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私の日常・非日常  作者: 森崎優嘉
1年生
8/36

楽しいお出かけ…だったはずなのに

体育祭が終わった次の試練、それは期末テストです!夏休みを賭けて生徒たちは戦っています。ん?私?私は御存知の通り大学クラスまで習得しているので少し復習しておけば大丈夫ですよ?ですから今、雪音ちゃん達の勉強を見ているのです。ちなみに今日はテスト一週間前の土曜日、数学でわからない所があると言っていた雪音ちゃんと悟君の家に来ています。本当は雪音ちゃんと2人だけの予定でしたが丁度悟君に勉強を教えに来ていた蓮君に会いまして、家もご近所なので一緒に勉強することになりました。


「あれ?茉里奈ちゃん、ここはどうすればいいの?」

「その問題はこの公式を…」

「そこ間違ってるぞ」

「うげっマジかよ」


こんな感じで勉強していること1時間ぐらい、お昼の時間になりました。お昼ごはんは悟君のお母様が焼きそばを作ってくださいました、とっても美味しいです!


「テストが終われば夏休みかぁ」

「悟の夏休みなんてあるの?」

「どうだろうな」

「ひどくねーか!?」


ふふ、面白いですね。


「茉里奈ちゃん」

「はい?」

「夏休み、どこか遊びに行かない?」

「わぁ、いいですね!」

「茉里奈ちゃんと2人で行きたいし、悟の補習がなければこの4人でも行きたいね」

「おい雪音、なんで俺が補習ある事を前提にするんだよ」


夏休みですかぁ…今までは夏合宿みたいな感じで鍛錬をやっていて夏休みという夏休みを満喫したことがありませんね。というより…今までこんなに仲が良くなった人がいませんでしたね、私。


「俺は別に良いが、日程は早めに決めてもらうと助かる」

「私もたぶん大丈夫ですよ」

「どこがいいかなぁ…あ、そういえば!!」

「?」


なんでしょう?私達が首を傾げている中雪音ちゃんが取り出したのは…チッケト?


「この前お母さんがくじ引きで当てたの!!いらないからって貰ったの、一枚2人までだけど二枚あるから」


結音ちゃんのご両親は良いのでしょうか?


「デートするなら静かな所がいいんだってさ」

「あぁ、そういえばそんな感じだもんな」


ほへー。


「遊園地のチケットか」

「悟はともかく、2人は遊園地大丈夫?」

「ああ」

「うん、大丈夫なのです」

「それは良かった!日時を決める前にまずはテストね」

「うっしゃー、頑張るぜ!」


こうして私達はテスト勉強に励み、ついにテスト当日になりました。ちなみに期末テストは中間よりも教科数が多いのが大変です、ですが皆さん自由な夏休みのため頑張るようですね。




   *   *   *




「夏休み確定だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「確定だーーーーー!!」


この叫びは悟君と舞ちゃんです。良かったですね二人とも…杏奈ちゃんと雪音ちゃんが頭を抱えて、蓮君は呆れた顔です。


「はぁ…まったく。…さて、前に言った遊園地だけど夏休み入ったすぐの日にしない?」

「その日は大丈夫だ」

「私も予定はないので大丈夫ですよ」

「よし!決まりね」


楽しみですね~、遊園地なんて小さい頃に2回ほど言った覚えがあります。一回目は家族と、二回目は奏と行きました…お化け屋敷に入った時なんて奏、とても叫んでいました。あまりにもうるさすぎてお化け役の人に申し訳なく思いましたよ…ふふ、楽しかった思い出です。




ついに今日、遊園地に行きます!わくわくどきどきです。まず駅に集合です…あ、蓮君がいます。


「蓮君おはようございます」

「おはよう」


テスト勉強の時もそうでしたけど蓮君の私服とても似合っていますよね、元々美形なので本当に輝いています。ちなみに私は今日ワンピースです、柄やらなんやらはご想像でどうぞご自由に…あ、雪音ちゃんと悟君が来ました!


「お待たせ!早速行こう!」


電車に乗り目的地まで着きました。家族連れが多いですねぇ…迷子にはなりませんが逸れないようにしないと。


「何に乗りたい?」

「ジェットコースターは絶対だろう?」

「観覧車もいいな」

「私はお化け屋敷に行きたい!」

「うげっ、マジかよ」

「そういえば悟、怖いの嫌いなんだっけぇ?」


お化け屋敷ですかぁ。


「私、まともにお化け屋敷体験したことないかも」


奏があれでしたし。


「そうなの?じゃあ最初はお化け屋敷行く?悟も後に楽しいやつ行けばいいでしょ?」

「えっ」

「決まりだな、お化け屋敷は向こうだ」

「ちょっ」

「わーい!楽しみですっ」

「えええーーー!?」


叫ぶ悟君を蓮君と雪音ちゃんが引きずりながらお化け屋敷に向かいます、とても楽しみです!列に並んでっと…。


「なぁ、4人で行く…よな?」

「え?何言ってるの?あぁ!悟は一人で行きたいの?そっかそっかぁ」

「イヤだー!それだけは絶対に嫌だー!」

「このお化け屋敷、噂によると結構怖いらしいぞ?」

「そうなんですか?」


ほへ~…どれくらい怖いのでしょうね。


「楽しみですね」

「イヤイヤイヤ、茉里奈嬢…怖くないのか?」

「ほへ?うーん…お化け屋敷は特に怖くないと思いますが」

「だってよ」

「おう…」


これで怖がれば俺と同じ、とでも思っていたのでしょうね悟君は。でも残念…この世で一番怖いのは人間だということを私はよく知っているので、お化けに恐怖することは無いのです…あ、私達の番ですね。


