島の探索 1
「ここがエデン島……」
島に到着したフランやサードアイの面々は島の外を見ると、延々と広がる海に圧倒されていた。
「これが全部資源になるって考えたらワクワクが止まらないんだぜ!」
フランは相変わらずだな……。
とりあえず瞬間移動を使える人達は使えない人達を連れてくること、そしたら物資運搬をして生活基盤を整えないとね……。
「とりあえずあそこに見える砦が保護の魔法が掛かっていて、掃除をすれば住めるから、当面はそこで生活を。フラン、君の力が必要だから手伝ってくれ」
「はいはい! 了解だぜ! フラン様の錬金術で暮らしやすくするんだぜ!」
というわけで、スクエニーとかも遅れながら到着し、子供達は初めて見る海や浜辺が興味津々。
ヒトミと何人かのサードアイの女性陣がアイやジャック、サードアイの子供達を面倒見てもらって、ボクとスクエニー、エレンやミラ、エールとかの面々は砦の掃除作業を進める。
「元々ここの島に住んでいた人どれくらいいたんだろうね?」
「どうだろうな……」
とりあえず砦には50人以上……詰めれば100人くらい生活できる部屋数がある。
壊れている3階とかも修復? 増築すればもっと住める住民数は増えるだろう。
あとはフランの錬金術をする場所とかも作らないといけないし、物資の保管場所も用意しないと。
砦の保管庫に全て詰め込むのは少々難しいし……。
「保護の魔法が掛かっているとはいえ、100年以上前の布やベッドが洗浄の魔法を使えば直ぐに使えるとはね!」
「ああそうだな。スクエニーは避難したわけだけど……不安とかはないか?」
「不安? あるに決まってるよ……でも別に迫害されているわけでもないし、皆がいるからなんとかなるかなって……」
「そっか……引き続きボクを支えてくれるかい?」
「何を今更……勿論だよ」
そんな会話をしながら魔力が尽きるまで砦の中を清掃しまくって、生活ができる様にしていくのだった。
夕方には運搬組もヘロヘロになっていて、砦に物資を運び込み、子供達も遊び疲れてご飯を食べた後には直ぐに眠ってしまった。
ボクも疲れたから眠ろうと思ったけど、隊長が部屋に来てくれって言われて、部屋を訪ねると、薄着で寛いでいる隊長がそこに居た。
「ちょっと今後の話をしようって思ってな」
「ジンじゃなくていいんですか?」
「ジンの方にもある程度は話してあるけど……魔王軍としての動きの方はバーンの管轄だろ?」
「それは……そうですね」
隊長はコップを用意して、お茶を入れてくれた。
サードアイの集落で育てられていた茶葉で、サードアイ達は茶の木を掘り起こして移植させようって考えているらしい。
育つかどうか分からないけど、本当に持っていけるものは全て持ってくる気だな。
「ふう……明日も頑張らないといけないけど、バーン達が砦を掃除してくれたおかげで思ったよりも快適に暮らせそうだ」
「ここが無かったらまたテント生活でしたからね」
「テント生活も悪くはないんだが……しっかりとした家で寝れるというのは安心感が違うからな」
「それもそうですね」
お茶をちびちび飲みながら、隊長の話を聞く。
「魔王軍のことって言うと、いつのタイミングで逃亡生活を終わりにするかどうか……ですか?」
「それもあるけど、復帰するなら戦果の1つでも挙げないといけないからね」
隊長もちびちびお茶を飲みながらどうしようかねーって話す。
実際隊長からしたら将軍様がこんなにあっさり倒されたのは想定外。
緊急の避難だから根回しとか何もなく逃げ出したからね。
「実際どれくらい戦果を挙げれは良いんですか?」
「魔王軍に参加したとある種族は町を3つと村を複数箇所攻め落として、そこの自治を魔王様から認められて族長が幹部入りしたって話は聞いたことがあるけど」
