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孤高の魔術師  作者: 白緑
第一章 トゥルカナとミリアと薬草
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第二話 薬草採取

寝不足で書いたもので、文がおかしいところがあるかもしれません。


「ミリアは何しにきたの?」


至極真っ当な疑問をミリアにぶつける。

魔物や魔獣が住み着く悪魔の森からあまり離れていないところからこんな年端もいかない無垢な少女が魔獣に襲われていたのだ。しかも行き先は悪魔の森らしい。聞かない方がおかしいだろう。


「えっとですね。お父さんは鉱夫でして、重労働が祟り、体を崩してしまい、そのための薬草をとりに行くところです」


悪魔の森の恐ろしさは此処らに住む住人が一番よく知っているだろう。無論この少女も例外ではない。どんなところかはトゥルカナにはわからないが、危険なところというのは想像難くない。

この少女もこわいだろう。その証拠に


「震えてるよ」


トゥルカナの言葉にミリアはぴくりと反応する。


「一人でそんな軽装備で、震えながら、恐怖に怯えながら行くんだね」


「……っ!?私だって怖いですよ!本当だったら行きたくなんかないですよ!でも、でも!お母さんが物心つく前に亡くなってからお父さんは体を省みず働いてくれたんですよ!

普通の家庭ならお母さんとお父さんの両方がいるのに、うちは片方しかいないからしかも父親だから寂しいだろうって、少しでもお前には楽させてやりたいって言ってくれたんですよ!倒れてからは、すまなかったなって、楽させてやるって言ったのに倒れてちゃあ情けないよなって泣いて謝ったんですよ!どんなことがあっても私の前では泣かなかったお父さんがそう言ったんですよ!だから、だから!お父さんの役に少しでも立ちたいんです!早く良くなって欲しいんです!無理しなくて大丈夫だよって言ってあげたいんです!」


ミリアは泣きながら叫んだ。それは感情の吐露だった。お父さんの役に立ちたい、お父さんに早くよくなって欲しい、これは紛れもない本心なんだろう。だが、この世界は想像以上に弱肉強食だ。なんの力のない人間が望んだ結果を手に入れられないことはトゥルカナがよく知っている。強いものは奪い、弱いものは奪われる、それが弱肉強食だ。今回は、望んだ結果を得られないでは収まらず、ミリアの命すら失うだろう。不謹慎だが、トゥルカナは内心笑う。元の世界は退屈でつまらなかった。淡々と過ごす毎日。変わりも無い平凡な毎日。両親を失うということはあったが、日常には影響はなかった。たまに喧嘩を売りに来る奴らは半端者で、勝てないとわかったらすぐ逃げる、そんな奴らだった。しかし、この世界は想像以上に弱肉強食らしい。奪い奪われ、そんなスリリングな毎日をトゥルカナはどこか期待していた。そんな毎日が此処にある。そうわかったトゥルカナは高揚感を覚えた。


「ミリアが行っても望んだ結果をは得られない,命の保証もない。それでもいくの?」


「はい!」


「わかった。じゃあ、私も行く」


「え?」


「あそこまでいっておいてだめってのは認めないからね。それに、ミリアが一人で行くよりも見つけられる可能性は上がると思うよ」


「うっ、わかりました。お願いします!ってなにやってるんですか?」


トゥルカナはミリアに背を向けしゃがむ。


「なにって、ほら」


トゥルカナは背中を揺する。乗れという意思表示だ。


「ほらって、わかりました」


「しっかり捕まっててね」


トゥルカナは腰を落とす。ミリアはなにするのか察したのか、ギュッと捕まる。体が軽いなら、こんなことも出来るはず。足に力を込め、一気に地面を蹴る。

ドンッと音がしてトゥルカナは疾風の如く駆ける。その速度は馬の全力疾走に匹敵するだろう。


「にゃあぁああぁあぁああ!」


その時の空気抵抗は計り知れない。

悪魔の森からはかなり離れていたのだが、トゥルカナ達はあっという間に森の中に突入した。

突入してすぐ、腕が四本ある二足歩行の熊に出会った。


「ラングベア!?」


ミリアの顔が真っ青になる。

(なんでこんな入口付近で?ラングベアはもっと奥のはずでしょ!?)


「グラアァアァア」


「我流:縮地法」


道場で身につけた縮地法でラングベアに肉迫する。

ラングベアからしたら消えたように見えただろう。トゥルカナはラングベアの距離を一瞬で縮め、ラングベアの目の前に現れた。魔法がどんなものか知らない。だから、初めは言霊の要領で、体の中の未知な何かを乗せて放つ。


《凍れ!》


身体が凍っていく感覚を最後にラングベアの意識は途絶えた。

ラングベアは後ろに倒れ、粉々に崩れる。


「捕まっててね!」


トゥルカナは再度駆ける。

ラングベアを魔法一撃で倒したことの異常さからミリアは唖然としている。


「ギャアアァアア!」


空から目が三つの馬鹿でかい烏が飛んできた。嘴には牙が二本生えている。


《降り注げ!》


氷の矢が雨の如く烏に降り注ぐ。翼を身体を頭を貫き貫通し、それでも勢いは収まらず、地面に氷の矢が突き刺さる。

烏は地面に堕ち、血溜まりをつくる。あたりに血なまぐさい臭いが充満し、トゥルカナは顔を歪める。


「ハッ」


トゥルカナは地面を蹴り、跳躍する。烏を飛び越えて着地し、また駆ける。

それから魔獣や魔物に出会うことはなく、薬草が生えている場所へとたどり着く。


「泉、か」


その場所は開けており、真ん中に泉が湧き出ている。泉の真上から光が降り注ぎ、水面がキラキラとひかり、神秘的だ。


「大丈夫?」


そう言ってミリアを背中から下ろす。ミリアは地面に足をおろした途端、へたり込んでしまった。


「すみません。少し、休ませてください」


「うん。それじゃ少し休憩しよっか」


ミリアの隣に座り、ミリアに微笑む。ミリアは顔を赤くし俯く。あは、やっぱり可愛いなぁ。


「っ!?」


トゥルカナは飛び起き、ミリアの前に躍り出る。そして杖を振るう。甲高い音を立てて鉄の剣が落ちる。


「これを防ぐか、人間よ」


あたりに威圧的な声が響いたーー。









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