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ある男の世界

このお話は、作者が夢で見た光景に感動して、勢いでいろいろと勝手な設定を追加して作ったものです。

 地球がある世界とは別の、でも少し似ている世界で生きている男のお話。


=================================


 ある星から新物質が発見、物質超長距離転送が開発され、宇宙航空技術や医療技術等が発達し、不可能と言われた銀河系外銀河へ人類が進出することが出来るようになった。


 故郷がある銀河とは別の銀河、銀河系外銀河の内、2番目に近い銀河の中にある星の一つ、その衛星軌道上にある宇宙ステーションに俺は住み込みで働いている。


[勤務時間2時00分前になりました、おはようございます。気持ちのいい日ですね]

「ああ、おはようー」


 このステーションで働いている”人”は俺だけだ、話し相手がいないのはハッキリ言って寂しい、機械音声に返事をしたくなるのも無理ないだろう。


 カプセルベッドから出たら、まず体を伸ばす。ベッドの機能で、長時間眠っても体が鈍ることはないが気分の問題だ。自己満足も程々にして、洗面台に行き、中身が転送補充される棚から透明で大きい、薄いこんにゃくのようなもので顔を拭い、すべての歯を覆うマウスピースにチューブ容器に入っているジェルを塗り、これを3回ほど噛む。これで洗顔と歯磨きは終わり、毛穴スッキリ歯間もバッチリだ。使ったものはゴミ転送箱へポイッ。


 こんな便利な洗面具なのに、一般家庭では使わせてくれないなんて不便だなと、つくづく思う。


 次はトイレで朝の健康チェック、大と小を必ずするように体が調整されており、更に便座に座るだけで簡単な健康診断が出来る。正面の壁にある画面に出された結果は良好、今日も問題なし。支部にも結果は自動送信されるからとても便利だ。ちなみに出したモノは転送され、あることに無駄なく消費される。


 ただ、診断とデータの送信を自動でしてくれるこのトイレは、一度でも使ったら隅々まで掃除しなくてはいけないのが面倒で、便座の縁が汚れていたり個室の床や壁に水跳ねがあると誤った診断結果が出てしまう・・・らしいが正直信じられない、使ったものは綺麗にしろと暗に言われてる気がする。便座内やウォシュレットノズルは自動洗浄してくれるが、いや本当に掃除するのは面倒だな。


「ン〜♪フンフフンフ〜〜ン♪」


 鼻歌交じりにトイレ掃除を済ます。もう慣れたもので今日は掃除開始から終了まで3分47秒、記録更新だな。まだ汚れてるかどうかはセンサーが判断する。とても細かくて、小さな小さな水滴が一粒でも残っていれば、センサーランプが点灯したままで「まだ汚れが残っているぞ!」と許してくれない。汚れが残ったまま放置すると面倒なことになるのでもう二度とやらない。


 掃除が終わったら朝食だ。壁から橙色の正方形の容器が出てくる。蓋を開ければ、中にはカロリーバーが4本と飲み物はパッケージに入ったゼリー飲料。やはりどこまで時代が進んでも栄養補給食はこの形が最適なんだろうか?

 てきとうな事を考えつつ口を動かし、食べ終わったら容器は洗って元の場所である壁の穴へ、飲料のパッケージはさっきのゴミ転送箱へ。


 仕事の時間までまだまだ時間がある、俺はガラス戸を開けて広いベランダへ出る。

 仕事の前にやっておきたい事があるからだ。別にどこでもできるのだが、景色がいいここでやるのが俺は気に入っている。


 ベランダの床は白く、昔工事現場にあったゴムシートのような固さ。そのベランダの端には当然柵が有る、柵の外、真正面には暖色に塗られたコロニーの壁が、眼下には調査している星が見える。

 この星がまた綺麗で、俺の居た国の言葉に直訳すると、名を「青葉星」と言う。意味は単純、この星に自生してる植物の大半が青い葉を持つからだ。なぜ青い葉が育ったのかは現在調査中、星には水もあるがこれは関係ないそうだ。ついでに、葉が青いのは葉緑素に近いものがあるからだと思ったらそれも違うのだから、誰もが困惑した。




 ベランダの柵近くに椅子が浮いている。これは仕事用の椅子だが自由に使っていいと言われている。しかしこの椅子、一度座れば浮いてるとは思えない程の安心と安定を、そして最高のすわり心地を提供してくれる、どれだけ座っても飽きないから、ほんとにいいものだ・・・。


 座り心地をひとしきり堪能した後、視界に不透過画面と半透過画面をそれぞれ大量に表示し、今日の調査依頼メールや他の星の調査結果、プライベート用メールの確認、故郷の星で最近何があったか等々の情報整理をする為に画面を、空中に出したホログラムデバイスを手と、足も使って操作する。


 普通の人ならこれを有効的に、そして効率良く使う事は出来ないだろう。画面を沢山だしても見れるのは1画面、多くて2画面ぐらいが限界。操作だって2画面が限界。でも様々な星を調査している”俺達”なら問題ない、だって俺達は星を調査するために改造された”改造人間”だからだ。


