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Hand to Heart 【side A】  作者: 亨珈
猫の恋
90/169

90 口直し?


 雰囲気を読んだらしい運転手さんが「発車するから今すぐ座ってー」って声掛けてくれたのも幸いし、空いていた後ろの席にどうにか座ってくれた智洋を待ってバスが出発。

 走り出してすぐに俺は座席の隙間から説明して、ただの事故だったんだと言い張った。

 うん、嘘じゃねえし!

 そりゃあそれだけ近くに顔寄せてたってのが何かを狙ってだったのは嫌だけどさ、俺も不注意だったし。だって相手は周なんだもん……もっと慎重に行動しないと駄目だったよね……。

 途中から興味深そうにニヤニヤ笑い始めた周とは逆に、俺はどん底まで落ち込んでひたすら謝っていたんだった。



 威嚇しまくる智洋を上手にかわしながら、学園に着いた後は別行動に移る周。昼はいつものメンバー同士になるけど、どうせすぐに遊戯室で会うしな~。別に素っ気無いのはいいんだけども。

 先に食べ始めていた携の隣に座っていただきますをしてもう一度ちらりと確認すると、やっぱりまだ険しい顔してるような……。ふええ。

「まだ怒ってる……?」

 恐る恐る尋ねると、困ったように一瞬考えてから「怒ってねえよ」と返される。

 でもさ、顔つき怖いもん……不機嫌なのは確かだと思うんだ。

「大体、俺が怒ってんのは和明にじゃなくて谷本にだし」

 でもやっぱり怒ってるんだ……。

 隣では様子を覗っていた携が、そっと湯飲みを置いた。

「カラオケに行ってたんだったよな? 何かあったのか?」

「ええとー……あ、そういや智洋、辰は?」

 事の次第を話さなきゃならないのは明白だけど、うっかり聞きそびれていたので右を向いて尋ねた。

「あのお姉さんたちと遊びに行った」

 ポテトサラダを頬張りながら、智洋が応じてくれる。

「二人と一人で?」

「両手に華ってそれなりに楽しそうだったけど?」

「ふうん……」

 何して遊ぶんだろうな~。明日、教室で訊いてみよう。

 伴美さんみたいな人とならともかく、俺だったらあんな大人っぽい女性を前にしたら赤くなって黙り込んじゃいそうだ。

「で?」

 左横から促されて、慌てて俺は向き直ってかいつまんで今日の出来事を話した。事故のチューの件も言ったけど、「へえ、それはそれは」ってクスクス笑われて。

 智洋とは随分違う反応だなー。同じように「不注意!」って叱られるかと思ったのにな。

 シャールさんと挨拶代わりにキスしたりしてるから、そんなに深く考えなくてもいい感じになってんのかな、携の感覚では。

 右を見ると、智洋も意外そうな顔で携を見て、そうしたらつんつんと携にほっぺを突付かれた。

「なに?」

 振り向くと、柔らかな感触。至近距離に携の麗しい顔がありまして。

「はい、口直しな」

 すぐにすっと離れたけど、今確かに唇あたったよな!?

 恐る恐るもう一度智洋の方を向くと、呆気に取られて固まってた。

 お、怒ってない……? これはいいの?

 「おさきに」と出て行く携を見送ったあとで、ぼそっと智洋が呟いた。

「割と簡単にキスできるっつーのは判ったわ……。後で俺も口直しさせて。つうか、するけどな!」

 えええー……!?

 う、嬉しいけどさ……そんな宣言されても緊張しちゃうよな……。

 誤魔化すように、また掻き込むようにして昼飯を腹に詰め込んだ。



 部屋のドアを閉めた途端に抱き寄せられて、貪るように唇を奪われた。口直しどころか、犯された感満載なんですけどね……。

 き、気持ち良かったけどっ! 腰がへにゃんってなって、これからビリヤードだってのに困るよ~智洋!

 歯磨きする間くらい待っててくれてもいいのになあ……。

 だって、キスの後に歯磨きする方がなんか失礼な気がする。

 二人で一緒に歯磨きして、その後また軽くキスをした。

 智洋、負けん気強すぎだよな。



携とも初キッス。

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