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7話:ジャイブ復活パーティ

ジャイブが戻ってくる日。ツナも由希も望んでいたこの日だった。ジャイブを迎えに行ったツナはジャイブに秘密がバレてしまったことを話す。そしてジャイブは・・・

そしてジャイブが帰ってくる日がやってきた。まだ数日しか経っていないのにこんなにジャイブのいない日がつまらないなんて・・・。


僕自身、まだ出会って間もない生意気に喋る猫のジャイブに対してとても強い友情を感じてるんだ。


朝10時。今日は第2週の月曜日だから朝刊はお休み。僕は睡眠をしっかりとって獣医さんの元を訪ねた。


「やあ、いらっしゃい。ジャイブも君をずいぶん待ちわびていたようだよ。」


獣医さんに抱きかかえられてジャイブは現れた。右前足の付け根にはしっかりと包帯が巻かれていた。


「もう退院しても大丈夫だけどジャイブはまだ自分の力では歩いたり出来ないからね。しばらくは家でも安静にさせてあげて。それからまだ出血があるようだったらうちに来て定期的にガーゼを変えなきゃだめだからね。」


『はい!ありがとうございます!』


僕はジャイブを受け取っていつもの通りリュックに入れた。あ、もちろん足のケガに気を付けてそ〜っとね。


由希さんは11時にうちに来るんだ。で、今は10時30分。そうだ、お茶菓子でも買いに行こうとスーパーへ向かった。


「おい・・・その・・・悪かったな・・」


リュックの中からジャイブが言った。


『えっ?何がだい?』


「いや・・・オレが刺されたばっかりに・・。高かったろう?金・・。」


『ジャイブが僕を守ってくれなかったら僕はどうなってたかわからないよ・・・。それにそんな事は言いっこなしさ!友達だろう?僕らは!』


「・・・すまねえ・・。」


今日はやけに素直だなあ、ジャイブのヤツ。「当然だ!」とか言うと思ったのに・・。


スーパーで買い物を済ませた僕。ちょうどいい時間に部屋に戻ってこれた。


『あ、そうだ・・・僕もジャイブに一つ謝らなきゃいけないことが・・・』


「ん??」


『実は・・・ジャイブの事、由希さんにバレちゃって・・・。』


「・・・やっぱりか・・。あん時喋っちまったからな・・・じゃあ今日からは由希ちゃんとも普通に話すようにすっか!」


てっきり怒られると思ったのに・・・・やっぱり今日のジャイブは変に優しかった。


「こんにちは〜!」


由希さんが来た!


『いらっしゃい、由希さん〜!』


「きゃ〜!ジャイブ〜!もう大丈夫なの〜〜??」


え・・・・僕思いっきしスルーされた?!


「あ・・・あの・・・・ど、どうも・・・」


「ほ・・本当に喋るのね・・。よろしくね、ジャイブ」


「あ・・・ああ・・・・。」


僕は完全に置いていかれてる・・。しかしこのジャイブの様子はなんなんだろう・・・。


お菓子を食べて話も盛り上がったところで時計を見るともう2時。夕刊の配達の時間だ。もう・・・どうせなら夕刊も休みにしちゃえばいいのに・・・。仕方なく準備をして由希さんに声をかける。


『じゃあ僕、夕刊の配達に行ってくるね!』


「じゃあ、今日はあたしご飯作って待っててあげるっ!」


ゆ・・・由希さんの手料理・・・。こ、これは夢じゃないだろうか・・・??


僕は胸に期待を100キロ以上膨らませてカブに乗った。


夕刊をいつもの倍以上のスピードで終わらせて部屋に戻るとなんだかとてもいい匂い・・・。


「おう!帰ったか!今日は由希ちゃん特製のポークカレーだ!共食いだな、おまえ。がっはっはっは!」


さっきとは打って変わってジャイブの悪態も絶好調だ。


「意外に早かったね〜。待っててね!もう少ししたら出来るからね!」


「今日はオレもカレーライスが食えるんだな!ちょい冷ましたヤツをネコ盛りで頼むぜ、由希ちゃん!」


「はいはい・・・そんなに慌てないのっ!」


ジャイブも待ちきれない様子だ。僕のお腹もすごく鳴っている・・・。ハズカシイけど・・・。


「はい、おまちどうさま!ツナ君すごく食べるでしょ?たっくさん作ったからいっぱい食べてね!」


「いっただっきま〜〜す!」


僕らは大きな声で言った。


そして30分後・・・・


「いや〜〜〜!うんまかったああ〜〜〜!ツナといるとサバ缶しか食えないからなあ・・。胃に染みわたるうまさだったぜ!ごちそうさま、由希ちゃん!」


『ほんと!おいしかったよ〜!由希さんみたいな人がお嫁さんならきっと旦那さんになる人は幸せだろうなあ・・・・。』


「ふふふっ・・・ありがとう、二人とも」


僕、なんか最近幸せな事がたくさんだなあって思う。不謹慎かもしれないけど練が亡くなった日にジャイブと出会って・・・こうして由希さんと仲良くなって・・・。


まるで練が死ぬ時に僕に幸運をくれたような・・・。でもそんなわけないよね、練はこんな僕の事をしっかりと友達なんて思っててくれてないよ。「いたらただ面白いヤツ」ってだけだったんだろうな。こんな事考えるなんて不謹慎だぞ、僕・・・。


由希さんが僕に言った。


「ねえ、ツナ君。今度よかったらさ・・・こないだ助けてくれたお礼って言うのもなんなんだけど・・・ファンタジーランドでも一緒に行かない・・・・??無料券を知り合いからもらったから・・・」


ファンタジーランドっていうのは舞浜駅から少し歩いたところにある老舗の遊園地だ。


『・・・・ファンタジーランド?僕と??い、いいのお??』


「うん・・・もしツナ君がよかったらでいいんだけど・・・・」


『ぜ・・ぜひ!!』


「ひゃ〜!もう目の前でいちゃつかないでくれよなあ〜〜!」


ジャイブがそっぽ向きながらそんな事を言う。


「こぉらっ!ジャイブっ!茶化さないのっ!」


「はいはい・・・おとなしくしてますよ〜!」


そんなこんなで来月の19日・・・ひと月後に僕はついに女の子・・・しかもあの高根の花だった由希さんとファンタジーランドに行くことになったのです・・・・。

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