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私の日常・非日常  作者: 森崎優嘉
1年生
4/36

お仕事です

「茉里奈ちゃんおはよう!」

「おはようです、雪音ちゃん」


あのお馬鹿な坊っちゃんの件から一夜明けた今日の朝、昨日の興奮が冷めやらぬです!


「おっす茉里奈嬢、昨日何かいいことでもあったみたいだな」

「おはようです悟君…ふふ、分かります?」

「確かに、いつものホワホワが倍増してるね」


ほわほわ?…あ、片山君が来ましたね。


「おはっす蓮」

「おはよう」

「おはようございます」

「…おはよう」


私を見た瞬間目を逸らされました、まぁ仕方ないですね…昨日の今日なのですから。


「で、茉里奈ちゃんは昨日どんないい事があったの?」


昨日の、と聞いて片山君がピタッと動きを止めましたが2人は気付いていませんね。


「ふふ、秘密です♪」

「もー!可愛いやつだなぁ」


楽しくお坊ちゃんの更生をしていたなんて言えませんよ。あ、先生が来ましたね…次の授業は確か数学なのです!




   *   *   *




お昼休みなのです!お昼休みは美味しいお弁当があるので幸せです…って思っている所に電話ですか、ん?祐さんからですね。


「お手洗い行ってきますね、先に食べていてくださいな」

「はーい」


他の人に聞かれてはマズイので2棟の屋上に来ました。この学校は屋上が閉鎖されていますから誰も来ません、ん?何故入っているのか?ふふ、こういう場所はまず最初に工作しておかないとですよ。


「もしもし祐さん?」

『突然すまない、茉里奈』

「いや、丁度お昼休みなので…でもまだ食べてないので手短にお願いします」

『ああ、分かっている。昨日言い忘れていたことなんだが…あの3人、一ヶ月ぐらいには返せそうだ』

「早いですね」

『元は性格がいい奴らだったみたいだからな』


どうやったらあんなに性格が曲がったのですかね、不思議です。


『親への連絡はお前から頼む』

「分かりました、彼らをよろしくお願いします」

『おう』


通話を切って…次にかけるのは彼の親。


「有村です」

『…君か』

「お忙しいところ申し訳ございません」

『いや、丁度移動中だ。君が連絡してきたのは息子の事かい?』

「はい。先ほど佐山殿より連絡が来まして、約一ヶ月でそちらに戻るそうです…息子さんと他の2人も」

『なんと…さすがに早いのでは』

「元々の性格が良い方だったらしく、しっかりと反省しているそうです」

『そうか…分かった、2人の親にも私から連絡しておこう』

「お願い致します」


親としては嬉しいのでしょうね。


『君には本当に感謝しているよ』

「いえ、私は今回何もしていませんよ…本当に偶然だったのですから」

『ははは、そういう所は和也殿に似ているな』

「…父をご存知でしたか」

『彼とは元々旧知の仲だが、機関の長としても色々協力をしているよ。もちろん、君たち兄妹の事も知っているさ』


お父さん…恥ずかしいのでやめていただきたいです。


『この時間だと昼休みか、そろっとこちらも到着するし切るよ』

「はい、では」


むむむ、お父さんに問い詰めないとですね!さて、美味しいお弁当を食べるべく急いで戻りましょう。


「おかえりー、遅かったね?」

「途中で先生から資料運びをお願いされまして、運んでいたのです。もうお腹ペコペコですよ~」

「茉里奈ちゃんのお弁当いつも美味しそうだもんね」


いただきます!……んー!!美味しいです!


「ほわほわ、可愛い…」

「さすがだな茉里奈嬢」

「……」


ごちそうさまでした!

ふぅ、これで午後の授業も頑張れます!




   *   *   *




午後の授業も終わり、放課後になりました。この後は部活見学などがありますが私は帰宅部なのでどうでもいいです!


「じゃあ私部活見学行ってくるね、また明日ね茉里奈ちゃん」

「じゃあな!」

「また明日です」


雪音ちゃんは美術部、悟君は陸上部の見学に行きました。他の人達も帰ったり見学へと向かい、教室には私と片山君しかいません…そういえば、今日まったく片山君とお話していませんね。…ん?お兄ちゃんからのメールですね、どれどれ?んー、生徒会の仕事で遅くなるようですね。待つ気はもとより無いので早速帰らせてもらいます。


