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私の日常・非日常  作者: 森崎優嘉
2年生
19/36

体育祭は大波乱…

「これから体育祭の出場種目を決めていくぞ」

「生徒会から各級長、副級長を通して皆に言わないといけないことがあるの」


生徒会からとは何のことでしょうかね。


「何と今年、禁止にされていた借り物競争が復活します!」


『えええええええええええぇぇぇぇぇぇ!?!?!?』


…は?借り物競争?確か各生徒会役員のファンクラブが出来た年から禁止になっていた競技ですよね?もしかして…斗和が仕掛けたのでしょうかね、そうとしか言いようがありませんけど。


「出場者数は20人、5人の4グループ作ってもらう。真ん中に借りてくる物が書かれたカードがあるからそのカードと物を持ってゴールする」


各クラスは40人いますからね…半数が行くわけですね。


「私やってみたい」

「俺も、面白そうだぜ!」

「俺はパスだな」

「私もパス」

「えー!なんで!?面白そうだよ?」


面倒いとしか言いようがないでは無いですか…それに。


「企画者は斗和でしょう?蓮君」

「ああ」

「なら、普通のお題なんか絶対に出さないわ」

「…確かに、あの顔は何か企んでいたな」


ほらね…そういうわけで私はやりません。


「…よし、じゃあ借り物競走は決まりだな」

「次はリレーね…これはどうする?私は去年と同じでいいと思うけど」


悟君と蓮君、舞ちゃんと私ですね。


「俺はいいぜ!」

「ああ」

「任せて~!」

「大丈夫ですよ」

「そう、じゃあ頼むわね。次…」


こうしてどんどん種目が決められました。

さて、放課後は委員会です…今年も警備のお話ですね。


「…以上が体育祭の警備だ。例年通り細かく班を作って警備にあたってもらう…質問は無いか?無いなら早速作ってくれ」


私は必然的に委員長である須坂先輩と組むことになります。佳奈ちゃんは…良かった、他の人とグループを作っていますね…安心しました。


「種内、女子の方はどうだ?」

「そうねぇ…数人は中々有能な子がいるわ。各グループに一人はいるからこのチームでいいと思う」

「分かった…解散する」


委員会が終わったからって私が帰れるわけがありません…これから生徒会室ですよ、斗和に聞かなければならないことがたくさんありますからね。


「あ、茉里奈先輩!」

「希ちゃん、大量の書類…重くないですか?」

「全然平気です!」


希ちゃんは当初の険悪も無く佳奈ちゃん共々私を慕ってくれています。


「ほれ」

「あ、須坂先輩ありがとうございます」


あら、扉を開けてくれるなんて須坂先輩も優しい所があるのですね。生徒会室に入ると先日、いつの間にか設置されていた風紀委員長・副委員長の席に座りました。


「委員会お疲れ様。はい、これ2人のお茶よ」

「ありがとう」

「ありがとうございます鈴香先輩」


鈴香先輩からお茶を受け取ってまずは一息…ふぅ。


「よぉ茉里奈、驚いたか?」


何とは言いませんが分かります。


「何故ファンクラブに火がつく借り物競争を解禁してしまったの?喧嘩と怪我人が多く出る…面倒な」

「いいじゃないか」


斗和を見るととてもいい笑顔で…


「何を企んでいる」

「何も企んでいないが?」


その顔にはどう見ても企んでいると書いてあるのですが…一体何を企んでいるのやら、そもそもこの時点で英二はともかくお兄ちゃんが反対していないのが怪しいです…グルですか。


