朝の雛と硝子職人
途中です。
続きあります。
最近、5時の朝にこんな音が聞こえる。
カリカリカリ クシャクシャクシャ トン
それは、隣人の東谷深夜が私の部屋で作品の案を考えているからだ。
にしてもーー…、何でちゃっかり住み着いてるのよ!お風呂とか使って良いっては言ったけど…。
雛「ねぇ、煩いんだけど!ってか何してるの?」
深「…んー。何か物足りない。どうしよう?」
ポリポリ頭掻いてる。
あぁ、折角シャンプーで綺麗にしたのに。
最初、深夜が風呂から上がった時…一瞬誰かと思った事を今でも忘れられない。
あの時…髭がなく、髪はふわふわで…何というか、イケメンでは無いもののこう…何とも言えない感動に包まれた。
……でも、今思う。
あの時の感動を返してくれー‼︎
たった一週間で元に戻らないでほしい。本当。
確かに親が帰って来るかもしれないからあまり来ないでほしいっては言ったけど…流石に一週間入らないって何よ。確かに死なないけどね!風呂に入らなくても。
…でもさ、気持ちの問題ってあるでしょ?ねぇ!
深「…雛?」
ハッとした。
そういや色々考えてて返事してなかったわ。
雛「……何描いてるのよ。」
深「カップだよ。硝子で作って欲しいって依頼。」
依頼…、珍しいな。
雛「あっ、このデザイン良いじゃん‼︎かわいい」
丸い感じのカップで、持つところが植物のツル見たいになっていてかわいい。カップにはお花のデザインでお洒落!
もう一つは形は似ているけどデザインが違う。カップにはストライプの模様に雫…。
これ、カップル専用カップ?
深「でもそれ、なんか物足りなくてさ…うん。ボツにし難いんだけど。」
なんだ。もったい無いな。かわいいのに。
雛「…あっねぇ、お花の柄のやつにも雫とか蝶とかあったら可愛いと思う!ストライプの柄のやつは雫を小ちゃく丸く描けば?!そして、葉っぱの模様とか描いてさぁ!良くない?!」
うむ、我ながらいいアイデア!
深「うんうん、いいと思う。…でもこれも捨てがたくて…。」
私はドンドンアイデアを出して、気付いたらもう6時だった。
あ、そろそろご飯食べなきゃ。
深「雛、ありがと。今日中、間に合うよ。」
笑顔。
彼の笑顔は最高だ。
一瞬で気持ちが和らぐ。最近は私の気持ちの安定剤になってきている。
先月から、また陸上を始めた。
先輩達には歓迎されたけど…まだ、同い年の子には好かれていない。
先輩が私に優しいからだと思う…けどね。
でも辛くない。だって…
私には、私の硝子の心を修理してくれる人がいるから。
ジューッ
そして、私には料理という趣味ができた。
こういうの、のめり込んじゃうタイプだし。
なんか、凝り性なんだよね。
出来た。
昨日の残りもののカレーをスープにした。
そのほかにもオムレツを作った。
今日は忙しいから、弁当は残りものの詰め合わせ。
勿論彼のお昼もね!
深「ん〜!!美味い!雛最高!」
雛「ば、はか。それ残りものだし!もう学校行くから!」
深「…残りものでもなんでも雛が作ったんだから美味いよ。いってらっしゃい。」
うぅ!
何とも言えない恥ずかしさ。
居ても立っても居られなくて、私の部屋から飛び出した。
…もう、深夜ったら。
嬉しすぎる。美味いなんて、言ってもらえて。
今日は私の誕生日だけど、あれで許すか!
…あと、そろそろ。
深夜に見て欲しいな。私の棒高跳び。
あれから頑張って練習したから。
今日も、頑張んなきゃ。
続きあるのでもう少々おまちを。
次は深夜サイドです。