「…茉里奈」

「はい?」

「忘れ物」

「?…ああ!筆記用具、ありがとう片山君」

「…蓮でいい」

「ありがとう蓮君」


なんだか青春って感じですね。


「蓮君はこれから生徒会でしょう?」

「ああ」

「遅くなるというメールが先ほど来たので大変そうですけどがんばってくださいね、ではまた明日」

「また明日」


帰りましょう♪


こんな平凡は2ヶ月続きました…2ヶ月は、です。




   *   *   *




時は流れ、6月です。そろそろ梅雨に入るのではないでしょうか、と予想する今日は日曜日…せっかく家でダラダラと過ごしたいのに呼び出されました。学校に?いいえ、とある機関ですよ…現在私は機関の長である人の部屋へと向かっています、最上階です。ここ、一つのビルなのですけど…すべて機関のもの何ですよねぇ、っと着きました。とりあえずノック。


「入れ」

「失礼します」


扉を開け中に入ると奥の方にあるマネージメントディスクには長が、その前にはテーブルとソファーがあって3人座っていました。


「すまんな茉里奈、日曜日に呼び出してしまって…朝起こそうかと思ったんだが昨日は疲れただろうしな」

「別に起こしても良かったのに」

「年頃の娘の部屋に入るのも気が引けるしな」


はははっ、と笑う長…私の父です。


「やっほー」

「お前がお年頃か?」

「急にすまない、茉里奈」


上から南崎斗和(みなさきとわ)佐山英二(さやまえいじ)有沢弘人(ありさひろと)です。斗和は私と同じ高校一年生ですが学校は違います。英二は苗字の通り、あの佐山家の者です…ちなみに現当主の息子さんで次男坊、20歳です。弘人さんは26歳にして副官を務めています…本当は弘人さんのお父様が務めていたのですが、ぎっくり腰になりまして…もうご高齢で体力もないからと弘人さんを副官に任命しました。指揮官達やその下の部隊、諜報部と武器班は皆私達よりも年上なので反発は無いのかと思いましたが…よく手伝いに来てくれたのと、あの副官(父の方)の手綱を握っていることに尊敬しているそうです。まぁ、あの人は随分と…その…思考が飛んだ人でしたからね。


「それで、要件は?」

「あぁ…茉里奈、安浦零と安浦鈴香は知っているね?」

「私の学校の生徒会長と会計ですね、鈴香先輩とはよくお話をします…お二人が何か?」

「実はね…2人が暗殺者に狙われている情報が諜報部より判明した。そして今日、正式に安浦家より依頼が来たよ」


なんと…お二人が狙われているなんて。


「目的は何だ?」

「まだ判明していない」

「安浦というと、国際的に活動している会社の社長かぁ」

「差金もまだ不明ですか?」

「もう少しで掴めそうだ」


んー…有名な安浦ですから世界のあちらこちらで敵を作るのでしょう…仕方ありませんよね。


「私達は何をすれば?」

「斗和、お前は茉里奈の学校に転校してもらう。手配はもうしてあるから明日から行くんだ」

「杉浦高校に?…準備早いっすね長」

「今回は茉里奈一人では難しいからな」

「…本音は?」

「可愛い娘にこんな危険なこと、心配じゃないか!!」

「和葉がいるじゃないっすか」

「それでも心配なんだよ!!」


お父さん…。


「俺は何をすれば?」

「英二は臨時教諭として行ってもらう、ちなみに数学担当だ」

「了解」

「弘人は外で常に監視。指揮官には黒沢、加藤部隊を待機させるから緊急時に動かせ」

「畏まりました」


黒沢さんですか、あの人は中々面白い人です…加藤部隊の人達も面白いですけど。


「あと、武器班科学チームからの完成品だ」

「これは…イヤホン?」


片耳イヤホンですね、マイクが付いています。


「イヤホンに付いているボタンを押すと透明化する」


わぁ、本当に透明化した…これで耳に付けてもバレませんね。凄いですね、まさかこんなものまで作るなんて…耳に付けても特に変な所はなし、透明化もしっかり機能しています!


「凄すぎる」

「やばいな」


これで仕事もしやすそうです。


「任務は安浦零、鈴香二名の護衛及び暗殺者の確保だ」

「「「「了解」」」」


さてっと、部屋から出てまず最初に向かうのは今回の指揮官である黒沢さんの所。あ、丁度いいところに!


「黒沢さん!」

「ん?おお、茉里奈じゃないか。久しぶりだな」

「お久しぶりです!今回の任務、よろしくお願いしますね」

「こちらこそ…これから加藤の所か?」

「はい!」

「相変わらずいい子だな茉里奈、ついでだからこれを加藤に渡してくれ」

「了解です」


黒沢さんは一児のパパさんです。今日も可愛い女の子の写真が見えました!さて、お次は…この時間だとトレーニング室ですね。


「マリ嬢じゃないか、久しぶりだなぁ~相変わらず美人さんだ」

「お久しぶりです加藤さん!これ、黒沢さんから預かり物です」

「お、ありがとうな」


加藤さんは40代ですがまだまだ現役の部隊長さんです。


「皆さんは相変わらずですか?」

「おおよ、今回の任務がマリ嬢と一緒でテンション上がっているさ」

「想像できますね」


盛り上がっているようです。


「では、今回もよろしくお願いしますね!」

「おう!」


お次は武器班の人達の元です。武器班室は地下にあり、実験場などももちろんあります!エレベーターで下に降りて…到着です!


