戦いの開始
生徒会選挙が終わり新生徒会役員はこうなりました。
会長 森原希
副会長 里田悠一、相川光
監査 杉山圭佑
会計 加藤咲
書記 石附水波、五十嵐隼人
風紀委員長 斉藤佳奈
副委員長 佐藤渉
知り合いが多いですね…まあ、そんなものですけどね。
このまま普通に卒業できる…その時はそう思っていました。
この時は…まだ。
* * *
急に長に呼び出され、会議室向かっています。
「失礼します」
部屋に入ると長、お兄ちゃん、弘人さんや斗和、英二、咲ちゃん、渉君の他に沙耶もいます…それだけではありません、黒澤さんを始めとする指揮官4人、部隊長4人、医療班班長の明里さん、お母さんも…そして何と校長までいるのです…何があるのでしょうか。
「これで全員揃ったな、急な呼び出しですまない…先程、諜報部がテロ組織”シャドウ”が日本に入国したという情報を得た」
テロ組織”シャドウ”…国際的に活動しているこの組織は機関が一番危険視している組織です。そんな組織が何故日本に…。
「そして、奴らの狙いが杉浦高校だということが判明した」
そんな!?
「恐らく、奴らは杉浦高校のバックに機関があることを知っている…本当の狙いはここだろうな」
「私は何をすればいいかな?」
「明日、教員全員にこの事を伝えてくれ」
杉浦高校の職員は全員、機関で鍛えられた人達らしいのです…びっくりしましたよ。
「第一体育館にはテロ対策のシェルターにもなっている、何か起きた時は直ぐに生徒を移動させてくれ」
体育館は全部で3つ、第一体育館は1棟から一番近い所にあるのでそこに行くのが一番です。
「茉里奈、斗和、英二の3人は生徒の守護を。敵が来たら応戦してくれ」
「「「了解」」」
「各部隊は奴らが現れるまで待機だ…悪いが、生徒には囮になってもらう」
囮…敵を制圧するにはその方法が一番でしょう。
この日は土曜日の夜で、日曜日に校長が職員全員に伝えたとのこと…そして月曜日から、常に警戒の日々が始まりました。
「なんか…最近、先生たちの雰囲気がピリピリしてねぇか?」
「確かに」
「うん…何かあったのかな?」
雪音達生徒には知られていません、あの事については極秘にされていますからね。私は警戒をしながら普通に授業を受けるということです…大変ですよ。
そして次の日…2限目の時でした。
ドォォォォン!!!!
大きな爆発音と共に煙が見えました。私は英二に目配せし、立ち上がりました。
「皆落ち着いて、第一体育館へ行くぞ」
英二の言葉に一番早く反応したのは蓮君です。
「皆、行こう」
蓮君の言葉で皆が動き廊下に出ますがそこには既に組織の人間が数人いました…手には銃、悲鳴を背に私が全員撃ち殺しました。
「急いで!」
私達3年A組が第一体育館へ入ったのを確認して私と英二は再び戻ります。鳴り響く銃声と悲鳴、もうここは戦場です。斗和と友美ちゃんがいるということはC組ですね!
「茉里奈ちゃん!」
「友美ちゃん、急いで体育館へ…ッ!」
「危ないッ!」
パァン!
