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4話;僕、人生最大のピンチです。

集金も順調。平凡な生活を繰り返すツナにまたしても好機!憧れの由希が自分の部屋に遊びに来ることに・・。そんな由希を迎えに行くと女の悲鳴が・・・・いったい何が起こった?!

練の告別式も無事終わって僕はまたいつもの新聞配達に従事する生活に戻ったのです。


そして月末近くなるこの日、僕らにとって最も憂鬱な集金業務が始まるんです。


『よし!今日で残照(残り領収書枚数)を半分くらいにするぞっ!』


「じゃあ、2丁目の吉田さんとこからだ!あそこは集金の時にハムをくれるらしいぜ!」


『そーゆーとこばっかり覚えてるんだな〜ジャイブは〜・・・』


配達カブに乗って数時間。僕は今日は頑張ったんだよ。100枚近くあった残照を残り10枚まで減らしたんだ。90件集金したんだよ。


さあ、今日は帰って大好物のハンバーグ弁当ライス大盛り+ライス単品大盛りを食べよう・・・なんて考えていた時だった。


僕の住む部屋は新聞屋の2階。だから部屋に戻る時は1階のお店の前を必ず通るんだ。いつも通りにお店を通ると店長に呼び止められたんだ。


「おう!ブーちゃん!ちょいと、知ってっか?」


新聞屋の店長が声をかけてきた。


『あ・・店長。どうしたんですか?』


「最近このあたりに強盗が潜伏してるとかって噂が立ってるんだよ、警察からもポスターもらってよお、この顔見たらすぐ通報・・・・ってな!まあもうとっくに海外かどっかに高跳びしちまってるだろうけどな〜!」


恐ろしい話だ。まあ僕の部屋に盗るものなんてないんだろうけど。


『恐いですね〜・・・僕なんかすぐ刺されちゃいますよ〜・・・』


「おめえはそんだけ分厚い肉がありゃちょっとやそっと刺されても大丈夫だよ!」


ジャイブの悪態がまた始まった・・・。まあいいや・・とにかくお腹がすいたのでゴハンの準備だ。


『今日はゴハンがおいしいなあ・・・。仕事頑張った後のゴハンは最高だ〜!』


そんなときだった。


ピロリロピロリロ・・・・


「おい!ブタ!電話鳴ってるぞ!」


『はーい、もしも・・・・・ゆ、由希さ〜ん?!』


口に含んだゴハンの粒が全部吐き出てしまったんだ。


「うわわ・・・きったねえ〜〜!!このブタ〜!吐くなよっ!」


突然の事でジャイブも避けられなかったようだった。


「ツナくぅ〜ん?終電逃しちゃってさあ〜・・品川にいるんだけどツナくんち近かったよねえ?朝までお邪魔していいかしらあ〜〜??」


いつもの由希さんと明らかに口調が違った。これは・・・まさか・・・しかもかなり酔っているようだった。


ゆ、ゆ、由希さんが部屋にっっ?!ぼぼぼ僕の部屋にっ?!!


『は、は、は、・・・はいっ!お、お、お、お待ち申しあげておりますっ!』


「不祥事起こした後の校長か、おまえは・・・。」


ジャイブがまたしてもハードにツッコミを入れた。


しかし嬉しいのもつかの間・・・・この汚い部屋に由希さんをあがらせるわけにはいかない。


『かっっ・・・片づけなければああああああ!!!!!!』


そして30分後、品川駅で由希さんを待つ、僕とジャイブ。


『ああああ・・・・・・今日は僕と由希さんにどんなドラマティックな展開が待ち受けているのだろう・・・・』


「妄想はやめとけ・・・おまえの場合、あとで凹むから。」


そんなやり取りをジャイブとしていたそんな時だった。


「きゃ〜〜〜〜〜〜!!」


『ひ、ひ、ひ、ひ、悲鳴だ・・・しかも女の人の・・・・。』


ジャイブが表情を変えた。


「なにがあったんだ?!よし!いってみるぞ、ツナ!」


半ばジャイブについていく形で悲鳴のする方向へ僕は駆け出した。


『・・・・何だか恐いなぁ・・・・』


そして見ると女の人が妙な男に背交い絞めにされ首には包丁が・・・。


その女の人は間違えようもない・・・・由希さんだった・・。


駆け付けた二人の警官は血を流してうずくまっていた。すごい血が出てたからきっと刺されたんじゃないだろうか・・・。


周りの人は蜘蛛の子を散らすように逃げていく。僕だけが取り残された。


「ツナ君!助けて!!」


由希さんを羽交い絞めにしている男には見覚えがあった。


『ああああ・・・こいつはあの強盗・・・・。』


そう、さっき店長に見せてもらったポスターの強盗だ。足が・・・震えるっ!恐い・・・死ぬほど恐い・・・。


「ツナ・・・刺される覚悟出来たか・・・?」


いつもチャラけているジャイブが真剣そうに言う。


『そ・・・そ・・・そんなわけないだろ・・・』


当然だ・・・刺される覚悟なんてそうそう出来ないよ。


「んじゃあ由希ちゃん見殺すんかっ?」


ジャイブが僕を睨みつける。


『そんな・・・・』


そんな相談をしてる間に強盗は由希さんをしっかりと締めながら一歩一歩近づいてくる。


「くぉらっ!そこどかんかいコラ!!」


強盗はもう僕のすぐ近くにまで迫ってきている。


『ひっっ・・・・』


僕はその殺気に押されて後ずさった。


「こんな時、練だったらどうすると思う?」


ジャイブの冷静な言葉に僕ははっとした。そうだ、ここでビビってたら由希さんはどうなっちゃうんだ!


僕はその刹那、覚悟を決めた。


『うわあああああああ!!!!』


僕は無我夢中で包丁を握りしめた強盗に体当たりした。

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