「失礼します」

「あら茉里奈、話は終わったのね?」

「うん」


中に入り声を掛けたのは武器班班長有村有沙、お母さんです。お母さんは凄いのですよ、主に戦う私達ひとりひとりの使用武器などをすべて記憶しているのですから。


「ふふ、タイミングがいいわね茉里奈」

「?」

「実はね、丁度今茉里奈専用の武器が出来上がったところなの」

「え!本当!?」


私専用ですか、楽しみです!


「じゃじゃ~ん!」


そう言ってお母さんが手にするのは…銃とナイフ?


「ついでにこれも!」


これは…制服ですね、それも杉浦高校の。


「何で制服?」

「普通の制服ではないわよ、これは防弾性なの。今回転校することになっている斗和君には既に用意されているけど、入学している茉里奈と和葉にはまだ渡していなかったのよね~…ちなみに、内ポケットにはナイフと拳銃が入れられるようにしてあるわ」


なるほど、今回の任務は危険なものになりますからね…感謝です。


「本当は今日和葉も来て欲しかったけど、生徒会の仕事じゃあ仕方ないわよね。でも一応、生徒会を早めに終わらせてこっちに直接来るようには言っておいたから」


へぇ…わ、このナイフと銃とても軽いです。これだったら装備しても相手にバレませんね…さすがです。


「今回の任務は愛美の子ところの双子でしょう?あんな赤ん坊だった子達がもう2年生なんて、和葉も大きくなるわけねぇ」


…ん?愛美?


「あの双子の母、愛美は高校時代の友人なのよ。旦那さんも和也さんとは幼馴染でね、お互い子供が出来てからもよく遊びに行ったわ~…ふふ、茉里奈も会ったことがあるのよ?」


そうだったのですか、初知りです…まさかそんな深い交流があったなんて。


『茉里奈、作戦会議始めるから部屋に来い』


斗和からですね、このイヤホン…本当に凄いですね。


「イヤホン、ありがとうございますと科学チームの人達に言っておいて」

「ふふ、彼らもきっと喜ぶわ」

「そうだといいな、じゃあ私これから会議だから行ってくるね」

「頑張ってらっしゃい」


エレベーターに乗って…ちなみにこれから向かうのは私達専用の部屋です。私達は副官である弘人さん直属の部下として特別に専用の部屋があります、まぁ3人で一つの部屋ですけどね。それでも中々広いほうだと思います。この機関の組織図はまた後々説明しますよ。


「お、来たか」

「おかえり~」

「ただいまです」


私達には個々に机がありますが、基本正面にあるテーブルとソファーに座っています。


「茉里奈が来たことだし、作戦会議と行きますか!」


斗和が言った瞬間、ノック音が聞こえました。中に入ってきたのは…お兄ちゃんと弘人さんです。


「来たのか和葉、長からは聞いたか?」

「全部聞いたよ…それで丁度、皆が作戦会議を始めると聞いてね。途中で弘人さんに会ったから来たんだ」

「そりゃ丁度いいな」


説明の手間が省けましたね。


「んじゃあ始めるかぁ」

「そうだな。ちなみに斗和、お前転校するクラス知ってるのか?」

「安浦鈴香と同じ1年C組だとさ」

「そう…頑張って。今回私は動けないから」


動くとしたら放課後になります。


「守護対象にも暗殺者にもバレないようにしなければいけない」

「既に長は学校側にも話を付けている。生徒に危害がなければ自由にやっても良いとのこと」


理事長…。


「うわぁお、凄いなそれ」


まぁ、あの安浦ですからね…。


「そうですね…斗和は鈴香嬢を、零殿を和葉が担当。英二は校内を見回り、茉里奈は通常通りに。放課後と帰りの際は特に注意して監視」

「明日、安浦家当主と双子がここにやって来て事情を説明するんだ。当然僕達の事も話すらしい」

「え、マジで?」

「まぁ、その方が楽だろうしな」


な、な、なんと…会長と鈴香先輩に正体をバラすのですか。それはなんとまぁ…嫌ですねぇ。


「おーい、茉里奈ー、帰ってこーい」

「うるさいです斗和」


分かってますよ、もう。




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