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9話:夢の国と危険の始まり

ついにデートの日を迎えた。舞浜駅に15分前に到着し、由希とのデートを想像し、悶々とするツナ。そしてそこにきたのは・・・

そして来た・・・運命の日。


服はバッチリ。ガラにもなくSAMUROIとかいう香水までつけて準備万端だ。今日はさすがに配達用のバイクは置いといて・・・と。


遊園地にはジャイブは入れないので今日は留守番をお願いしてきたんだ。東京駅から京葉線に揺られる事20分。舞浜に着いた。時間は待ち合わせの15分前。


『あああ〜・・・緊張するよ〜・・・なんてったって初のデートだもんなあ・・・』


緊張と盲想は膨らむばかり。そんなこんなで待ち合わせの5分前になった瞬間だった。


「お待ちどおさまっツナクン!」


ああっ・・・!!この声は由希さんだ!


白いワンピースの上に可愛らしい上着を羽織っている天使がそこにいた。しかし・・・


「ヤッホ〜〜ツナ〜〜!」


・・・・・・その横にいたのは祐だった。


『ええっ!・・・・祐?!なんでここに??』


僕は驚きをまったく隠せなかった。


「いや〜・・偶然だけどさあ〜〜・・・今日オレもこっちに来る予定があって・・いや〜偶然偶然!はっはっは〜!」


祐は勝ち誇ったような高笑いをする。


「さっき京葉線で会ったの。だからせっかくだし3人で楽しみましょうって事になったのよ。」


由希さんがご丁寧に解説をしてくれた。ああ・・・・なんで僕の場合こうなるんだろう・・・。


由希さんも由希さんだよ・・・一人でファンタジーに来る予定なんか普通作らないだろう・・・祐の見え見えのウソがわかんないんだもんなあ・・・いや・・もしかしたら由希さんはもう既に祐と・・?


頭の中で嫌な想像がどんどん膨らんでいく僕。それをよそに仲良く歩く祐と由希さん。


『負けてたまるもんかっっ!!』


僕はそう気合を入れて二人の後を追った。


「さて・・・・どっからいこうかあ〜〜??」


祐はガイドマップを覗きながら言う。


「あたし{クマさんの見た夢}がいいなあ〜!」


『うわあ〜・・・乗り物こんなにたくさんあったっけえ?どれがいいかなあ・・』


僕は小さい頃に家族で来て以来、ファンタジーランドには来ていなかったんだ。だからこそすっごく気合が入っていたんだけど・・・・。


「スプラッシュフォール!これファンタジーランドの定番っしょお〜!これ確か落ちる時写真撮ってもらえるんだよねえ〜!」


祐の目がキラキラと輝く。


「え〜!あたし落ちるの恐いよお〜・・・」


「大丈夫だって〜!手しっかり握ってるからさあ〜!」


『・・・・・』


ス・・・スプラッシュ・・・。それを聞いた時僕は思わず黙り込んでしまった。そう、僕は絶叫系なるものが一切苦手なのだ。あの無重力感が・・・恐い。しかしここでビビったらもう祐とすさまじく差をつけられてしまう・・・。僕は意を決した。


そして乗ったスプラッシュフォール。うう・・・まだあの落ちる所じゃないのに恐い・・。

いきなりガタッって傾いたと思ったら落ちるんだよね。そんなのが二回も続いて僕は失神寸前だった。


『あああ・・・・・もうだめだあ・・・』



カタカタカタ・・・と鳴るコンベアの音。


「お、お、お、落ちるの??もう3回目だけどほんとに落ちるの??」


さすがの由希さんも声がうわずっている。僕も2回の落ち所で頭はぼーっとしていた。


「だ〜いじょぶだ〜いじょぶ〜!」


なぜ祐はこんな平気そうな顔を・・・・なんて思った瞬間だった。ガクンとなった直後・・・


『わあああああああああ〜〜!!!!!!』


体が浮く・・・死ぬ〜〜・・・・・・・・僕は意識を失った。




ふと気がつくとベッドの上にいた。


『あわわわ・・・僕はいったい?!』


あわてて起き上がるとそこにいたのは救護員さん。


「スプラッシュフォールでビックリして気絶されたんですって〜?気をつけなきゃだめですよ〜!無理して乗ったら危ないんですから〜!」


僕はどうやら落下のショックで気を失ったみたいだった。我ながら情けない・・・。


『由希さんと祐は・・・・??』


・・・・いない・・。僕が気絶してる間に二人は遊んでいるというのかっ?!


僕は慌てて救護室を出た。すかさず由希さんに電話する。しかし出ない・・。嫌な予想が頭をぐるぐるする。早く二人を見つけなければ!!!時間はお昼12:25・・


この時間ならどっかでお昼を食べてるに違いない!僕は片っ端からファンタジーランド内のレストランを探した。その途中だった。


「おお・・・ツナじゃん!」


祐がいた。よかった・・・・。間に合った・・・。


『祐・・・あれ?由希さんは??』


「なんかさ、親から急に電話が入ったとかで・・・慌てて帰っちゃったんだよねえ〜」


由希さんは確か親とは住んでないはず・・・・でもそれを祐に知られるのもなんだか怖かったから僕は敢て知らないふりをしたんだ。


『えええ〜・・・なんかあったのかなあ・・・・』


「まあ・・・仕方無いっしょお〜・・・オレたちも帰ろうぜ、早いけど・・。」


なんでだろう・・・。由希さん何かあったんだろうか・・・。


帰りの電車の中、由希さんの話を祐としていた。


「ツナ〜・・・由希さんオレに譲ってくんねえかな〜?」


祐がとてつもない事を言い出した。


『な、な、何を言うんだよ〜!ダメに決まってるじゃないか〜!』


当然だ。譲るわけないでしょ!!


「オレもマジになっちゃってんだよね、これでツナとの仲がこじれたりするのも嫌だしさあ。」


『僕だって祐は大事な友達だと思ってるけど・・・だからってすぐに由希さんをあきらめるなんて出来ないよ!』


「じゃあ、どっちがフラれても恨みっこナシにしよ〜ぜっ!」


『・・・・うん。』


「じゃっオレは京浜東北線で帰るからさっ!じゃあなっ!」


彼は僕に挑戦状を叩きつけ東京駅で別れた。


そんなこんなで僕はテンションも急落して家に帰った。帰るとすぐにジャイブが僕に言う。


「えらく早いお帰りだな?いきなり手出してもうフラれたか??くくく・・・」


『そんなんじゃないってば!由希さんの親御さんから電話がきたみたいで慌てて帰っちゃったんだよ、でもおかしいなあ。由希さんは親とは暮らしてないって聞いてたんだけど・・・』


「由希ちゃんの親・・・・・・まさか・・・。」


ジャイブはぼそっとそう言ったが今の僕には聞こえなかった。


そしてその翌日、今までにない波乱が僕を待っていたのだ。

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