英二に押された瞬間に鳴り響く音、私の視界には右肩を撃たれる英二と友美ちゃんを庇って血を流している斗和の姿でした。
「斗和君ッ!!」
「斗和!英二!…アイツかッ!」
少し離れた所にいました…ヘッドショットです。
「佐山先生!!」
「斗和と英二を連れて早く体育館へ!!!」
C組の後ろで警護しつつ無事体育館へ着きました。体育館では怪我人が多くいました、重傷者もいます…養護教諭の谷畑先生や他の先生達が介護していますが人数不足です。
任務でこういった光景を見ていますが…地獄ですね。
「茉里奈先輩!」
「咲ちゃん、渉君、まず生徒会の人達で各クラス全員いるか確認して」
「「了解!」」
この体育館はテロの為に作られたシェルター、扉は厳重なので爆発では壊れません。斗和も英二も重症…これは、ヤバイですね。
教員が何人かいないのは見て分かります、校長も…恐らく人質に。とりあえず私はシェルターに用意されている武器を見て長に連絡を。
「茉里奈先輩!生徒は全員確認されました!」
「ありがとう…こちら茉里奈」
『茉里奈、そっちの現状は』
「かなり重軽傷者がいます…斗和と英二も重症、かなり危険な状態です」
『そうか…現在数名の教員含め治が人質に取られている、今そっちに部隊を向かわせている。生徒は彼らと脱出、茉里奈はもう数名の部隊で突入してくれ。任務は人質を救出しボスを拘束、他のものは殺しても構わない』
「了解」
『咲と渉は生徒と一緒に脱出、脱出後こちらに合流してくれ』
「「了解」」
私達が戻ると希ちゃん達新役員と蓮君達旧役員、C組担任の横山先生がいました…雪音や悟君もいますね、ちょうどいいです。
「茉里奈…」
「現在、この学校にテロ組織によるテロが行われています。機関の部隊が体育館に向かっており、重傷者からここを脱出してください。よって森原希生徒会長、生徒の陽動をお願いします…警備は咲と渉を中心に部隊がいたしますので、速やかに行動を。横山先生は他の先生方にこの事をお伝え下さい」
「分かった」
横山先生が伝えに行きました、さすが訓練されているだけありますね。
「…茉里奈は?」
「私は任務に向かうわ…雪音、部隊は貴方が知る人達よ。生徒の皆を不安させないよう、間接をお願い」
「う、うん…分かった」
心配していることは分かっています。
「皆さん!現在味方が助けに向かっています、助けが来たら重傷者を中心に協力して脱出してください!」
ちょうど良いところに来ましたね…石田部隊のようですね。
「茉里奈殿」
「石田部隊長、生徒を頼みます」
「了解です、こちらの部隊を数人置きます」
「ありがとうございます」
斗和と英二の元へ行くと、2人とも苦しそうな表情をしています。
「まり、な…」
「英二ッ」
「これを…使え」
渡されたのは英二が愛用しているナイフです。
「お前は…切るほうが、得意、だろう?…それを、使え」
「…ええ」
「武運を…いの、る」
「ありがとう…」
この扉を開けたら戦場…まだ残っている校長達の為に私は戦場へと足を進めるのです。
ここから教務室へは近いのですが、教務室に人はいません…恐らく、校長室でしょうね。校長室は玄関の方なのです…その間にいた敵はバッサバサ切っています、制服が返り血で凄いことになっていますが気にしません。
やはり…校長室にいますね、声が聞こえましたから…味方に合図して扉を開け銃を構える。
「ッ!!」
…その光景はまさに地獄絵図です、先生方は生きていないのがすぐに分かります…校長は…。
「遅かったじゃな~い」
「貴様ッ…」
彼女は、ボスの側近であるアンジェリーナ・ミゼフですね…横にいる男が同じく側近のリベット・アロー。そしてもう一人の男がボスのフレッド・アウロン。
「本当に…遅かったね、もうやってしまったじゃないか」
そう言ってアウロンが掴んでいた人…校長を投げる、なんということ…。
「ハハハッ!言葉も出ないか」
「このおじさん、中々面白かったわ~!生徒を守るですって!うふふ!」
あぁ…。
「殺す時は楽しかったわぁ!」
瞬間、私の視界が赤く染まった。
「…やるね、君。でも…」
アウロンが動いた瞬間、味方が全員血の海に沈みました…なんという速さ。
「ボス、ここはお任せください」
「ああ」
そう言ってアウロンは外へ行きました…でもまぁ、逃げることは無理でしょうけど…ふふふ…。
「ふふ…あはは…あははははは!!!!」
「頭でもおかしくなったか」
「ふふふ!残念、これが私の正常なの…ふふっ、面白くって!」
本当に、面白いです。
「…何がおかしい」
「貴方達は何ヶ月…いいえ、何年もかけて準備をしていたのでしょうけど。私は貴方達の目的などずっと前から知っていました」
気付いたのは奏が殺された時です。まぁ、確信したのは土宮を殺した時…机の引き出しから出てきた小さな紙切れです。あの紙にいろいろ書いてありましたよ、いろいろと…ね。あの紙から海外へ何かしらの繋がりがあることが正式に分かったというわけです。
ちなみに、この任務と連動して海外の”シャドウ”の拠点すべて制圧任務を行なっています。彼らの帰る家はもう無いのです。
「他にもいろいろありますが、言うのも面倒ですからね」
「なっ」
「さようなら」
ザシュッといい音と返り血…血の池の量がまた増えました。
「治おじさん……おじさん?」
「ッ…」
まだ生きてる!
