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Hand to Heart 【side A】  作者: 亨珈
猫の恋
112/169

110 体育会! 4


 次のプログラムが二年生の大縄跳びで、赤組が勝利してちょっとだけ安心した。

 その次は一年生のスウェーデンリレーだけどこれはクラス対抗でC組勝利。俺も出場したけど、アンカーの智洋めっちゃ速くてかっこいいのなんのってうっかり見惚れてしまった。

 心の中でだけおめでとう!

 その次は二年と三年合同のリレーでこっちは赤白対決の四チーム。まあ、クラスの数が全然違うから仕方ねえよな。

 どうしても先輩たちは出番が多くなっちゃうわけなんだけど、白組のウォルター先輩……リレーなんか出しちゃって大丈夫なんでしょうか。勝負とかそういうのと縁が無さそうでホント気になって仕方ないんだけど。

 あ、整列してる間に会長に何か言われてる。へらっと笑ってたかと思えば渋面になって、渋々頷いてる。説教されたのかな?

 今回は浩司先輩が出ていないから一緒にレッツゴー拍子しながら視線はさり気なくウォルター先輩を追ってしまう。同じ応援団の森本先輩も出ていて、二人ともトップバッターらしくてスタートラインに立ってる。森本先輩もタッパあって甘いマスクで、ウォルター先輩とは別の王子様フェイスなんで二人並んで立っているとなんか目の保養って感じ。

 ドンドンドドドン! ドドドド! 「レッツゴー!」のリズムを繰り返しながら、心の中で「森本先輩頑張れ!」と唱える。

 二年も赤白一人ずつラインに立ち合計四人でトラック一周、十人一チームのリレー。パン! とピストルが鳴り、瞬時に四人とも飛び出した。

 二年生二人が内側なので最初はその二人が出ていたけど、あっという間に森本先輩が追い抜く。って思ってたら、なんとウォルター先輩並んでるじゃないですか!

 本気出せば速いんだ……!

 森本先輩、驚いた顔してすぐに視線を戻して走りに集中した様子。ストライド大きく取って前に出たけど、ウォルター先輩も離されない。そのまま二人争いながら二番手にバトンタッチとなった。

 後はもう走り手によっての抜きつ抜かれつの攻防戦が続いて、いよいよ襷を掛けたアンカーへとバトンが渡る。三年の赤組は今トップ走っているんだけど、白のアンカーは大野会長だ。それがまた速いのなんのって……。ゴール前までもたず抜かれて、トップは三年白、それから三年赤、二年赤、二年白と微妙な順序。

 全体的に白組優勢かもしれないな。はあ。

 つか、会長は万能すぎですーっ!


『それでは、これより昼休憩に入ります。競技は午後一時より開始されます。エール交換の各応援団は、十分前に校庭に集合してください』


 アナウンスの声に促されて、生徒は散り散りになっていく。イベント気分を出すためにか、今日は食堂じゃなくて弁当が教室に配られているらしい。

「じゃあ、早目に食って少し腹を休めてから集合な」

 浩司先輩が応援団員を見回して声を掛けて、「おす!」と口々に応じて周と一緒に教室に戻ると、もう箸と弁当が机の上に置いてあり、辰が机を移動させて二つくっつけているところだった。

「一緒に食おうぜ」

 にこにこしながら弁当三個を向かい合わせの机に置いて椅子も持って来てて、それ殆ど強制ですね? いや別に嫌だってんじゃねえけどさ。

 苦笑している周と一緒に教卓に置いてある薬缶から紙コップに麦茶を注いで席に着く。机は辰と周のをくっつけているから、俺は横に置いてくれた椅子に座った。

 一緒に頂きますをして、浩司先輩の活躍について熱く語る辰に全力で同意しながらも、食べる方優先で口を動かす。付き合いで相槌を打っている周も、手と口はさっさと動かしていて、二人とも食べ終わった頃にはまだ辰は半分くらいしか食べていなかったけどしょうがねえ。まだ二十分くらいあるからお茶を飲んで辰が終わるまでぽつぽつと喋りながら待って、三人一緒に廊下の手洗い場に行って歯磨きをした。

 ついでにトイレに行って食い零しとかないか顔のチェックして、まだのんびり食っている奴らもいる中、学ランに着替える。って言っても上はTシャツの上に着るだけなんだけどふと横を見ると辰がじっとこっち見てて、逆に不自然なくらいに周は視線逸らしてて、今更ながら恥ずかしくなる。

 お、男同士なんだから、下着みられるくらい……けどなんか周に限ってはちょっと気にしたりはするんだけども。


「辰? なんか変?」

「トランクス派なんだと思って~」

「あー、なるほど」

 前に風呂場で会った時、確か辰はボクサーブリーフだったような。ローライズのさ。

 考えた事もあるんだけど、どっちかというと股間がフリーな方が好みなんだよな、俺。辰はジーンズとかも細身のぴったりのやつ着てるし、だから下着もぴったりしてるタイプがいいんだろうな。

 そんなロクでもないこと考えながら、学ランに袖を通して襷の端を口に咥えてから肩に回した。

 同じ教室の中では白組のヤツらも着替えてて、本番気分が盛り上がってくる。

 ブルルッと武者震いしながらちらりと周を見ると、いつになく真剣な顔で目を合わせてきて。

「いよいよだな」

 拳を握ってぐっと突き出してくるから、こっちからも拳を出してこつんと当てた。

「二人ともカッコイイ!」

 カシャッと音がして顔を向ければ、満面の笑顔で辰がカメラを構えている。インスタントじゃないヤツ持ち込んでたんだ。思わず笑みが零れると、またカシャッ。

「今度はこっちが応援する番だな」

 スキップしそうに軽やかな足取りの辰と一緒に、気合十分の俺たちは白手を握り革靴に履き替えてからグラウンドへ向かった。


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