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Hand to Heart 【side A】  作者: 亨珈
猫の恋
94/169

94 二人とも食ったってどういうことですか!


 月曜日、登校してみると周はもう席に着いて長い足を通路に出して腰掛け、その机には辰が半分ケツを載せている感じで談笑していた。

「おっはよ」

 いち早く気付いた辰がひらひらと俺に手を振り、二人に向けて「おはよ」と返す。

 周には無視されるか目を逸らされるかはするだろうと身構えていたら、にこりと笑いながら挨拶が返ってきた。

 え? いいの……? まだ友達でいてくれるのかな。

 それとも、辰もいるしクラスメイトだから仕方なく、無理して挨拶してくれたのかな。

 まだ周の表情が読み切れていない俺は、視界の隅に二人を入れたまま自分の席に荷物を置き、やっぱり気になるからそっと二人に寄って行った。話題なら、ある。

「辰~、なあなああの後どうなったの?」

 興味があるのも確かだったから、率直に尋ねた。

 年上の女性と、一体どんなことして遊ぶもんなんだろ。さっぱり想像できないんすけど。

 んー、と首を傾けながら淡く微笑む辰は、周と二人でいると余計に俺と同級生だなんて見えないくらいに大人っぽい。浩司先輩も、一年の時からこんな感じだったんだろうかなんて、ふと思ってしまった。

「内緒?」

 組んでいる足の膝に指先をまとめて置いてふわっと広げて遣ると、うひいって体を震わせて俺から足を遠ざけられる。

 あは、くすぐったがりなんだ。新発見。

 ちょっと勝った気になっていると、顎を上げて、

「それ人にモノを聞く時の態度じゃねえっしょ」

 腕を組んでじとっと見下ろされる。

「あーやーまあ……ごめんな、平気かと思って試しただけ」

 素直に謝る。

「俺こう見えても結構繊細よ? ハートもだけど~」

 半ばふざけた様子で返されて安心していると、無言の周が辰の腰に上着の下から手を這わせて、今度こそ辰は「ひゃっ」って声を上げて跳ねるように立ち上がった。

「しゅうぅ~……!」

「服の上でもそれか。感度いいなお前」

「やめてー二人ともえっちぃっ」

 自分の体を抱き締めるようにして後ずさる辰は、遊んでいるようで実は半分本気で体が逃げているような気がする。台詞が半分棒読みだったけどな。

「んで? どんなだったんだ」

 流れを戻すためにもう一回訊くと、俺の方はともかく周は警戒することにしたらしく、机から二メーターほど離れた位置のまま口を開いた。

「ちょっとお茶して~、んで休憩して帰ったけど」

 えーと。お茶は喫茶店だろうけどさ。

「休憩?」

 こてんと首を傾げる俺を見て、ニヤッと笑う。あ、これ俺をいじめる時のカオですよ!

「折角ぼかして言ったのにさあ。休憩っつったらホテルっしょ。まあ実際は汗掻くから休憩にゃなんねえけどさ」

 しゃらっと言いやがりましたね……。

 ホテル! まじで!

 あのナイスバディなお姉さんと……うわあっ。

 想像しただけでカーッと顔が熱くなる。

「て、えっと、どっちと?」

 ストレートとソバージュと、どっちも美人だったよね。どっちが辰の好みだったんだろう。

 訊いたって仕方ないのについつい口から漏れて、やっぱり訊くんじゃなかったってすぐに後悔する羽目になった。

「どっちもー。三人で入れるとこあるし」

 うえあっ!

 予想を上回りすぎる返答に、俺の中の「高校生の日常」がパリーンと割れて砕け散った。

 し、心臓がっ! いやもう脳味噌もついていけねえ。ごめんなさい訊いた俺が間抜けでした住む世界が違いすぎましたー!

 ジャンピング土下座して謝りたい位真っ白になっている俺とは逆に、近くにいたクラスメイトたちが悲鳴とか歓声とか上げて一斉に辰を取り囲んだ。

「なにそのイカレた発言、殺す!」「ちょ、その前後もっと詳しく」

 主にそんな内容のことを口々に言いながら。

 それを聞いてちょっと安心する。

 良かった、俺が規格外なんじゃなくてやっぱり辰が特別なんだな。

 それにしても皆興味津々だよね~年頃の男の子なんだからこれが正常なんだけど。

 そんなことを思いながらふと周に目を遣ると、ほぼ同じタイミングでこっちに目を向けて。はにかむように笑って見せると、苦笑を浮かべた。

 あー……やっぱり相手が女性だと、そういう気になれないのかな。

 三年間で、嗜好自体が変えられちゃったのかな……。まあ、体を繋げることも、周にしたら特別なことではないみたいだし、話題に興味が持てないのかもしれないな。

 視線を落として参考書を取り出す周を見て、なんともいえない複雑な気分になった。


明日は微妙なエロでお送りします。


皆さま、良い年の瀬をお過ごしくださいませ~。

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