『茉里奈、聞こえるか!こちらはボスを捕獲した!茉里奈、無事か!!』
「長!早く救援を…校長が…治おじさんが生きてる…」
『何!?…今向かわせた!』
救援はすぐに来て、校長は運ばれてゆきました。私は改めて見渡すと血の飛び散っているのが分かります、倒れている先生方も。中には顔なじみの先生だっています……偉大な先生方の、救えなかった命…ですがここにいる先生方のお陰で生徒全員が脱出することが出来ました…。
「ありがとうございました…」
泣くことは許されません。あとは処理班が来て死体の移動を始めるでしょう…私は外に出て長と合流しました。
「お疲れ様だ、茉里奈」
「お疲れ様です…皆は」
「機関の病院に運ばれた、重傷者も一命を取り遂げている」
「そう…良かった…」
「マリ」
お兄ちゃんも前線で戦っていたようです。
「茉里奈、和葉と処理班の指揮を頼む」
「「了解」」
顔に着いた血糊を軽く落として処理班の指揮をします…すべての処理が終わり、機関へ戻ったのが夕方。とりあえずシャワーに行って着替えます、それから会議室へ。
会議室には斗和と英二、咲ちゃんと渉君以外全員がいました。
「全員、お疲れ様だった。結果、人質となった教員全員が助けることが出来なかったが…日本にいる”シャドウ”の奴ら、本拠地はすべて制圧完了した」
こちら側も何人もの怪我人がでましたけどね。
「学校の建設は機関が行う。よってここにいる全員に協力してもらいたい…人数不足だが、なるべく早く建設を行いたいからな」
卒業式もありますからね。
「学生の保護者には」
「そのことだが、明日保護者を呼んで全てを話す…と言っても、あの学校に通わせている親は全て俺や父の知り合いだからな」
その後、これからの主な動きを確認して会議が終わりました。
「有沙や彩さん達が生徒のカウンセリングを行なっている」
早苗さんと彩さん、そしてお母さんが今生徒の元へ行っているそうです…美春さんも、校長の側にいるとのこと。建築士の康介さんが学校再建で中心となって動いていることやそれを武文さんが手伝っているようです…お仕事早いですよね。
「満が斗和と英二の側にいてもらっている」
「…そうですか」
今マンションには誰もいませんからね、だからと言って1人にするのは危険なので斗和の側にいてもらった方が安全です。
「マリ、斗和と英二がいない分たくさん動いてもらうから…今のうちに皆に合っておいで」
「そう、だね」
みんな混乱しているでしょうね。仕方ないとはいえ私はみんなの前で人を殺したのですから…気が重いけど、斗和と英二の事も見に行きたいですから行くしかありせん。
こうして今、機関に連接されている病院にいます。最初は斗和と英二の元ですね…扉を開けると満君が本を呼んでいました。
「茉里奈さん」
「満君、いろいろ急でごめんなさいね」
「いえ」
斗和の側へ近づきました。一命を取り留めたとはいえ、危険な状態なのには変わりありません……こうして見ると、今までどれだけ心配をかけてきたのかが分かります。いつも斗和はこんな気持だったのでしょうね…。
「当分、ここには来られそうにないの…2人の事、頼むわね」
「はい…頑張ってください」
