↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました  作者: 星野林


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/33

強化への連鎖反応

 出産直後で回復魔法を掛けたとはいえ、体力を消耗しているミラとエールの2人はスクエニーとサードアイの女性陣に抱えられて、別の部屋のベッドでゆっくりさせることに。


 生まれたばかりのアイはお腹が空いたと言い出して、ミラの母乳を飲ませた方がいいのかと思ったが、体も大きいし、おかゆを食べれるんじゃ……って女性陣がおかゆを作りに台所に移動したら、ふよふよ空中浮遊しながら一緒に台所に行って、ミートスライムをガジガジかじって食べ始めていた。


 その姿を見て、天使とか女神とかにも見える容姿をしているのに、中身は魔族そのものだと女性陣はドン引き。


 ミートスライムを半分も食べたら満足して、ふよふよしながら外に出て日向ぼっこしながら眠り始める。


「……なんというか凄いな」


 逆にジャックの方は大きく生まれたけど、赤ん坊らしいといえばらしいな。


 エールの横で一緒に眠っているのは微笑ましい。


 隊長はとりあえずエレンとボクを招集して、1階のリビングで顔を合わせる。


「アレはなに?」


 隊長が言うアレとは窓の外で、全裸でふよふよ浮かびながら眠っているアイのことだろう。


「いや、俺にもわかりませんよ……俺の娘っていうのはわかりますが」


 エレンも自分の娘だけど……想像していた赤ん坊と違って生まれてきてくれた嬉しさよりも困惑の方が強そう。


(ねえ、これってボクがエレンとミラの子供は聖女が生まれるって言ったほうがいいの?)


 〈いや~根拠が《オレ》情報しか無いから言わないほうが良いと思うぞ〉


(だよね~)


 脳内で《オレ》と会話していたが、隊長はちょっと想像していた赤ん坊と違ったことで頭を悩ませていた。


「絶対に他の部隊に見つからないようにしないと」


「見つかったらまずいんですか」


「そりゃエレン、まずいよ」


 エレンの問いにサキー隊長は断言する。


 まず見てわかると言うよりオーラで格が高いことがわかる。


 ボクよりも色々な上司を見てきた隊長が、生まれたばかりで基地長クラスの格があるし、ボクが名付けたことで更に成長が進み、今の将軍様……くらいまで格が上がる可能性が出てきた。


「それが今の将軍様に知られてみろ、喜ぶような器の広い性格ではなく、気に入らなければ部下も敵も魔法でぶっ殺す幼い性格の人だぞ……絶対にろくなことにならない」


 こういうのを瞬時に計算できる隊長は流石の処世術というか……。


「というか……堕天使の母親から天使って生まれるの? いや、天使は天使でもかなりの上位天使……人間側だったら神の使いとして頭を垂れそうだけど……」


「実際取り上げたサードアイの女性陣が女神様が生まれたって言ってましたからね」


「俺は娘が凄い存在で喜んでいいのか……それともミラが凄いのか」


(両方です)


 ボクは心の中でツッコミを入れておく。


「よし、エレン! ミラをもう一度孕ませろ! 隊長命令だ!」


「ええ! 何言ってるんですか隊長!」


 実際再現性があるのであれば試した方が良い。


 〈ちなみにアイじゃなくてマリア……未来の聖女は1人娘だったけど、ゲームの仕組み的にアイは魔族に分類されるから、エレンとミラがまた子供作ったら同種が生まれるんじゃないか? 〉


(じゃぁまた上位天使が生まれると?)


 〈背中の幾何学模様が変わって魔法の適性が多少変わるかもしれないが……多分上位天使が生まれるんじゃないか? 〉


 天使って人間側の味方なんじゃないの? って思わずにはいられない。


 〈まー言いたいことはわかる。とはいえ、恐ろしいことに、アイに協力してもらえれば《オレ》らはめっちゃ強く成れる〉


(どうやって?)


《オレ》曰く、あの幾何学模様の背中に生えているのはトカゲの尻尾みたいなもので、一緒にくっついているけど痛覚とかはないらしい。


 で、治癒魔法をかけるか翌日には元に戻るらしい。


(え? それだけだと人を魔族化する時の触媒に使えそうだけど)


 〈それも使えるが……《オレ》らには魔石の杖があるだろ〉


(アレ使うのか!)


 そう魔石の杖を使って魔石化したアイの一部を取り込めば、ボクらの格も同格まで上げることができるとのこと。


(え、ここまで見越して動いていたの?)


