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VRMMORPG 「ザ・異世界」  作者: 焼き鯖~味噌煮もいいよね~
一章
1/3

第1話

暇潰しに楽しんで貰えたら嬉しいんじゃないかなー

村の入り口に旅人のような男が立っていた

「凄いな…」

ログインして最初に出た言葉だ


前も右も左も草原で、振り返ればそこそこな規模の町がある。自分の格好は麻の服に皮の胸当てと脛当て、皮のブーツ、腰には刃渡り50cmくらいの剣と小物入れ用の鞄があり、手には色々な物が入りそうな大袋がある。

鞄には銀のような小さな円盤と銅のような小さい円盤が数枚が入った小袋と、緑色の液体が入ったビンが2本、焼き固めたパンが2つ、大袋にはある程度長い縄と折り畳まれた袋(多分予備だろう)、あとは剥ぎ取りに使うのか短剣が入っている


「ほんと、凄いなぁ…」


見上げれば空がみえ、太陽が輝いている

草が揺れ、雲が動いている。風まで再現しているとは…

草もよく見れば一枚一枚葉脈まであるし、土もざらざらとした感じまで分かる。自分の腕を引っ掻いてみたら痛いし傷痕が白くなっている…あ、血が出た


「これがゲームか…」


本当に生きているかのように、本当にその場にいるように感じる。

今から新しい人生が始まる、そんな風に思いながら最初の一歩を踏み出した




時は遡り、一週間前


その日は特に変わった事は無く、いつも通り家に帰ろうと商店街を歩いていた。すると前方に人だかりが見えてきた


「なんだ?」


近付くと回りの声が聞こえてきた。どうやら学生が集まっているようだ


「当たったか?」

「いや外れ、一等なんて早々当たるかよ」

「まぁだよな…お、あいつが引くぞ」

ガラガラガラ…コロン

「残念!参加賞のティッシュでーす」

「うわぁぁ…」

「あーあ、これで俺ら全員外れか」

「誰が一等当てるか見ていくか?」

「そうするかー」


あぁ、あれか

一等は…ゲーム?いやなにか紙が貼られているな

えっと…「『ザ・異世界』優先券とハードの割引券」ね。

『ザ・異世界』って確か来週発売のゲームだよな?確か宣伝には「本当に異世界に行くのようなゲームです。体感は出来うる限りリアルに、NPCも本物の人のようになっています。ジョブも最初は旅人からですが、冒険者や商人、果ては一国の王様にもなれますよ?難しいですけどね」と言っていたな…後は「ただ、固定されたストーリーは無いですよ。各人で変わってきますし、他の人が先にクリアするともう出来ない事も多いですね。ステータスも変わっていて、何時でも見れるという従来のゲームとは違い特定の場所でしか確認出来ません。まぁ、ちょっと頑張れば何時でも見れる様になりますがね。」

…今思い出すと凄い宣伝だな


ゲームのPVを思いだし、本当に景色を映しているかのような映像に衝撃を受けたのを思いだしたのと同時に、開発者が言っていた最後の言葉を思いだした

「ただまぁ、今のRPGに慣れている人だと厳しいかもね。残念ですが、すぐに飽きてやめてしまうかもしれませんね。」・・・ヤバイな、物凄く気になってきた


なのでとりあえず近くにいた学生に話を聞いてみる

「すみません、ちょっといいですか?」

「はい?何ですか?」

「あれ、どうやったら引けます?」

「あぁ、あれは商店街で物を買ってきたら引けますよ。千円で一回だよ」

今の所持金は三千円と少しか…

「ありがと」

「18時までみたいなんで、やるなら急ぎなよー」


今は17時半か…急ごう



先ずは一回分を買ってきた

「はいいらっしゃい」

「一回分で」

「はーい、じゃ回してね。頑張ってね~」

よしっ

ガラガラガラ…コロン

「残念!参加賞でーす」


…まぁ、わかってた

さて、後ニ千円・・・





ガラガラガラ…コロン

「はい!六等のラップでーす」

だめ…か


「もう最後かな?」

「並んでる人も少ないし、あの最後の人までみたら帰ろうか」

「そうだな」


後、千円・・・・・・





やってしまった…


「あの人、三回目だよな」

「ああ、賭け事やったら駄目なタイプの人だな」


もう買ってしまっている…後には引けない

両手に買い物袋を持ちながら、何故くじ引きでこんなに緊張しなければいけないのかと考え、少し手が汗で湿ってきたなと思いながら自分の番を待つ


「後はあの人含めて三人か」

「一等と二等は残ってるねー」

「出るかね?」

「出ないんじゃねー?」


ガラガラガラ…コロン

「はい!五等の洗剤詰め合わせでーす」


遂に…きた

「一回分で…」

「にぃちゃん頑張るね~、はーい回して~」

さぁ・・・来い!

ガラガラガラ…コロン

カランカラーン

「おめでとう!『二等』の自転車でーす!」

あぁ…終わった


「惜しかった…のか?」

「かもな」

「いやー面白いもん見たわ」

「止めろって、おい」


はぁ…帰るか


「最後だよ!頑張ってね!」

「いやー、欲しかった自転車がもうないしなー」


その言葉に立ち止まってしまう


「とりあえず引きますか」

ガラガラガラ…コロン

カランカランカラン

「大当たりー!一等おめでとうございまーす!」

「うぇ!」


「最後に一等を当てるか…やるなぁ」

「ただまぁ狙いは違ったみたいだけどな」

「そこもすげぇー」


「・・・すみません、少しいいですか?」

「なんです?」

「よければ、景品を交換しませんか?」

「え、いいんですか!?」

「はい、家にはもう自転車ありますし」

「そうですかぁ、実は『ザ・異世界』の優先券はもうあるんで、正直いらなかったんですよね~」

「はぁ…凄いですね」

「はい!交換」

そう言って優先券(後、割引券)を渡してきた学生

「ありがとう」

「いいって!俺は自転車欲しかったんだから!」

「それじゃ、これで」

「ああ、ゲームで会ったらよろしくな!」


元気だなぁーとその背中をみながら思う、が


「自転車売ったほうがお金になるのになぁ~」

「おい、止めろって!」


・・・とりあえず今日はもう帰ろう

ただ、少しだけ早歩きにはなってしまった


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