「まぁまぁ…楽しい体育祭になればいいでしょう?」


斗和を睨んでいたら鈴香先輩に宥められました。はぁ…一瞬ニヤリと笑った顔を見なかったことにして作業を進めましょう。


ちなみに今年の軍決めですが、結果はこうなりました。


赤軍…3年B組、2年A組、1年D組

青軍…3年C組、2年D組、1年A組

黄軍…3年A組、2年C組、1年B組

緑軍…3年D組、2年B組、1年C組


私は会長や谷坂先輩、希ちゃんと同じ軍ですね…お兄ちゃんと須坂先輩、斗和が同じ軍なのは少々面倒ですが。


次の日、リレーの練習です。やはりというか何というか…メンバーには会長、谷坂先輩、希ちゃんがいました。


「自己紹介からだな…まぁ知っていると思うが3年の安浦零だ」

「僕も知っている思うけど谷坂彰です」

茂野奈津(しげのなつ)です!」

水瀬瑠奈(みずせるな)よ、よろしくね」


茂野先輩は谷坂先輩の、水瀬先輩は会長のファンクラブ会長だそうです。


「2年の片山蓮です」

「片桐悟です!」

「上島舞です!よろしくお願いしまーす」

「有村茉里奈です」


舞ちゃんは相変わらず元気です。


「1年の森原希です」

「佐藤玲奈です!」

「里田悠一です」

「杉山圭一です、よろしくお願いします」


自己紹介もひと通り終わったのでさっそく走順決め。


「警戒するのは黄軍だな…和葉と雅也に斗和がいる」

「あの3人は確かにヤバすぎると思います」


希ちゃんが遠い目してます。


「というか零、毎年あの2人は警戒していたよ…今年は斗和も付いてしまった」


お兄ちゃんと須坂先輩はどのクラスでも警戒対象だったようですね。


「去年は茉里奈さんも警戒対象だったのですよ?」

「そうそう」


お兄ちゃんがいつのまにやら各ファンクラブの会長さんに私が妹であることを教えたらしいのです。ですからこの場で知らないのは希ちゃん以外の1年生のみ。


「アンカーは零でいいとして、最初をどうするかだね」

「そうだな、最初は片桐頼めるか?」

「いいっすよ~」


悟君は去年、少し遅れてしまいましたが十分速かったですからね。


「俺の後ろなんだが…茉里奈に頼みたい」

「…はい?」

「いいわねそれ」

「うんうん」

「去年の体育祭見ましたけど茉里奈先輩とても速かったです!」


1年生全員見ていたのですから…先輩方も頷いているし…。


「……分かりました」


その後走順を決め、一回走ってみることにしました。ちなみに私の後ろは谷坂先輩です…なんか去年も似たような順番だったような。


「これでいいな…当日も頼むぞ」


1走者 片桐悟

2走者 佐藤玲奈

3走者 杉山圭佑

4走者 水瀬瑠奈

5走者 里田悠一

6走者 上島舞

7走者 茂野奈津

8走者 片山蓮

9走者 森原希

10走者 谷坂彰

11走者 有村茉里奈

12走者 安浦零


この走順になりました。体育祭は明日…どうなることやら。




   *   *   *




青々とした空のの下、体育祭当日がやって来ました。


「よし、皆…これで勝てば2連勝だ。頑張っていくぞ!!」

『おーーーーーーー!!!』


『天気の良い体育祭がやってきました!実況は私、放送委員長の影森愛でございます。皆さんどうぞよろしく!!』


去年と同じく我がクラスは元気も団結力も最強者です。

最初の競技は去年と同じ100メートル走。その次に学年種目などがあります…タイヤ取りや棒倒し、騎馬戦などもそういえばありましたね。ですが皆さんの注目は借り物競走…。


「次は学年種目だから行こ!」

「うん」


平凡に学年種目が終わり現在1位なのは斗和達黄軍、近差で私達赤軍が2位です。

さて次…午前の最後を締めくくる借り物競争です…あぁ…嫌な予感しかしない…今からでも逃げ出したいです。


「楽しんでくるね!」

「行ってくるぜ!!」

「頑張れ」

「いってらっしゃい…」


悟君と雪音の後ろ姿を遠い目で見ることしか出来ません…ところで誰が出るのでしょうか、って、え!?お、お兄ちゃんがいる。斗和は責任者として審判にいるので安心…できない。


「ねぇ、蓮君…お題って誰が考えた?」

「……お察しの通り、斗和だ」


人選ミスだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!斗和が真面目なお題を考えるわけ無いじゃない!!


