74 料理スキルは必須なのかも
「いやーっ、浩司くんどうして男相手だとそんな優しそうな顔とか声とかだすのかなあっ」
「そりゃあ元々女嫌いなんだからしょうがないっしょー」
後ろの方で女性陣が騒いでいたけど、意にも介さないって感じにいっぱい撫で撫でしてくれてから、
「俺もキッチン手伝ってくんなー」
と、ダイニングに行ってしまった。
うーん、もしかしなくても浩司先輩も料理作れる人なんだ?
昨今は男の手料理って必須条件なのかも……むむむ。
晩御飯は「もしかしてこれクリスマス会とか!?」と驚愕するほどに豪華に感じたのは俺だけでしょうか!
唐揚げ、コロッケ、各種野菜の肉巻き、マカロニサラダ、和風・クリーム・トマトソース各種パスタ、そしてミネストローネとコンソメスープ。
え? これ一時間ほどで作っちゃったとか?
うちの母親でも絶対無理なんですけど!
邪魔だから運んでーと声を掛けられて、大皿を持っては行ったり来たりするだけのおれと智洋。女性陣は飲み物やカトラリーを用意してくれている。
「凄いですウォルター先輩……」
尊敬の眼差しでうるうるしていると、
「いやいや、パスタ打つ時間なかったから乾麺だよー?」
なんて困った顔されました。
いや、スパゲティって普通は乾麺使わないですかね……。
「揚げ物は手があった方が速いから、浩司が来てからは速かったしな」
にこにこしながら手渡されたバゲットの籠を持ち、またリビングに運ぶ。
慣れた顔をして料理を並べている円華さんの横から、真ん中辺りに籠を置いた。家自体は広いけど、こういう風に集まって食べたりするなら丁度いいのか~。
「いつもこんな感じなんです?」
「え? ウォルター? そうだよ~。ウォルターの手料理って、たまに無性に食べたくなるんだよね。親より上手だしー」
テーブルの周りにカトラリーを配置している円華さんが、真面目に頷いた。
「浩司くんのも家庭の味で美味しいよっ」
テーブルの反対側に居る翔子さんもうきうきしている。
「あれは初めて二人でおうちに二人きりになったとき……あの時の炒飯の味は忘れられないっしょー」
「へいへい」
うっとり遠くを見つめる目つきになった翔子さんのことはスルーする方針らしき円華さん。
今日話した感じでは、噂通り翔子さんは一時期浩司先輩と付き合っていたっぽい。別れた後もこうやって友人同士で居られるなんて凄いなあと思いながら、だったらどうして別れたんだろうなんて不思議だったりも、する。
恋愛音痴というか、奥手すぎるんだろうか俺……。
解らないことが多すぎてどうにもならない。
エプロンを外した先輩たちが来て、なんだかパーティーみたいになった食事会が始まった。




