表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Hand to Heart 【side A】  作者: 亨珈
猫の恋
39/169

39 お勉強タイム

ムーンライトの方でルートが指定されましたので、指定外のルートをこちらで連載していきます。この話から内容が変わるイベントが出てきます。

 迷ってドアの取っ手と携を見比べていると、コンコンとノックの音がした。

「あのー、俺……栗原だけど。こっちに和明来てたりする?」

 聞こえてきたのは間違いなく智洋の声で。危惧していた通り、いつもの時間になっても部屋に戻らない俺を心配して探してくれたんだろうと思った。

「開いてるよ、どうぞ」

 応じる前に軽く溜息をついた携だったけど、ドアが開いてヒョコッと智洋が体を覗かせた時にはいつもの──穏やかな、それでいて必要以上に近寄られるのを拒絶するような顔に戻っていた。

 俺は立ち上がって居住まいを正すと、腰を折った。

「ごめんっ、智洋! 声掛けるのも忘れるくらい動転してて……。心配掛けたよな」

「ん……それはいいんだけど」

 入っていいか? と携に向かって確認してから、智洋はドアを閉めて俺の傍に寄って来た。

「聞いたら、凄い勢いでこっちに向かったって言うからさ。何かあったのかと思って。大丈夫なのか?」

 顔を上げた俺を見て、言葉を重ねてくる。

 あ、そっか……さっき泣いたから、きっと目が赤くなってるんだろうな。

「大丈夫! ちょっと携と行き違いって言うか……微妙に言い争いみたいになっちゃったというか。でももう仲直りしたし、全然心配なことねえから」

 努めて明るく言うと、俺の後ろに座ったままの携にも目を遣り、空気が和やかなのもあったせいか智洋も納得してくれたようだった。

「そっか。まあ中学から一緒なんだから、喧嘩したって仲直りの仕方よく判ってるよな」

「はは、まあ大抵一方的に俺が怒って、それが静まるまで携が待ってくれてどっちかが謝って終わりなんだけどな」

「へえー。なんか解る気がする」

 智洋は腕を組んでうんうんと頷いている。

「氷見って、和明のことなら何でも受け入れるだろ? だから基本的に怒ったりしねえと思う。けど言葉が絶対的に足りてないから気持ちが擦れ違うことってあるんじゃねえかなあ」

 う。なんだかその通りな。

 なんでそこまで判っちゃうんだろう……っ。

 まあ付き合い慣れてる俺ですら今日みたいに我を忘れてしまうくらいなこと、たまにあるんだけど。

 智洋って人のこと良く見てるんだな~。

 尊敬の眼差しで見詰めていると、照れたのかそっぽを向いてドアレバーに手を伸ばした。

「あ、じゃあ俺も風呂行って来ようかな。和明、点呼までには戻って来いよ?」

「分かった~」

 見てないだろうけどバイバイと軽く手を振って見送り、もう一度腰掛けた。

 鍵、別にもういいよな?

 智洋以外に俺のこと探してここに来るヤツいないだろうし、後は携に用があるヤツだけだろう。

 あ! そうだ。

「携」

 呼び掛けると、ドアの方を見ていた携が、ん? と首を傾げた。何か物思いに耽っていたようだ。

「午前中予習してて解かんねえとこあったんだ。物理なんだけど」

「んーと、滑車の摩擦とか?」

「そそ、それ」

 しょうがないなあと言うように頭をぐしゃぐしゃと撫でられて、大分髪が乾いていることに気が付いた。その髪の水分を吸っていた携のシャツも殆ど乾いたみたいで安心する。

 教科書を取るために立ち上がった携の後について、俺も奥の机の場所に向かった。



 携の指導によりどうにか理解した俺は、早目に部屋を出て記憶が薄れないうちに自分のノートにもう一度解いてみた。おお~! なんとかなった……。物理は当日に指名してくるから、自分が当たるところだけ解いておけばいい数学演習みたいにはいかないんだもんな。

 ほくほくしながら明日の用意をして鞄に詰めていると、智洋が帰って来た。

「おかえり~」

「おう。早かったな。ギリギリまであっちにいるかと思ったのに」

「うん、物理教えてもらったから自分一人で解いてみようと思ったんだ~」

「やるじゃん、じゃあもうそこはバッチシだなっ」

「た、多分?」

 軽口を叩きながら片付けを終えて、智洋は自分のベッドに寝転がった。洗いざらしでざっと乾かしただけの髪型は、昼間とは別人みたいに見える。智洋の場合朝もセットに使うから自分の物を持ち込んでいるんだけど、大浴場の洗面台にも沢山ドライヤーが完備してあるから、今日は向こうで乾かしてから帰ってきたらしい。

 俺はざっと乾かすくらいにしか使わないから、私物増えるのも邪魔だし持って来ていない。家でも家族共用だったしな。まあ今日はざっとどころか殆どタオルで拭かないまま携のトコ行っちゃったんだけど。

 手元の蛍光灯を消すと、俺も自分のベッドに行って腰掛けた。点呼までまだ少し時間があるので、室内履きも脱いで裸足になって布団の上に寝転がる。



指定年齢以上の方は両方楽しんで頂けますが、どちらかというとこちらがコメディタッチ、あちらがシリアスになります。

全く同じ文章の時は同時更新で、内容が違う場合はどちらか一方のみで、これまで通り毎日更新していきますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
web拍手 by FC2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