「うぅ…もう嫌だ」

「だらしないわねぇ…まだ入ったばかりじゃない」

「茉里奈、暗いから足元気をつけて」

「はいです」


暗いですね。


『バタン!』


「ヒッ!!」


ん?扉ですかね?


「ま、茉里奈嬢は怖くないのかよ」

「得には」


寧ろ怖がりすぎですよ悟君…。


『ぐわぁァァァァァァァァ!!』


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!出たぁぁぁぁ!!」

「鼓膜破れる」

「悟うるさい」

「さ、悟君落ち着いて…ん?」


右肩を誰かに触れられ後ろを振り向くと。


『うァァ…』

「ヒッ」


血まみれな幽霊…の姿をした人間さんでした、ビックリしました…グロすぎます。


「えっと、こんにちは?」


『ァァァ』


あ、お仕事中でしたね。


「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」」


ん?悟君と雪音ちゃんの声ですね。


「茉里奈、大丈夫か?」

「ビックリしましたが大丈夫ですよ」


その後無事にお化け屋敷に出た時は悟君と雪音ちゃんがヘトヘトになっていました。


「大丈夫か?」

「ま、まさか…噂通り、怖かったわね…蓮君と茉里奈ちゃん、怖くなかったの?」

「まぁな」

「ビックリはしましたけど、怖くはありませんでしたよ?」


悟君と雪音ちゃんの叫び声を楽しんでいました。

さて、気を取り直して!次は観覧車です、上からの眺めはとても綺麗ですね…。

ジェットコースターを乗るときには悟君のテンションが戻り、とっても元気にはしゃいでしました!あ、お昼ごはんですね…私達はレストランに入りご飯を食べます。


「…それでね?この前悟がさぁ!」

「おいこら言うなし!」

「……悟はもう手遅れだな」

「ふふ」


こうやって友達と遊んだりするのは初めてでとても楽しいですね。まぁ周りの話を聞くと…


「ねぇ、あの人イケメンじゃない?」

「あのメガネの子地味だよねー」


色々言われていますね~。


「美味しかったです」

「あの店は本当におししいね」


レストランを出て私と雪音ちゃんはトイレに、悟君は先にお土産売り場に行くというので蓮君が外で私達を待っていることになります。皆さん、ご想像できますよね?美形が一人外にいるのですよ?そんなもの女子が見過ごす訳ありませんよね。


「わお…」

「やはりですね」


トイレから戻った私達が見た光景、それは…


「あの、一人ですか?」

「ぜひ私達と回りませんか?」

「…連れがいるので」

「じゃあその人も一緒に!」


逆ナンです、私にはあのお兄ちゃんがいるので見たことはありますが…人数が多いですね。


「わぁ…私逆ナン初めて見たわー…どうする?私対処法なんて知らないけど」

「そうですねぇ」


お兄ちゃんの場合上手く交わすのですが…蓮君は苦手そうですしね、仕方ありません…嫌ですが友人の為、あの方法にしましょう。


「茉里奈ちゃん?」

「雪音ちゃん、このことはご内密に」

「へ?」


私はいつものように掛けている眼鏡を外して蓮君の元へ歩き出しました。蓮君は私に気が付くとすごく驚いた顔をしています、まぁ…本当にお兄ちゃんに似ているので、お兄ちゃんの女バージョンなんですよ…私の顔は。


「蓮君、お待たせ」

「…あ、ああ」


蓮君を囲んでいる方々は何も言わず、唖然と立っています…逃げるなら今ですね。私は蓮君の腕を掴み雪音ちゃんの元へ急ぎます。


「ま、茉里奈ちゃん?」

「お土産屋さんまで行きましょう雪音ちゃん」


私は眼鏡を掛けながら歩き、無事に悟君と合流することが出来ました。


「お、来たか…って、どうしたんだ?二人とも」

「…いや、なんでもない」

「大丈夫、問題ないわ」

「おう?」


仕方ありませんか、あのまま今の姿で行くと絶対恨まれるの私ですもん…だったら元の姿で行けば何も言うまいとね、そういうことなんです。


「えーっと…茉里奈嬢?」

「…皆、遊園地は最後まで楽しまないとですよ」


さぁさぁ、お土産売り場を見ましょう…あ、コレ可愛いですね!


