺はあなたの事を気づくことが出来なかったのでしょうか……。」
「あぁ、私はもう何年も王に仕えてきた。だからか分からないが、気配を消すことができるようになったのだろうな。」
すげぇ。俺はこの人の元で修行がしたいと思った。元ではあるが王様の側近だ。しかもさっきの気配、この人は絶対に強い。俺は勇気をふりしぼり、
「あの……旅の途中で申し訳ないことを言いますが、俺を鍛えてくれませんか?」
(あぁ……言っちまった……。) そう思った時、
「まあ……お前には見込みがある、まだ旅の時間は十分にあるしいいぞ。」
「え!本当ですか!」 よし!これで夢の村人卒業計画も始まってきた!
「だが、容赦はしない。もし途中で辞めたいなどと生半可なことを言ったら、私はここから去る。後はどうとでもしろ。」 と爺さんが言う。この言葉に余計気合が入った。
「はい!よろしくお願いします!」
こうして、俺と師匠カンさんの特訓が始まった。




