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8話:コーディネーター

由希とデートの約束を取り付けたツナは今天にも昇る勢いだった。そしてそのデートの時に着ていく服を買いに行くため、友人のイケメン・祐に電話をする。そして買物に向かうのだが・・・・

『新聞配達はもちろん強引に休みにしたし・・・。あとは・・・身だしなみだな!』


由希さんと会う時はもちろん気合いを入れて穿き慣れないジーンズなんか穿いたりして少しでもオシャレに気を使っていたが・・・。


普段ともなると僕の格好は戸田競艇場で買ったオレンジのTシャツで後ろに「沫」と書かれているヤツ。ダボダボのとび職の人が穿いてるようなチノパン、カカトを踏みつぶした運動靴・・・と言ったカンジ。どんな女の子でも一緒に歩きたくない服装だろうなあ・・・。


「これを機におまえ服でも買いに行ったらどうだ?今ある服はもう捨てちまえよ〜!」


ジャイブはあくびをしながら言う。


そうだ、あれから3週間も経ったからジャイブの包帯はもうとれていて傷口もだいぶよくなったんだよ。もう歩けるくらいまで回復したんだ。


『でも僕、センスないもん・・・。誰かコーディネートしてくれないと・・・』


「友達でいるだろう?うまくコーディネートしてくれるヤツさ〜!」


『そんなセンスのいいやついるわけ・・・・・・・あっ!』


そう、いたのだ。そいつの名前は服部祐はっとりたすく。練に負けず劣らずのモテモテだったんだけど気取らない気さくなヤツで・・・。今はバイトしながら美容師を目指して専門学校に通ってるんだ。


早速、僕は祐に電話をしてみることにした。


『もしもし〜!祐??僕だよ、ツナだよ〜!』


「おおお〜!ツナぁ〜!ひ〜さし〜ぶりぃ〜!どしたの〜?」


『実は・・・・かくかくしかじかで・・・』


「ん?わかった、いいよ〜〜!じゃあ明日世田谷のユニクロでねえ〜!」


うまく約束を取り付けた。祐のセンスにかかれば僕も少しは見れるカンジになるにちがいない!


翌日・・・。夕刊の配達も終わって6時頃。ユニクロの前で待つ僕。ジャイブはまたまたリュックの中にいるんだけどね。


「おお〜!ツナ待ったか〜??」


ゆったりとした口調のその声は間違いなく祐だった。顔はまるでSOPHIAのボーカルみたいな端正な顔立ちでそして足が長い・・・。見れば見るほど落ち込んでしまう。なぜ僕だけこんなふうに・・・・。


そしてユニクロで買い物を始めた僕と祐。


「ツナさあ〜・・・これとか似合うんじゃね?あ、んでズボンはこんなカンジでさ〜!」


僕は頷くだけみたいなカンジ。そしてフィッティングルームに行こうとしたその時だった。


「あれ?ツナ君???」


・・・・・・・・・・まさか?!


『あ・・・ゆゆゆ由希さん?!』


「ツナ君も買い物〜?奇遇だねえ〜!」


『ゆゆ・・・由希さんこの辺に住んでるの??』


「うち、ここの真裏に住んでるの!あら?そちらは?」


由希さんは祐に気が付く。


「あ・・・どお〜〜もお〜!ツナの友達の祐で〜す!ヨロシク〜!」


「こちらこそ〜!すご〜い・・祐さんてモデルさんみたい。足超〜長いし」


「いやいやいや〜・・・んなことないっすよお〜由希さんこそCAMCAMのモデルさんみたいぢゃん〜!」


し・・・しまった・・・。このパターンはマズイ・・。祐も今は彼女いないし由希さんはこんなに美人・・・。


最悪の構想が頭に浮かびつつ焦る僕。


「じゃあ、友達待たせてるから行くね。またねツナ君、祐さん!」


『うん・・・また・・・!』


そして買物は続く。祐はさっきから由希さんの話ばかりだ。


「あの子カワイイよねえ・・ツナ、狙ってるの?」


『うん・・・今日の買い物も来週、由希さんとディズニーランド行くからそのための買い物だったんだよ〜・・』


「まぁじかっ!まあほどほどに頑張れよ!オレそろそろ帰らなきゃさあ・・・じゃあねえ〜」


そんな事を話しながら僕はユニクロで約4万円くらいの買い物をし、祐は帰っていった。


「やれやれ・・・厄介なヤツのハチ合わせになっちまったなあオイ・・」


帰り道の途中、ジャイブがぼやく。


『え?どういう意味さ?』


「おまえわかんねえのか?あいつ・・・祐は確実に由希ちゃん狙いにモードが決まってるのがよ〜!」


『え〜!まさか!祐に限ってそんな人の好きな人をとったりなんか・・・』


「恋愛なんてのはしょせん弱肉強食だろ?由希ちゃんが祐に惚れたらおまえどうすんよ??」


『それは・・・まあ・・・』


「あいつは練よりもやり手かもしんねえべ?おまえ大ピンチだろ!」


言われてみればそうだった。祐は練と同等に女性に不自由しない人種だったんだ。確か前に練から聞いたこともあった。


『あああ・・・・なんか先が思いやられるなあ・・・』


今日この日の祐と由希さんのばったりの出会いが後の運命に大きな打撃を与える事を僕はまだこの時知るよしもなかったんだ。




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