「戦争になりそうね…」

「怖いこと言わないでくれ…」


『さぁ!いよいよ午前の大目玉、借り物競争です!!』


あ、始まりました。真ん中にあるお題のカードを手に取り、口を読み取ると”こんなのどこにある””はずかしすぎる””すきなひと”などが…やはりまともなお題なんて無いのですね。


「雪音がこっち来ているぞ?」

「まーりーなー!!メガネ!メガネ貸して!!」

「いいけど…はい」

「ありがとう!!」


雪音はメガネだったようです…あれ?普通?


「今度は悟と和葉先輩が来るぞ」


悟君は分からなくはないですが…何故お兄ちゃん?


「蓮!親友ってお題なんだ!来てくれ!」

「分かった」

「マリ、何も言わないで。行くよ」

「ちょっ!?」


待って!お題は何なの!!あぁ…あちこちから恨みの視線が…一部から哀れみの視線が…。


『2年の安部雪音さんのお題はメガネ!見事1位です!!』


やったぁ~という雪音の声を聞きながらドナドナされていく私。


『同じく2年の片桐悟君と我らが副会長有村和葉君がゴールにやって来ました、お題は何だったのでしょうか!』


注目しないでぇぇぇぇぇ!!!!


「斗和!」

「ほいほい、悟のお題は”親友”ね。クリア」

「よっしゃぁぁ!!」


『片桐君のお題は親友!書記の片山蓮君を連れて2位です!!さてお次の有村君はどうでしょう』


「斗和」

「ふふーん…やっぱり和葉が選ぶか、運良いな」

「自分でも驚きだよ…でもナイスだ」

「…お題は何なの」


ニヤッ…あぁ、聞きたくな…


「和葉のお題は”妹”当然クリアだ」


な、な、な!!!


『有村君のお題はなんと妹!!…へ?ってことはお隣にいるのは、ま、まさか妹さんですか!?』


「うん、血の繋がった妹だよ」

「……終わった」


『何ということだぁぁぁぁぁぁ!!!副会長に妹が!それも風紀委員の副委員長!素晴らしい事実を発見した!確かにお二人そっくりですね…普段はメガネを掛けているので、あぁ先ほどのメガネか』


あー…ほら、会場がざわめいてる。きっと今の私はこの世に絶望した顔をしているのでしょうね。


「ま、茉里奈!元気出してっ!メガネ返すよ、ほら掛けた!」

「茉里奈嬢、元気出せって!」

「…後で話すから。蓮、マリを頼むよ」

「分かりました」


まだ競技は終わっていないので私と蓮君は運営テントにある椅子で待つことにしました。


「はぁ…」

「大丈夫か?」

「大丈夫、と言いたい所だけど…さすがにこれはダメージ大きい」


心のダメージが…。


「強制的だが、ついにバレてしまったね」

「校長」


笑いながら隣の椅子に座った校長…楽しんでいますね。


「…楽しそうですね」

「勿論楽しいとも、生徒が団結し競い合う…斗和もこの競技を復活させた。何より、君が親しい友人を作る事ができた…君がここに入学するのは必然ではなく、運命だったのかもしれないね」

「……全ては父の手の上ということですか」


あの狸め。


「君が和葉の妹だと隠している理由も少しだけだが聞いているよ…ここは良いところだと私は思っている、ここには様々な人が集まるからね。だが、君はいつまで自分に逃げているのかな?ずっとこのままでいたら彼女はどう思うかな?」

「……貴方は相変わらず叱るのが上手いですね」

「はっはっは!もう何年も君たちを見ているからね」


この人も幼い頃からずっと見守っている一人でしたね、校長。


「…そうですね、逃げることをやめましょうか。もう自分を偽るのは疲れた」


猫かぶりはやめませんが。


「ありがとう(おさむ)おじさん」

「これはこれは、また懐かしい呼び方を…頑張りなさい茉里奈」


それから私と蓮君、治おじさん…武藤治校長の3人で静かに借り物競争を見ていました。もう戦争です…お題がかぶっている訳ではありませんが取り合いが多発しています。まぁ後10分くらいで競技が終わるので風紀委員が出ることは無いでしょう。