「あ、茉里奈ちゃん!このキーホルダー2色あるから色違いに買わない?」

「わぁ!いいですね」


他には家族用に買ってっと!よし!これでいいですね。あわ、私が最後のようですね。


「終わった?」

「はいです!」

「それじゃあ帰ろうか!」


もう夕方ですね、辺り一面オレンジ色です。


「楽しかったね、茉里奈ちゃん」

「うん!誘ってくれてありがとう雪音ちゃん」


今日は一日中遊びました、友達とこうして遊ぶのは本当に初めて…とても良い思い出になりました。まだ夏休みは始まったばかりです、このまま幸せな時が続くといいのですが…。


「ん?電話だ…母ちゃんからだ」


悟君のお母様からの電話ですね。


「どうし…『雪ちゃんはいる!?』…いるけどどうしたんだ?」

「おばさん、どうしたの?」

『いい?落ち着いて聞いて。今、雪ちゃんの家が火事なの』

「え!?そんな、お母さんたちは!?」

『…それが、連絡をしても繋がらないの…満君はさっきまで友達の家に遊びに行ってたらしくてね、今こっちに預かってる。旦那に任せているわ』

「…お母さんとお父さん、二人とも…今日仕事休みで、家にいたはずなんです…」

『そう…今どこにいるの?』

「駅に、います」

『駅ならすぐ来るわね、雪ちゃん…気を確かにね?』


電話を切った雪音ちゃんは震える手を握りしめていました、私は握りすぎて白くなった手に触れました。


「茉里奈、ちゃん…」

「まだ、生きているかもしれません。大丈夫ですよ」


気休めでしかありませんけど。


「雪音、行こうぜ」

「…うん、分かってる」

「私達はこれで」


蓮君と目配せをして2人と別れようとした時、雪音ちゃんに呼び止められました。


「…一緒に、来て、欲しいの」

「だが…」

「お願い…そうでもしないと…」

「蓮君、これから用事があるって言っていましたよね?」

「あぁ…いいのか?」

「ご両親の用事なんですから、そちらを優先してください。帰りは親に電話しますから」

「…分かった」


こうして蓮君と別れ、私達3人は無言で雪音ちゃんの家に向かいました。雪音ちゃんの足取りは重く、私とつなぐその手はずっと震えていました。

家に着くと、焦げ臭さが充満していました。


「雪ちゃん!…確か茉里奈ちゃんだったわね?」

「はい」

「おばさん…お母さんとお父さんは?」

「それは…」


悟君のお母様が言い淀んだ時、消防隊と警察の方がやって来ました。


「安部雪音さんですね?」

「は、はい」

「ご両親と思われる遺体が発見されました。ご確認をお願いしたいのですが…」


その後、発見された遺体は黒く何が何なのか分からないほど酷い状態でしたが、ご両親が指に指輪がありその指輪で身元が判明されました。ところで、私いつ帰れるのでしょう…でも雪音ちゃんの手が私を離してくれないのですよね。


「お母さん…お父さん…」

「お父君のポケットにこれが入っていました」

「…?これ、私知りません。たぶん、私の家のものではないと思います」


おっと、話が進んでいたようです…えーっと、何か入っていたらしいですね…って、これは…。


「ボタン、ですね」


それもこのデザイン…”今宵”のデザインです。…なるほど、私を如何に屈辱的な殺すか…まずは私の大切な者からやっていくっという事ですね。


「雪音ちゃん」

「ご、ごめんね茉里奈ちゃん…帰り大丈夫?」

「うん、実はさっき連絡してあるの」

「そっか…ありがとう」


無理して笑っているのが分かります。


「姉ちゃん!」

「満…」


悟君と一緒に来たのは弟の(みちる)君、中学1年だそうです。雪音ちゃんは満君をギュッと抱きしめて、今まで流さなかった涙を流していました。私はその光景を離れたところで見てます、すると一人の女性が近づいてきました。


「…マリ様」

「沙耶、あのバッチを見ましたが」

「はい、奴らの仕業です。警察に紛れている部下によりますと、2人には刺し傷が…それも手慣れた傷だったと」

「奴らはジワジワと私を殺したいようですね…関係のない者を殺すとは、長はこのことを?」

「調べあげております」


今まで黙ってはいたのですが…こうして”今宵”が派手に動いている今、奴らが今までやったことを長は知ってしまったでしょうね、そこにはもちろん奏と私のことも。自分の娘が狙われると知って長はどう思うのでしょうかね。


「迎えとは沙耶のことですか?」

「はい」

「そう、なら帰りましょう」


私は雪音ちゃんの元へ歩きます。


「雪音ちゃん、私は帰りますね」

「茉里奈ちゃん…ありがとう」

「いえいえ、元気だしてくださいね?いつでも相談に乗りますから……」

「茉里奈ちゃん?」


私のせいだと思うと、本当に申し訳なく思います…後悔、しますね。


「雪音ちゃん……どうかお気をつけて、貴方まで…だったら…私は…」

「え?」

「またね、雪音ちゃん」

「え、ま、茉里奈ちゃん!」


私は雪音ちゃんの声に振り向かず歩き出しました。


「沙耶、そろそろ…私達も動くことにしましょう」

「御意に」










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