 まず外見で普通の人間と違うところ、一つ目は腕が4本以上あることだ。これで2本腕じゃできないことも簡単にできる。俺は4本腕だが、6本腕や8本腕、さらに多くの腕や足を持つ奴もいるが、シミュレーターで測った結果、俺はこれが適正だそうだ。適正外だと脳が処理しきれなくて同時に動かすことが出来ず、増やした意味がなくなる。


 二つ目は、肌や髪や目の色が違う、俺達の中で多くの者は肌と髪が白色だ。俺も白だ。そして目は青。緑や黄もいるが、目の機能は皆一緒だ。


 肌は放射線を反射したり、皮膚についた細菌を捕獲して無力化、もしくは死滅させる。中には光学迷彩のと同じ機能を持った奴もいる、適正者は2名だけだったが、あれは悪用されないのを祈る。


 目の機能だが、これは皆、今も表示されている画面を見る為の機能だ。この画面、自分からは空中に展開されているように見えるが実際は目の中で展開されている。画面は自分だけしか見えないので、他人から見たら何もない空中を、手でワチャワチャして、足をバタバタしているように見えるのだ。


 それと、複数画面を同時に見て理解できる。50通のメールの文章を同時に追いながら、10画面以上の実況動画やプレイ動画を見るなんて余裕余裕。視線を向ける必要が無いため、視界は端から端までクリア。目線を向ける必要が無いので瞳は無いし白目もない、眼球部分はその目の色一色だ。


 改造されてから最初に鏡を見たときは、どんな体になるか知っていたとはいえ、宇宙人になったのかと思った。もしかしたら宇宙人と言われていた奴らは、本当は別の銀河の星で生まれた改造人間だったのでは・・・・・。


 外見だけで普通の人間とこれほど違う、もちろん中身も違う。けど説明すると切りがない。取りあえず出来ないことはあんまり無い、とだけつける。


 さて、情報整理も終わったし、お気に入りの実況者さんの動画も見終わった。これからは仕事の時間だ。


 場所は、今座っている椅子でやる。元々ここが仕事用の席だし、しかも眺めが良い、少し疲れたら眼下を見下ろして心と目を癒し、常に落ち着いて仕事をこなせる。


 ここでやる作業は帰還してくる調査用ドローンのメンテナンスだ。コロニーの壁と柵の間のスペース、普段は眼下が見えるほど何もないが、今はドローンとメンテナンス用ロボットでほとんど埋まる。ドローンの形は半径2mぐらいの白い玉に、黒く太い帯のようにつけられた多くの平面カメラ、頭頂部にはこれも黒い円錐に羽が付いた、プロペラの形をした万能レーダーが付いている。白い部分の中には調査に必要なものがぎっしり詰まっており、これらがメンテナンス対象だ。


 可動テスト、異音の有無、傷のチェック、ネジの脱落、消耗品の補充、倉庫に入っている採取物の回収、機体表面に付着した細菌の採取と洗浄 etc・・・。目視と点検カメラとセンサーで同時にしていく。1台目が終わったら次も同じことを繰り返す。単純作業だがこれも仕事だ。


 ドローンは全部で60機あるが、星の裏側まで行ってる機体もあるので、一日やるのは30機。メンテナンス時間は3時間、何か異常があっても原則3時間で終わらせるよう言われている。機械達が優秀だから、異常が無ければ時間が余るとはいえ、メンテナンスは正常の保守と異常の対処が目的なのに、対処に時間を掛けるなとは酷い話だ。


 因みに、月一で60機全てのドローンをバラす日がある。暫く放っておける異常はこの日にやれって事だ。


 メンテナンスが終わった30機は、また調査している星へ行き、裏側を調査しているドローンと交代する。裏側にいたドローンは明日メンテナンスを行う。


 今日はドローンに異状なし、では出かける準備をしよう。壁に掛けてある白コートを着て、半永久バッテリーが搭載されているバックパックを背負ったら出発準備完了!


 バックパックに入ってる調査道具の点検も済んでるし、今日調査する目的地は昨日の続きで、地下洞窟だ。ドローンが行ける場所は既に終わっているので、俺が調査するのはドローンが入れない小さな穴だ。

 ドローンが通れるぐらい穴を広げられればいいのだが、俺達の目的は調査、それにまだまだ未知の星だ。俺達の常識が通用しない、地盤がどうなってるか分からない。なので、穴はまだ広げられない。



 さてこの先にはいったい何があるのか楽しみだなー♪ま、結局何も無いって事になるかもしれないから期待はしない。でも油断はしない。何が起こるか分からないのが常だ。



=================================



 それから暫くして、この男は地下でとんでもないものを見つける。それは故郷の星に多大な影響を及ぼし一躍有名人になるのだが、それは別のお話。


最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。

知識が乏しいので拙い部分が多かったと思われます。

おかしな点等があれば感想で、ズバリと書いてください。


因みに、活動報告にどんな夢だったか簡単に書いています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公みたいな世界で過ごしてみたいと思いました。面白かったです。 これからも頑張ってください。
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