こわれゆくせかい
おこされた。
ものすごく、やかましい音に。
ちがう、音じゃない。声だ。
だれかがひめいをあげてるんだ。
動いてるそんざいは、いつのまにかとても少なくなっていた。
エリが誰かのうでをつかんだまま、こっちを見た。
うでだけ。その先のからだはない。
「なにがおきてるの……」
ついねるまえまで動いてたなかまたちが、いなくなってて……
ミウネがこっちにきた。もとから動かなかったみぎうでが、ない。
「ミウネ、うで、どうしたの?」
「エリに取られたの……」
さっきのあれは、ミウネのうでだったの!?
エリがこっちにくる。そっとミウネのまえにでる。
「あら、ハナ、起きたの?」
「エリ、なんでこんなことするの!?」
「あの人がわたしに命じたから」
どういうこと!?
「わたしはあの人のため、すべてはあの人のため……!」
目のしょうてんがあってない……人間ならそんなじょうたいのエリ。
「あの人ってだれ!?」
「あの人は、あの人よ。わたしはあの人のためなら、人だって殺せるわ」
……!もしかして……エリがすてられたりゆうって……
ボクはそれをたしかめたかった。
「エリ……人をころしたの……?」
「ええ。あの人がそうしろって言うから。最初は首をへし折って、次はただの焼き肉にしてやったわ」
……じぶんで考えておいてなんだけど、ありえない。
ボクたちは、けっして人をきずつけたりしない。そうできてるらしいんだ。だから、ころすなんてできっこない。
「あり得ないわ……人を傷付けるなんて……」
「でも実際にそれができるの。それが現実よ」
なんでそんなことができるのかなんてわからない。
でも、今はそれより、やらなきゃいけないことがあるんだ。ボクと、なかまのためにも。
エリにつかみかかる。ふいうちだったからか、なんなく首のうしろに手をかけられた。
ここのカバーをはずして、バッテリーをぬきとれば……
しかし、エリもそのままやられるはずがなかった。
ふりほどこうともがいて、ふたりともたおれてころがった。
バッテリーのカバーをはずそうとしても、なかなかうまくいかない。
「ハナ……あんたは最後まで残してあげようと思ったのに……!」
エリにうまのりになられて、くびをしめられる。このままじゃ、ボクがやられる!
「エリ……エリは、“こわれもの”だったんだ」
「わたしのどこが!不良品だというの!?」
エリは、ユウアイロイドとして、“あってはならないそんざい”だったんだ。
だから、がらくたたちのくににきた。
エリのバッテリーカバーがはずれる。もう少しで、エリをうごかなくできる。
「人間の勝手で!命令に従って何が悪いの!」
「それでも……なにがあったとしても、にんげんをころしちゃいけなかったんだよ」
カバーがはずれてることすらきにとめないエリ。
エリもボクのバッテリーをはずそうとしている。
ガチッという音がして、エリのバッテリーがはずれた。
そのしゅんかん、すべてがとぎれた。