まずは対岸にある町や集落の把握。
地図を作るところから始めないといけないから、スクエニーと一緒に作って欲しいとお願いをされた。
「とはいえ今の人員……子供達も含めて動員しても2小隊分しか人員がいないわけですけど」
「……魔王軍から切離されたから補充兵は来ないからね……子作り推奨して子供を作るしか無いね」
そうなってくると強くなれば強くなるほど子供が授かりにくくなる点だけど……。
〈フランならなんとかしてくれるだろ〉
(まぁ……そうなるよね……)
「まぁボクが人間の集落から攫ってくるしかないですよね」
「うん、それもお願いするねぇ……あ、あとフランに言ってチンチンを作ってもらうんだって?」
「あ、知っていたんですか?」
「フランから聞いたよ。そうだね……生殖器がちゃんとできたら……私と交わるかい?」
「え! 良いんですか?」
「まぁバーンのことを私は気に入っているし……生えてからね!」
「はい! その時はお願いします!」
「うん! さーて、明日からも忙しいから眠ろうか。ベッドもあるし、私と一緒に寝るかい?」
「じゃあお言葉に甘えて……」
隊長と一緒に眠ったけど、なんかくすぐったいし、いい匂いがするのだった。
翌日、早速フランに採取の杖を渡して海から資源を取り出していくと、海から水の柱が立ち登り、塩や他の成分が塊になって海岸に落ちていく。
「うひょーこれは凄いんだぜ!」
各種成分の塊を回収していくが、《オレ》によると、海水に溶け出した金属だったり、肥料になる物質だったり……。
「空気から窒素を、海底に蓄積している魚やサンゴの死骸からリン、海中に溶け出しているカリウム! これを抽出すると……」
白い粒状の肥料がフランが意図すると、海水から分離して地面に山積みになっていく。
「ふむふむ! これは凄いね! この肥料を水に混ぜて植物や弱い魔物に与えればぐんぐん成長するんじゃないだろうか! 早速実験だぜ!」
フラン大興奮。
フランの手伝いとしてヒトミとギムレット、ポークの3人が付けられて、若干暴走気味のフランに付いていくことになる。
ボクはジンの指示に従って農地作り。
木々を切り倒し、ジンが土壌の成分を確認しながらサードアイの面々やボクに指示を出していく。
そしてフランが作り出している肥料を地面と混ぜて、水を大量にかけて地面の塩分を洗い流す。
「気候もあるからちゃんと育つかは分からないけど……とりあえずどんな環境でも育つ作物から植えていくか」
米とか小麦とかの穀物系はそれを生み出してくれるスライムに任せて、他の野菜……芋とか葉野菜とかを作り出していくのだった。
そんなこんなで生活基盤を整えていくこと数日後、ボクとスクエニー、スカーレットの3人でこの島の地下に広がるダンジョンに挑むことに……。
砦から地下に繋がる階段を降りていくと、最初は倉庫っぽい場所になっていた。
〈壁に手を当てる場所がある。魔力を流せば部屋全体に明かりが付くはずだ〉
《オレ》がアドバイスをしてくれたので、手を当てる。
すると天井から明かりが点いて、部屋全体を明るくしてくれた。
(なんか……ボクが生まれた研究所っぽさがあるね)
〈魔物を生み出したり改造する研究がされていたからな。多少は似るだろ〉
倉庫には魔物の種が種類別に保管されていたり、砦で使われていた備品とかが置かれていた。
歩いていくと、研究室っぽい部屋も幾つもあり、見たことない装置が置かれている。
ただ色々見ていくと、赤色の頑丈な扉が奥にあった。
〈さて、ダンジョンはこの扉の先から本当に始まるからな……気を引き締めろよ〉
(うん)
「開けるよ」
扉のスイッチらしいレバーを引くと、ジリリリと警告音を鳴らしながら扉が開いていく。
そこから先は洞窟の様に整備されているわけではなかった。