「放送委員長!マイク貸して!!!」

「え、えー!?あ、ちょっと!」

「湯のみ貸してください!!」


運営席でも戦いは繰り広げられています、賑やかですね…左に座っている蓮君が呆れていますし右に座っている校長はとても楽しそうです。


「やはり、体育祭といえば借り物競争だねぇ…青春だ、許可して良かったよ本当に」

「これで怪我人が出たらどうするのですか」

「そんなものどうにでも出来るさ」

「「…」」


うわぁ…蓮君も固まっています。


「戦闘狂…」

「まだまだ若いってことさ!和也だってまだまだ現役じゃないか」

「…まぁ、そうですけど。あ、蓮君は以前理事長について聞いたでしょう?」

「ああ」

「校長は親友らしいのよ」

「らしいではなく親友だよ彼とはね」

「それで、校長も同じく押し付けられた人」

「え」

「本当に酷いよねぇ…今頃どこで何をしているのやら」


祖父母そろって両方共冒険家なのです…お父さんも押し付けることはしないでしょうね?…いや、考えるのをやめておきましょう。


「そういえば片山君、お父君は元気かな?」

「え、はい。元気ですが…お知り合いですか?」

「この学校に入学する生徒の保護者や親類は全員知り合いなんだ、君のお父君とは小学校からの友人だよ」


へぇ~…そうだったのですか。片山…ん?片山…片山…


《この子が和也の娘?》

《そうだ、可愛いだろう?茉里奈って名だ》

《茉里奈ちゃん、はじめまて。片山康介です》

《こうすけ…さん?》

《僕も茉里奈ちゃんと同い年の息子がいるんだ。今度斗和君も誘って遊びにおいで》

《うん!》


《こんにちはわたしはまりなっていうの!》

《ぼくはとわ!》

《れん》

《れんっていうのか!いっしょにあそぼうよ!》

《うん》

《まってよふたりともぉ》


「あ!思い出した!康介さんの!というか斗和と3人で昔遊んだことあったわね」

「…そうだったっけ?」

「4歳とか5歳くらいの時だったはずだから覚えていなくて当然ね」


あの時の男の子が蓮君でしたか。


『波乱の借り物競争、これで終了です!!!』


あ、終わりましたね。


「茉里奈~!」

「雪音お疲れ様」

「おつかれ~!校長先生もこんにちは!」

「1位おめでとう安倍さん、片桐君も2位おめでとう」

「「ありがとうございます!」」


雪音も悟君も嬉しそうです、楽しんだようで良かったですね。


「お疲れ様だね和葉、見事だったじゃないか。すべて斗和の策略かな?」

「勿論ですよ校長。僕はここまで大掛かりにしませんから」


ふーん?


「ごめんね茉里奈、斗和に任せたのが悪かったよ」

「……いいよ別に、校長にも十分叱られましたから。逃げていた私も悪いもの…でも」

「よぉ!おつかれさまぁ!?」

「貴方だけは許すことは出来ないの」

「イデデデデデデッ!うでッ!う、うでぇッ!」


やって来た斗和を締め上げる。痛い?そんなもの、私が心に受けたダメージより小さいですよ。


「ま、茉里奈…」

「さすがに斗和だけは許されないか」

「やるねぇ茉里奈嬢」


雪音と蓮君と悟君は手も出せず傍観。


「若いねぇ…ん?おやおや」

「マリ、その辺で…あ」


校長とお兄ちゃんが何かに気がついたようでしたが締めあげるのに夢中の私には気付きませんでした。何に?私と斗和に近づくある人物にですよ…その人は私と斗和の襟を掴んで引き離しました。


「茉里奈、斗和が可愛そうだからやめてやれ」

「え、お父さん!?」

「ぐへっ…助かった」


なんとお父さんがいました…何故でしょう。


「早く昼飯食わないと時間なくなるぞ?今有沙が弁当持って来ているから食べるぞ。雪音ちゃん、満君も有沙といるからね」

「え、本当ですか!」

「あぁ、悟君と蓮君のご両親も一緒にいるからな。皆で食べよう」

「よっしゃあ!飯だ!」


あぁ、なるほど…呼びに来たのですか。


「治も来るか?」

「私が行くと目立ちますからね、遠慮するよ」

「そうか。んじゃ行くぞー」


こうして私達はお父さんの後に続いて歩き出すのでした。












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