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Hand to Heart 【side A】  作者: 亨珈
猫の恋
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71 餌付けされてしまいそうです

「どうする? 流石に迷惑な気がするんだけど」

「だよな……確かに恋人ではなさそうだけど、仲良さそうだし。それに二人分も料理増えたら大変じゃん」

 細かいトコに気が付くよな、智洋。家で手伝わされてんのか?

 でも確かにそうなんだよなあ。

 栗原邸では挨拶の声しか聞こえなかったけど奥にお母さん居た気配してたのに、この家には今この室内に居るメンバー以外気配がしない。玄関の靴を見てもそんな感じだし、どんな家族構成なんだろう……一軒家なのになあ。

「二人ともー、心配してくれてるみたいだから一応言っとくけど、俺調理は趣味みたいなもんだから気にしないでいいよ? 運ぶ時だけ手伝ってくれたらOK」

 マドカさんが電話で話している隙に、いつの間にやら傍に先輩が立っていた。

「でもおうちの人には断りいれといてな。そこに電話あるからどうぞ」

 部屋の入り口にある外国の映画に出てくるみたいなクラシックな電話機を示されて、ついつい弾みで頷いてしまった。

 てことは今テーブルの上に並んでるのも全部先輩の手作りー!?

 お洒落だし、おいしそうだし、母親の手料理とは全然違って盛り付け方のセンスもいいし!

 なんなんですかこの人はもう!


 支度をするからとキッチンに向かった後ろ姿を見送り料理を見て涎を垂らさんばかりにしていると、携帯電話をしまったマドカさんが煙草の火を消しながら話し掛けてきた。

「すげえよな、ウォルターって。私もすっかり餌付けされちゃってさ~。もうそこまでされたら女ならイチコロ。『抱いて!』って感じだよなあ」

 ウシシ、って笑い方とか喋り方にしてもやっぱり面白い人だなあ。

 でも返答に困りますよ……。

「男はどうなの? やっぱり食べ物に弱い?」

 んん? まあ普通は女の子が手作りの弁当とか菓子を差し入れて、ってパターンだよね。うん、確かにそういうの、弱いかも……。勿論誰からでもいいってわけじゃあないだろうけど。

 されたことないからわかんねえなあ……でも。

「んー、先輩みたいなかっこいい人にされたらクラッとしますよねえ」

 両手でグラスを持ったまま、残りを一気に飲み干した。

「だしょー」

 こっちを指差してマドカさんは笑ってるけど、なんか智洋が不安そうに俺のことチラ見してて。

 どうかした? って意味を込めて顔を覗き込むと、目が泳いで「じゃあ電話借りる」と立ち上がってしまった。

 なんだったのかなあ。


 黒電話より軽かったけど、久し振りにダイヤル式の電話を掛けて懐かしさに浸りながら、先輩が持ってきてくれた揚げたてのフライドポテトを摘まむ。

 うまー!

 ファストフードの、潰して固めたんじゃなくて切って揚げただけのやつ。素材の味が生きててメチャうまです。


ダイヤルが戻るまで我慢できなくて指で戻したりとか・・・・・・しませんでした?(笑)

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