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堺県おとめ戦記譚~特命遊撃士チサト~

堺県おとめ戦記譚~特命遊撃士チサト~ サイバー恐竜事件(短編化)

作者: 大浜 英彰

萌えミリタリー系シリーズ「堺県おとめ戦記譚~特命遊撃士チサト~」の第5話「サイバー恐竜は大和川に散る!」(N3331EV)と外伝編Part2「特命遊撃士研修生・和歌浦マリナ少尉」(N6916EV)をベースに、前述した2作品で描かれた「サイバー恐竜事件」の顛末を粗筋として短編化した物になります。

 国際軍事組織「人類防衛機構」に所属する和歌浦マリナ少尉は、戦闘の中枢を担う特命遊撃士への正式任官間もない研修生。

 その日も配属基地の極東支部近畿ブロック堺県第2支局へ登庁した所、マリナを始めとする研修生には、特捜車に分乗して管轄地域を巡回する「パトロール研修」が命じられた。

 訓練生時代からの友人の枚方京花-通称「お京」-と共に、班のメンバーを集めるマリナ。

 そこで出会ったのは、内気な御嬢様の生駒英里奈と無邪気なツインテール少女の吹田千里、そして引率役を買って出た明王院ユリカ准佐だった。

 同じ堺県立御子柴中学在校生の縁もあり、少女達はすっかり意気投合した。


 英里、ちさ、ユリ姉。

 新たに知り合った少女達へ徒名を付けたマリナの試みは功を奏し、少女士官達が乗り込んだ武装特捜車には、遠足を思わせる和やかな空気が流れていた。

 しかし、巡回パトロールの一環で通りかかった堺県河内長野市で何が起きているのかを、彼女達はまだ知らなかった。


 同じ頃、人類防衛機構で治安維持を司る特命警務隊は、堺県警との合同で不穏分子摘発を試みていた。

 摘発対象は、生体兵器のサイバー恐竜を開発していた生物学者、大野総一郎博士。

 研究所を護衛する竜人兵との激戦の末、合同捜査チームは大野博士を追い詰めるが、自棄になった博士がサイバー恐竜を解放してしまった。

 崩壊する研究所の瓦礫で博士が潰されたため、制御を失ったサイバー恐竜が暴れ狂い、研究所付近の河内長野市は地獄と化した…


 辛くも脱出した捜査官達が発信した応援要請により、付近を警邏中の特捜車が初動対応に当たるものの、その乗員はマリナを始めとする研修生達だった。

 急な実戦に浮き足立った研修生達を落ち着かせたのは、自身も中学2年生の少女に過ぎない明王院ユリカ准佐だった。

-誰も死なせずに本隊と合流させ、サイバー恐竜を殲滅させよう!

 そう決意したユリカの指揮下で、研修生の少女達はサイバー恐竜へ果敢に立ち向かった。


 銃が吼え、刃が唸る。

 マリナの大型拳銃と機動隊のアサルトライフルが雄々しい銃声を轟かせ、機敏なサイバーラプトルを次々と仕留めていった。

 重武装の特捜車を迫撃砲代わりに操る機動隊に温かく励まされた事で、千里の闘志も燃え上がる。

愛用のレーザーライフルを凛々しく携え、空を埋め尽くすサイバー翼竜の攻撃を巧みに退けていった。

その勇ましさは、獰猛なサイバーティラノさえも照準に収める程だ。

 長物使いの少女達も負けてはいない。

 部下の操縦する武装サイドカーに腰を下ろして指揮を執るユリカもまた、愛用の大鎌「ギロチンサイト」を振り回して敵を切り裂き続けていくし、やはり武装サイドカーに乗った生駒英里奈は、灼熱するレーザーランスで敵をバサバサと薙ぎ払っていった。


 静脈注射された強化薬物と生体強化ナノマシン、そして軍事訓練で培われた技の冴え。

 実戦経験の乏しさは、経験豊富な特命機動隊のサポートが補ってくれる。

持てる力を遺憾なく発揮した少女達は、特命遊撃士としての初陣を鮮やかに飾ったのだ。


 そんな中、枚方京花だけは様子が違っていた。

 敵に遅れを取ったのでは断じてない。

 個人兵装であるレーザーブレードを振るう腕の冴えは、今日も健在だ。

 真紅に輝く刀身が、美しい光の軌跡を描く時。

 一匹、また一匹とサイバー恐竜が両断され、機能停止になった屍が積み重なっていった。

 だが、敵を斬り捨てる毎に少女の童顔からは快活さが消え、代わりに険しさが増していくのだった。

 市民生活を脅かす生体兵器と、命を弄ぶマッドサイエンティスト。

 悪への怒りが、正義感の強い京花を憎悪に染め上げるのだ。

 京花の危うい心は、武装特捜車で駆け付けた千里によって救われた。

 友人達の無事を確認して我に帰った京花は、悪への憤怒を使命感に昇華し、正義のために戦う決意を新たにするのだった。


 研修生の救援に駆け付けた本隊の中核を担うは、機動兵器の運用に長けた特命竜騎隊の猛者達だ。

 戦闘機隊の空爆に戦闘車両隊の一斉掃射、そして機動大隊の人海戦術。

 その波状攻撃に、さすがのサイバー恐竜も徐々に制圧されていった。


 最前線での戦闘を本隊に任せ、後方支援へ移行する研修生達だが、事件はまだ終わっていなかった。

 避難の遅れた少女を保護しようとした英里奈が、サイバー翼竜の不意打ちを受けてしまったのだ。

 絶体絶命の危機を救ったのは、マリナの大型拳銃が放った空砲だった。

 引き付けた敵に精密射撃を浴びせ、墜落寸前の所に止めの跳び蹴り。

 敵の爆発の炎に照らされながら、マリナは戦友と民間人の保護に成功する。


 かくしてサイバー恐竜事件は解決し、華々しい初陣を飾った研修生の少女4人は、厚い友情の絆で結ばれるのだった。

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[気になる点] この時点ではプテラノドンに食われる設定じゃなかったのかな大野氏(;'∀') きょ、強化薬物……設定集にあったかな(;'∀') [一言] ダイジェスト版!! こちらはこちらで面白いです…
[良い点] 映像が頭に浮かぶ、賑やかで華やかで楽しい作品でした。女子達がみんな可愛くて強くて格好いいですね。 それでいてSF的な設定の作り込み、ミリタリー・バトル要素もてんこ盛りなので、本当にもう好き…
[良い点] 真夏の卵炒飯の夢のキャラは、こちらの作品のメインキャラ だったんですね。 なかなか読み応えのある短編でした! [一言] 少し情報量が多すぎる気がします。 後、戦闘シーンもキャラの台詞など…
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