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Hand to Heart 【side A】  作者: 亨珈
猫の恋
104/169

104 い、入れたい、よな……?


 後で浩司先輩に呼ばれていることを告げると少し思案気にしていて、もしかして心配してんのかなってようやく智洋本人には色んな事言ってなかったと気付いた。

「あのな、今更なんだけど……ええと、浩司先輩とウォルター先輩と、ついでに周もだけどさ……こないだから俺たちのこと知ってる」

「は!?」

 当然だけど仰天されてしまった。

 うう、言うの遅くなってゴメン……!

「なんか俺、全部顔に出るみたいでさ、気持ち通じたのとか何かあったのとかピンと来ちゃうみたいで……で、前に浩司先輩にも言われてたし、この際だからって先週きっぱり周にはゴメンナサイしたんだ。だから周に関しては智洋はもう心配しなくても大丈夫だと思う」

 顔に出るっていう辺りは納得してくれたみたいで、それでも恥ずかしいのかばつが悪そうに唇を歪めていたけど、周に関しては頑張ったなって褒めてくれて。だけど先輩たちに呼ばれているっていうのが不思議なのは変わらないみたいで。

 ──けどさー、これの意味説明すんのはちょっと……恥ずかしいんですけど。


 もじもじと両手の指を組み合わせながら、そおっと上目遣いに智洋を見る。

「あ、あのな……智洋はさ、やっぱり、ええと……なんていうか」

 慎重に言葉を選んでいる俺を見て、僅かに首を傾げている。

「え、と……い、入れたい、よな……?」


 沈黙が痛いです。何か言って下さい。


 智洋のことだからまさか俺みたいなボケかましたりはしないと信じてんだけども。

 今この状況で何をとか訊くなよ、頼むから訊かねえでくれよ?

 心臓バクバクで媚びるようにじいっと見つめてしまう。変な汗出ちゃうよー……。

「と、智洋? 意味、解ってくれた?」

 喉仏が動き、ごくんと唾を飲む音すら聞こえてきそうな沈黙を破り、ようやく智洋が口を開いた。

「そりゃあ、まあ……」

 ああ、良かった説明しなくて済んで……。

 ほっと息を吐いて、でな、と続ける。

「あのさ、俺男同士の詳しいやり方なんて知らなくてさ……そりゃまあ男女のだって実際やったことねえからわかんねえけど! なんかでも多分出来るんじゃねえのって程度には知ってっけどさ、でも男同士だと準備とか色々あるって聞いて」

「準備……?」

 あ、ほら智洋だって知らないんだよやっぱり。

「ほ、ほら、そういうことのためにある場所じゃねえから、慣らすのとかあるって」

「あ、ああ……なるほど」

 また喉仏動いた。セクシーだな、なんて思いながらも一応説明できたことに安心して肩の力が抜けた。

「んで、やっぱ人前じゃそういうの言いにくいしさ……部屋で教えてくれるって先輩たちが」

 背凭れを両手で握り締めて体を乗り出すように説明する俺を眺めて、それでも智洋は不可解そうにしている。


「なんでそれ先輩たちに教わる必要あんの?」

「え? だって智洋も知らねえって……」

「言ったけどさ、先輩たちだってノーマルだろ? おかしくね?」

 腕組みして首を傾げている様子に、うーんと言葉に詰まる。

「世間広そうというか色々知識がありそう……って思ったんだけど。違うかなあ」

「知識ねえ」

 しばらく唸っていた智洋は、よし、と膝に手を置いて立ち上がった。

「俺も一緒に行く。当事者なんだからいいだろ?」

 え、と釣られて立ち上がると真剣に見つめられてドキドキした。

 いい……のかな?

 駄目なら中に入らずに戻ればいいかな……。

 曖昧に頷くと、「じゃあ風呂行こ」と準備を始めた。

「え? いいの?」

 入学当初以来の智洋との大浴場だよ!

 眼を輝かせて自分も準備を始めたら、申し訳なさそうに顔を覗き込まれた。

「あー……一緒には行くけど、脱衣所も中も視界に入らねえように離れとくから」

 絶句する俺を見て心底情けなさそうに口をへの字にする智洋。

 仕方ねえだろ、とぼそりと声が落ちる。

「和明の裸見たら、どうなるか解れよ……」

 手に持っていたスポーツタオルを落としそうになり、慌てて掴んで胸元で握り締める。

 それって、あのー……男の生理現象的なアレって解釈でいいんでしょうか。

 俺見て興奮するんだ……そ、そっか。そうなんだ。

 カーッと耳まで血液が集中して、視線が泳いでしまった。

「あは……わ、わかった。我慢する」

 恥ずかしくって、でも嬉しくて。

 タオルごとギュッて智洋の腕に抱きついたら、頭をぐりぐりと押し付けられた。

 なるべく早く出て、またあとでゆっくりしたいな。

 えっちなことしなくても、二人でくっついているだけで気持ちが落ち着くし、幸せなんだ。


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