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何度でも挑戦するしかない…

 才能のある者は最小限の努力で最大限の成果をうまく手に入れ、才能のない者は最大限の努力をしても手に入れられる成果はたがが知れている。そのことを改めて思い知らされた。


 当時、姉さんはまだ国内で訓練中だったため、特別に授賞式に参加できた。JICA(独立行政法人・国際協力機構)もいい宣伝になると思ったのだろう。彼女は七月にコロンビアに行くらしい。


 それにしても受賞することで自らとJICAの宣伝を一気にしてしまうとは…。偶然とは言え、姉さんの偶然を引き付ける力はすごい。もはや、この才能は天性のものである。


 しゃしゃ丸も天性の才能と運に恵まれていた。新人賞・直本賞のW受賞により、発売から一年が過ぎたのに、未だに本は売れ続けている。通算売上は一六〇万部を超えた。まだ、第二作をまったく作っていないくせに、何不自由なく生活している。僕は休む間を惜しんでいろんな小説を書いて、やっと人並みの生活をしているというのに…。


 もう、受賞から二ヶ月が経っていた。あおいとの変なやり取りや姉さん・しゃしゃ丸の直本賞受賞を除けば、いつも通りの夏の終わりを迎えていた。結局、僕自身は何一つ変わってはいない。


 ただ、いたずらに月日は流れ、僕は与えられた仕事をこなすだけだった。それに抵抗するべく、今年もまた「大衆文学新人賞」に出す作品を書く。早いもので、もう四回目の挑戦になる。


 今年は「日付は進む、されど就職は決まらず」と言う就職氷河期の大学生を主人公にした小説を書いた。好景気に沸き、再び就職が売り手市場になっている今だからこそ、こういう小説を残しておきたかった。もしかしたら、また無駄に終わるかもしれないが…。


 先生と兄さんに新しく書いた小説を見てもらった。二人ともとてもいい作品だと誉めてくれたので、大きな自信になった。二人に言わせれば前作の「先生と教師の壁」がどうして選外になったのか、よくわからないらしい。


 受賞作よりも僕の作品がよかったと言ってくれた。初めはお世辞かと思ったが、僕なんかにお世辞を言っても仕方ないので、きっと本心に違いない。それでいて、新作は前作よりもできがよく、これで受賞を逃すようなことがあれば、何か他の力が働いていると考えていいはずだと、先生はおっしゃっていた。


 兄さんも一回受賞するよりも二回連続で最終選考まで残ったことがすごいと言っていた。だからこそ、出版社も受賞作とほぼ同じ扱いで単行本として出版してくれるのだろうと…。


 また、「先生の大きな背中」の単行本は発売から一年で十万部の売上があった。これは新人賞を取っていない無名の新人にしては異例の記録である。そのおかげで僕は以前では考えられないほど、かなり安定した生活を送れるようになっていた。

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