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Hand to Heart 【side A】  作者: 亨珈
猫の恋
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76 にゃんにゃんにゃん♪


 翌日、俺は昼飯を早めに済ませてから栗原邸にお邪魔した。本当は朝イチからでも行きたいくらいだったけど流石に迷惑だろうし、午後だけでもめいっぱいセイジとまふまふさせてもらうんだ~。

 智洋も出掛ける予定はなかったらしくて、出掛けに姉貴にもたされた手作りクッキーを摘まみながら、今日は二階の智洋の部屋で読書タイム。

 実は来る前に猫用の釣竿なんか買ってきたので、それを見たセイジの瞳の輝きようったら半端じゃない。一応邪魔にならないようにと小さい方のを選んだんだけど、六畳の部屋なら真ん中に居ればじっとしててもセイジだけを駆け回らせるのに十分な長さ。床にポテッと落とした擬似餌を見つめて伏せてお尻を振り振り。

 くーっ! めっちゃ可愛い!


 少し動かすと全身がピクッと反応して飛び掛る寸前にタイミングを合わせて上に跳ね上げれば、それに釣られてぴょーんとジャンプ! ぎりぎり届かないことに焦れてきたら、たまには咥えさせて飽きられないようにする。

 そうやってどったんばったん遊びまくっていること小一時間。まだまだセイジは元気で、そんな中でもじっと座って隅の方で漫画を読んでいた智洋なんだけど。


「なあ、そろそろ腕疲れねえ?」

 声を掛けられて、そうかなあと釣竿を持った手を止めた瞬間にセイジが擬似餌にがぶり。鼻息も荒く釣竿ごと引っ張って真ん中のテーブルの下に潜って行った。

 しゃぐしゃぐ言いながら噛んでる~。まああれって歯磨き効果もあるみたいだからいっか。


 言われて見れば確かに上腕が少し疲れたような気もしてきた。ぐるぐる肩を回して、危ないからと勉強机の上に避難させておいたジュースを取りに立ち上がる。

 すっかり氷も溶けて室温になっちゃってるけど別に構わない。一気飲みしてからグラスを戻し、床に屈んでセイジを観察すると、俺に盗られると思ったのかずるずると引き摺って後退し始めた。

 無理に取ったら逃げちゃいそうだし、しばらくは好きにさせとくか~。


 ほう、と息をついて座り直して、ベッドに背中を預ける。

「休憩? 猫堪能した?」

 漫画本を閉じると、四つん這いで智洋がやって来た。今日も髪下ろしっぱなしだし、なんか可愛いんですけど!

 思わずプッと笑ってしまい、怪訝そうに首を傾げる様子がまた驚きの可愛さで。

「ごめっ……なんか、智洋が猫みたいでさ」

 くすくす笑っている俺を見て、別段気分を害した様子もなくそのまま近寄って来ると、

「じゃあ俺とも遊んで?」

 すりすりと、頬と頬を摺り合わされる。

「ふにゃっ」

 くすぐったくて、俺の方が猫みたいな声を出しちゃったよ。


 でも智洋ってば、二人きりの時は結構甘えただよなー。見た目とのギャップが激しいっつーか。俺なんか丸っきり弟キャラって感じだけど、やっぱり智洋も弟なんだよなって思う。まあ、今となっては二人とも姉貴に甘えたりなんか絶対できねえけどなあ……。


 そのまま唇が首筋に当たって、ピクンと体が反応する。柔らかく押さえられる感触と、ちろりと舐められる感触に、肌が火照り背筋に震えが走る。

「んっ……」

 ぎゅうっと智洋の頭を抱き締めると、動けない代わりとばかりに鎖骨の辺りを強く吸われた。

「んーっ! ともひろぉっ……」

 あんまりされたらまたムスコさんが大変なことになっちゃうんでっ。あ……涙出てきた。


 気付いた智洋が圧し掛かってきて、舌先で眦をぺろりと舐められる。そのまま鼻と鼻を摺り合わせては、至近距離で見つめられて、いくら慣れてきたとはいえやっぱり恥ずかしくて顔がカッカしてしまう。

 猫ごっこして遊ぶんだろうか、今日……。

 にゃん、とか言った方がいいんだろうかこの場合。


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