表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤高の魔術師  作者: 白緑
第二章 始まりの街レラード
8/82

第八話 初依頼達成

遅れてすみません!

「お疲れ様」


「キュ〜ン」


ソラト草原から二十五分後、レラードの門の前にトゥルカナとルナは立っていた。

う〜ん。どうしようかな?とトゥルカナは考える。何を悩んでいるのかと言うと、ルナの事だ。ルナは今、トゥルカナと同じ目線の高さまで縮んでいるが、この大きさの魔獣を調教(テイム)した人はこの街にはいない。小鳥程度の大きさの魔獣や魔物を使役している調教師(テイマー)はたくさんいるため、トゥルカナが街にはいる分には問題ない。が、問題はルナをいれてくれるか、だ。いくら調教(テイム)しているからと言って、大きい魔獣に不用意に人は近づかない。このライオンは小さなときから人に育てられたから襲われないからと言われて不用意に近づくかと聞かれたら、それは否だ。人は無意識の内に大きいものに恐怖を抱く。と言っても、調教(テイム)された魔獣や魔物が、調教師(テイマー)や人を襲った、なんて事は今まで一度も無い事も事実だ。他の街ならば入れてくれるだろう。しかしレラードには前例が無い。入れてくれるのだろうか、迷いどころだ。


「考えても仕方が無い。よし、行こう」


「グルゥ」


トゥルカナの言葉に頷く。レラードの門へと歩く。


「おい!貴様!何者だ!そいつはなんだ!」


案の定、門に近づくと見張りが三人、寄ってきた。レーザーアーマーに身を包み、右手にショート・ソード。左手にラウンド・シールド持っている。


「この街の極楽亭という宿に泊まっているトゥルカナです。そしてこの子はルナ。私の調教(テイム)している魔獣です。ちなみに私のランクはFです」


「む、しかし、そのサイズの魔獣を調教(テイム)している調教師(テイマー)がいるという事を聞いた事はあるが見た事は………人を襲うということも考えられるしな」


何やら呟き始めた見張りにため息を付く。



「呆れましたね。それじゃあ貴方は調教(テイム)された魔獣が人を襲った、なんて事を聞いたことがあるのですか?見たことがあるのですか?もしあるのならばこの街から早急に立ち去りますよ。大体魔獣の大きさで入っていけないと判断する事自体がおかしいと思いますが。大きかろうと小さかろうと調教(テイム)されていれば同じ事です。なのになぜ入ってはいけないのですか?入ってはいけないならば私が納得するだけの理由を述べてください。貴方にはその義務があるはずです。言いたい事だけを言ってあとは説明無し、なんて事はやめてくださいね」


トゥルカナの容赦ない言葉のナイフに見張りが図星をつかれ、黙り込む。全てトゥルカナの言うとおりであるため言い返すことが出来ない。今までの対処としては、デカイからとか人が怖がるからとしか説明せず、明確な理由など述べていなかったため、説明が出来ないのだ。


「もし人を襲ったならば、それなりの責任は取りますよ」


黙り込んだ見張りに声を掛ける。見張りが顔を上げ、トゥルカナの顔を見る。


「しかし、これは何もしていない人の時のみです。街の人がルナにちょっかい出したり絡んできたり、私の事を馬鹿にして襲われた時は責任は取りません。それでもし、責任とれだことの取るといっただろとか言った場合は、この街を、潰します。私にはその力がありますので」


「わ、分かった」


トゥルカナの殺意の混じった声色に見張り達はおろおろする。いろいろと手続きを済ませ、街の中にはいる。


「うわ、やっぱり。面倒な」


街に入った途端、静まり返る。街の人はこちらを見てーーいや、正確にはルナを見てーー恐怖する。トゥルカナはそれをものともせず、冒険者ギルドへのまえに止まる。


「ルナ。此処で待っててね?すぐ戻ってくるから」


「キュ〜ン」


「あはっ、だいじょ〜ぶ。すぐだから」


離れるのが嫌なのか、トゥルカナに擦り寄る。トゥルカナはなだめ、なんとか了承してもらう事に成功した。


「先にいって置きますが、ルナにちょっかい出そうと考えている人は、やめておいた方がいいと思います。死にますよ?」


群がる街の人に向き直り、そう発した。トゥルカナはギルドへとはいる。依頼を受けた受付嬢の前に立ち、討伐部位を道具袋から出す。


「それでは確認いたします。フリーズキャット変異種の数は……29!?まさか…………分かりました。報酬の受け渡しに移ります。こちらが金貨6枚です」


金貨6枚がカウンターの上におかれる。


「ちょっと待ってください。確か報酬は4だったはずじゃあ」


「確かにそう記載されていました。報酬を金貨2枚分多くしたのは三つ理由があります。一つ目の理由としては群の数です。群れと言っても私達ギルドが想定していた数は多くて7〜8匹で、想定していた数を大きく上回る数だったことが一つ目の理由です。二つ目の理由としては討伐部位の状態の良さです。大体は汚れていたり欠けていたりとあまり状態がいい物ではありません。しかしこれは汚れもなく欠けてもおらずと、とても状態が良いです。むしろどうやったらこんなに綺麗になるか知りたいくらいです。三つ目の理由としては、依頼完遂にかかるまでの時間です。説明していませんでしたが、依頼完遂にかかるまでの時間により少なからず報酬は上がったりします。トゥルカナさんのように一日で、それも短時間で完遂した場合は大体銀貨50枚くらい上がります。逆に期限ギリギリの場合は

記載されているとおりの報酬となります。何よりも、群れの数を私達冒険者ギルドが見誤り、トゥルカナさんを危険な目に合わせたことが要因です。冒険者ギルドとあろうものが群れの数を見誤るなど、あってはならない失態です。私達のせいでトゥルカナが死ぬ可能性だってあったのに。すみませんでした」


そう説明し、受付嬢が頭を下げる。トゥルカナはしばらく沈黙し、考える。


「換金って出来ますか?」


考えた結果、あえて触れないことにした。


「はい!出来ます」


頭を上げ、元気良く答えた受付嬢に剥ぎ取ったフリーズキャット変異種を渡した。




全て合わせて金貨24枚となった。高すぎる値段だが、全て状態が良いとのこと。冒険者ギルドってお金がたくさんあるんだなぁと自分の事を棚に上げてぼんやりと考えるトゥルカナだったーー。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