96 智洋とだったらどうなんの?
「な、なにしてんのかしらねえけど、終わったんなら放して……」
掴まれたままの両腕を解こうにも、間野の力が緩まない。てことはさっきのは小橋の手の感触? 採寸してるようなのは判ったけど。もういいだろ?
「いたっ」
指先で先端を摘まれて、顔を顰める。うー、やっぱイジメっ子だこいつら……。
両方を強く摘まれ、それから押しつぶされてと繰り返されて、初めての刺激にそこがじんじんと痺れてくる。かと思ったら今度は円を描くようにそこを指の腹で撫でられて、不思議な感覚が背筋を伝っていく。
「っは、ぁ」
涙で視界が霞み、小橋の顔が消えた。生暖かいものが先刻まで弄られていた場所を伝い、しっとりとした感触に息を呑む。
「あ、ずりぃ」
「私ではカズくんに力負けするでしょうから、マノはそのまま頑張っててください」
「ええーっ」
ぶうぶう文句を言いながらも手を緩めない。
うあっ……なにこれ。
ぶるっと体を震わせると、思い出したかのようにハーフパンツがずらされた。
「そういえばヒップがまだでした」
って、まさか下着脱がす気じゃねえだろうな!
流石にそれはやめて! これ以上行くと洒落になんないから!
蹴り上げてやろうと足に力を入れたのを見抜いたのか、そのまま布一枚残してメジャーが巻かれた。
取り敢えず良かったーと力を抜くと、ようやく間野が腕を放してくれた。
「いい眺め」
にやりと全身を眺め回されて、あたふたとシャツを下ろしてハーフパンツを上げる。
「誰のせいだと思ってんだよっ」
まあまあ、とメジャーを巻き戻した小橋が手帖になにやら書き付けている。
「この間抱いた感じで大まかなサイズは判っていたんですが、やはりどうせならぴったりが良いですからね」
「何か作ってんの? もしかして部対抗で着替えるとか?」
「ですよ。主にしげくんが裁縫担当です」
「俺は手伝わなくていいの?」
流石に何もしないのは申し訳なくて、さっきの狼藉も何処かに吹き飛んでしまった。
「当日をお楽しみに」
にこやかな小橋の隣では間野も扇子で口元を覆って佇んでいる。しれっとした顔しやがって、目が笑ってんだよ!
基本的に性根は悪いやつらじゃねえんだろうけど、どうにも悪戯が酷すぎる。
鍵は後で会長に返してくれと渡されて、二人は教室に戻っていった。
あー……またしても精神にマイナスポイント食らいました……。
誰もいなくなった部室で一人、二つくっつけて使っている長テーブルに突っ伏した。火照りの残る顔がひんやりして気持ちいいや……。
それにしてもあの二人のセクハラは酷すぎる。
会長がいても死角を突いてされるし、さっきみたいに誰もいなかったら止まるところを知らねえ。と、思ってたんだけど……意外にあっさり解放されたよな。
まああいつらは元々会長と同じ巽中出身らしくて、だったら当然共学だからノーマルな筈で、可愛いだなんだの言って触ってはくるけどそれ以上はないんだろうなと思う。だから俺もあいつらの行動に引き気味でもそんなに危機感はないっていうかな~。なんなんだろう。やっぱり小動物的な感じで弄られてんだろうな、俺。
どよんとなりながらも、高校生になって短期間で色んなひとと関わって、少しは大人に近付けているような気がする。
大人かー……。
そういえば、周はいきなり下半身に手ぇ出してきたけどさ、まああれは規格外だから比べちゃ失礼なんだけど。智洋ってばキス以上のことはしてこないよね?
肩とか首とか手とか……顔に近いところと見えている場所。舐めたり噛んだり。
それでいいのかな?
さっきみたいに、小橋にされたみたいにとかっ、されたら!
「っ……!」
ガバッと顔を上げて口元を押さえる。
ぎゃーっ! 想像しただけで血が上った!
メジャーの、あの感触とか、指とか舌とかの動き思い出した。そんで智洋の顔思い浮かべちまったよ!
「は、恥ずかしい……」
うきゅーっておでこを机に押し付けて冷やそうとしていたら、
「何が恥ずかしいんだ?」
頭上から、会長の低音が降って来た。
たまには男の子らしい妄想など。




