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25話:満足だぜ

 期待外れの謎アイテム『猫の足音』を渡されて、途方に暮れる俺。

 だがナウメは構わずチャレンジを進行する。


「第2ステージは刹那のねこじゃらしにゃ。ランマがねこじゃらしを1回振るにゃ。サムライの猫パンチも1回にゃ。空振りさせたらランマの勝ちにゃ」


 そして第2ステージの相手と思われるサムライと呼ばれた猫が、2本足で足音を立てずにシャキシャキ歩いてくる。

 片目に十字の傷を持つ黒猫は、笠を被りねこじゃらしを口に咥えている。


 俺の目の前まで来ると。

 口のねこじゃらしを、さぁ抜けと言わんばかりの視線を向けてくる。


「いいぜサムライ……勝つのは俺だ!」


 刀を抜くようにサムライの口からねこじゃらしを抜いて。

 サムライの前でねこじゃらしを構える。

 呼吸を整え、タイミングを測る……。


「…………ッ」


 ――いまだッねこじゃら秘技ファントムオアシス!


「ニャッ!」


 サムライのニャン速の猫パンチが迫る。

 命中の刹那――俺の猫じゃらしは蜃気楼のように消え去り、猫パンチは空を切る。


「…………ニャ」


 完敗を認めるように、手を出してくるサムライ。


「いいパンチだった――俺のアニマクラスが(オクトー)じゃなければ……負けていたのは俺だ……」


 異世界の魂位階補正での勝利。純粋な実力とは言い難い。


「ニャニャ」


 それも実力に含まれると伝えるように首を振るサムライ。


「ありがとうッ!」


 黒猫のサムライと握手を交わした。ぷにぷに。


「第2ステージも挑戦者ランマが突破にゃー! 豪華景品の『猫の足音』プレゼントにゃ!」


 2個目……まさか全部これなのか?




 ――――――予感は的中した。

 第3、第4のステージをクリアした俺に渡された景品は『猫の足音』だった。

 ……4個……っていうかこれ何!?


「にゃはは! 本日累計7人目の全ステージクリア者が誕生したにゃー! その名も彼方の来訪者(エトランジェ)のネコジマ ランマ! おめでとにゃ!」


 にゃーにゃーにゃーにゃー!

 にゃーにゃーにゃーにゃー!


 熱狂する猫たち。かわいい。

 この瞬間だけで満足(サティスファクション)だぜ。


「そして全クリア報酬として、トモカタアニマクリスタルもお返しするにゃー」


 俺は盗まれたクリスタルを取り戻した。


「……なぁ『猫の足音』って何なんだ? どう使うんだこれ?」


「にゃ? にゃにゃにゃ? にゃーーー?」


 巨大な白黒猫ナウメが驚愕の声を上げながら、びよーんと胴体を伸ばす。さすが化け猫。


「まさか猫好きのチキュウジンが知らにゃい?」


 そんな常識を知らなかったみたいな反応をされても困る……。

 ……まさか猫好き地球人にとって『猫の足音』って基本知識なのか? 知らない俺が浅いのか?


「……あぁ正直まったく知らない……」


 ヘコむ……いや待て。愚賢者いわくこの世界の1日は地球で100年の時間差。

 そしてこいつの地球知識は偉大なる父神獣王で、それは数百年前の伝説。

 ……地球文明何巡してるんだよ! 俺が知らなくて当然の超古代常識じゃねーか!


「にゃんともにゃぁ。ランマはねこじゃら太郎の物語を知らないのかにゃ?」


「初めて聞いたわ!」




 ――――――ナウメがねこじゃら太郎の物語を語ってくれた。

 ……ぶっちゃけ桃太郎みたいな物語だった。『猫の足音』は団子代わり。


「……つまりこれを渡せば、どんな猫もなついてくれるのか?」


「そうにゃ! すごいアイテムにゃ」


 ……これを使えばアンジェリカを……!


 にゃにゃにゃにゃにゃ。

 アンジェリカ親衛隊が不吉な予感を感じたのか、威嚇するように俺を囲む。


「……安心しろ。お前たちのアイドルを連れて行ったりしないから」


 なぜなら親衛隊たちも、1番かわいい猫たちだから。

 悲しませるようなことはできないッ!


「まぁ使いどころが来るまでとっておくか」


「それは無理にゃ。ナウメ島の外に持っていたら消滅するからにゃ。いま使う相手を決めないといけないにゃ。どの子にあげるにゃ? 勝者の権利にゃし、真の猫好き以外攻略不可能なチャレンジだったにゃ。遠慮せず好きに連れて行くにゃ!」


 ……しかし道具の力で無理矢理ってのはなぁ?

 ――あっ。勝者の権利とか遠慮せず好きにとか言ってる、本人になら渡してもオッケーかな。


「ナウメ」


「決めたかにゃ?」


「ほら。猫の足音だ」


 ナウメに猫の足音を1個プレゼントすると、ナウメのなかへと吸い込まれるように消えていった。


「にゃにゃにゃにゃにゃん? 何でにゃんに渡すにゃん! にゃんはただの猫じゃない、神獣で化け猫にゃん。せっかくの貴重な足音を無駄にしたにゃん」


 ……何か焦っているような気がする。


「追加だ!」


 残り3個の足音も贈る。すべてナウメに吸い込まれていく。


「にゃうん。にゃにゃにゃ。にゃ~ごろにゃ~」


 やった! 化け猫ナウメが巨大な頭をごろごろ俺にこすりつけてくる。


「お触り禁止じゃなかったのか?」


 本人が好きに連れて行けって言ったんだしいいんだよな……? 

 これはアイテム効果で無理矢理とかじゃないよな?


「にゃうん、もういいにゃぁ。ランマがにゃんの主さまにゃ! 偉大なる父よ、にゃんはランマに貰われるにゃん」


 俺は同意を得たと解釈する。


「うをおおおおおおおおおお」


 ナウメの巨大な白黒胴体に飛びついて、モフモフモフ。

 長毛種ではないが巨大な分、毛も長くてフカフカで気持ちいいー!


 マジやべー! 地球じゃ絶対無理だった! 巨大猫に抱きつけるとか! 


 黄昏の藍世界(ラグウェリナ)満足(サティスファクション)だぜ!

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