次に行くのは校長の元…美春さんが校長の手を握ってじっとしていました。
「…茉里奈ちゃん」
「美春さん」
「この人ね、死んでも生徒を守るって…そう言っていたの。本当に…生徒を守ったのね…」
そう言って静かに涙を流す姿を私は黙って見ていました。
「私はこれで」
「茉里奈ちゃん…無理をしてはだめよ?」
「…はい」
部屋に入ると、新旧生徒会役員と佳奈ちゃん、渉君…それに3年A組のみんなまでいます。
「茉里奈ぁ!」
扉を閉めたのと同時に雪音が抱きついてきました。
「まりなぁ…無事でよかったよぉ…」
「茉里奈先輩」
「咲ちゃん、渉君、任務ご苦労様でした」
「いえ…A組の先輩方がいてくれたので」
A組の人達は周りを見て、交代をしたり声を掛け合ったりしていたそうです。
「そう…みんな、ありがとうございました」
「こういう時には助け合いが必要だからね」
恐らく、私のことは聞いたのでしょう…クラスの中でも数人は遠目から私を見ている人もいますが、殆どの人が普段通りに声を掛けてくれます。
「茉里奈嬢、斗和と佐山先生は大丈夫か?」
「一命わ取り留めたわ…今は満君が2人に付いてる」
「満が…そっか」
「みんなは…先生達の事は聞いた?」
「…うん。でも、校長は生きてたって」
先生というのは犠牲になった人たちのことです。
「学校…どうなっちゃうのかな」
そう呟いたのは舞ちゃんです。
「学校の再建はすべて機関が担うことになったわ。今、設計図も書き始めているし…明日から色々忙しくなる」
「機関も今人数不足だって有沙さんから聞いたよ」
「…こちらの被害も相当なもの。私も当分はここに来れないわ」
寝る暇も無さそうだもの。
「何か…私達ができることはないかしら」
「そうだな…」
「それならあるよ」
部屋に入ってきたのは康介さんです、後ろには沙耶もいます。
「水波」
「お姉ちゃん!」
「…無事で良かった」
良かったですね、水波ちゃん。
「…父さん」
「蓮、無事でよかったよ…もちろん皆もね。さて、皆にはちょっと手伝って貰いたいことがあるんだ」
「何ですか?」
「学校再建の設計図、デザインを君たちに考えて欲しい。機能性とかその他色々は機関の方で行うけど、それ以外は皆に考えさせろって和也…ここの長がね」
へぇ…。
「明日は全員家に帰れるから、一回帰って手伝いたい人はまたここに集合。雪音ちゃんと満君は当分ここにお泊りって事になっているから」
「え、そうなんですか?」
「明日、有沙さんが着いて行って着替えとか持ってくるそうだよ。後で有沙さんから言われるんじゃないかな」
「…分かりました」
危険ですからね。
「水波、私も父さんも母さんも機関の仕事で当分家に帰れないから…貴方も当分はここにいて」
「…分かった」
「水波ちゃん、私がいるから大丈夫!」
「雪音さん、妹を頼みます」
「はい」
沙耶と水波ちゃんのご両親は諜報部で働いています。
「マリ様、長からマリ様のお手伝いをするようにと」
「そう、ありがとう…そろそろ戻りましょうか」
「はい」
「茉里奈…無理、しないでね」
「うん…雪音も」
長い戦いの一日が終わりました…次の日からまた忙しくなりますね。