 〈流れが上手く繋がっただけだけどな、エレンとミラの子供がちゃんと聖女級……まぁ上位天使になったわけだけど、生まれてきてくれるか分からなかった訳だし〉


(それをこれから隊長やエレンに伝えないといけないんだよね……ドン引きされそう)


 〈しゃーない、強くなるためだ。割り切れ〉


 今《オレ》と喋った流れを隊長とエレンに話すと、エレンは若干引いていた。


「娘を強化素材みたいに使われるのは父親としてなんとも言いにくいんだけど……」


「でも今のままだとエレン……将来アイに守ってもらうことになるぞ。父親として恥ずかしくない」


「それは……だいぶ恥ずかしい」


「でしょー」


 うん、エレンもだいぶ魔族側の思考になってきているな。


 一方で隊長は熟考中。


「今の段階であの格だから、名付けによる成長で今の将軍様くらいまで魔族としての格が上がる。その人物の魔石を取り込めれば……魔族としてかなりの強さになれる……」


 隊長も魔族だから強く成れるのであればやりたいという気持ちは強いだろう。


 とはいえ、アイが許してくれるかどうか。


 それ次第かな……。


 ボクは窓の外でお腹を膨らませて気持ちよさそう眠っている彼女をみるのだった。


「協力してくれるのであれば、それで強力な魔石を取り込みまくって、将軍様クラスとはいかなくても魔王軍の中核兵(将軍様の取巻き)クラスになれれば、取れる選択肢が多くなるよね」


「そうですね……なんならそこまで強くなれば避難場所作らなくても良いのでは?」


「かもしれないけど……まぁ何かあった時の避難場所は作っておいて損は無いから」


 強くなればアイだけ格が突出しているってことも無くなるし、魔族としての格が高まれば高まるほど名付けできる人数も増える。


 エレンだけでなくサードアイの人達やウルフ達も子作りをした時に自分の子供に名付けができれば、それだけで一定の魔族としての格を有することができるし、生存性が変わってくる。


(それに、格が上がればヒトミの人物探索の魔眼の力も強まるから錬金術師のフランを見つけられる可能性も高まる……か)


 〈まぁ明日からフランが各地に残しているノートの一冊を回収しに行かないといけないがな〉


(やることがいっぱいだね!)


 ただ選択肢が増えるのは楽しみでもあるのだった。






『うまうま〜』


 15歳くらいの少女の胸から出る母乳を5歳くらいの子供が吸い付く姿は結構……エッチい。


 あれだけ食べたアイは昼寝をした後に、起きてきたミラに抱きついて母乳をねだっていた。


 精神年齢な見た目相応って感じか? 


 受け答えが念話とはいえしっかりしているのは凄いけど。


 エールもジャックに母乳を与えていて、こちらは微笑ましい光景が広がっていた。


「バーンさん、出産ですっかり飛んでいたんですけど、私達ググッと成長したじゃないですか。これも魔族特有のことなんですか?」


「うーん、名付けのメカニズムはボクも詳しくは知らないけど知っている範囲だと……」


 ・基本格が強い者が弱い者に対して名付けが行える(アイとかみたいな生まれたばかりは例外)

 ・名付けされた人は精神年齢や実年齢に応じた姿に変化しやすい

 ・名付けられると1回りか2回り(個人差あり)で強く成れる。

 ・名付け親の格が強ければ強いほど成長の幅が上がる


 こんな感じだと質問してきたミラに伝える。


「人間から魔族に転生した場合は、転生の段階で強化が入って、更に名付けで強化が入るって考えると……結構凄いわね」


 確かにエールが言うように人間からだと実質2段階強化が入っているみたいなもの。


 スカーレットみたいに人間時代からある程度強ければ、その分だけ魔族に転生した強化だけでも戦えてしまうって感じだろうか。


「できたよー」


 スクエニーが今日は料理を作ってくれた。


 ミートスライムのひき肉で作ったハンバーグに鶏の卵で作った半熟の目玉焼きを乗せ、周りにご飯とピクルスって呼ばれる漬物が添えられていた。


 ピクルスはエールが前から作っていたのをもらった形で、最近は毎日食べていた。


 料理を食べながらも、エレン、ミラ、エールの3人に肉体の変化をどう感じたか聞いてみる。


「そうですね……なんというか気持ちが落ち着いたというか、物事をしっかり考えられるような……大人に近づいたって感じでしょうか」


「それはエレンが父親になったからもあるんじゃない? ミラやエールも母親になって精神が成熟したのが肉体に現れたかもしれないし」


 スクエニーが言うように親になったという事実が名付けの成長と噛み合って精神も肉体も成長したのではないか……と。


 それは大いにあり得る。


 ただこれでエレンやミラ、エールの精神性は人間から魔族にだいぶ変わってきたってことでもある。


 人間を見ても同族とはもう思えないだろう。


 戦闘になっても今なら大丈夫かな? 


「となると……もしかしてアイも名付けたからここから更に成長する可能性が?」


「あり得るな……」


 ここまで成長が早いのは上位魔族でもごく僅かだと思うが、なんというか……聖女が本来生まれる力を魔族にしたのはえげつないことをしたかも……。


『私もっと成長するよ!』


 ムフって鼻を広げてアイは答える。


 会話を理解しているのが既に凄いんだよなぁ……。


「スクエニーごちそうさま。美味しかったよ」


「うん、ありがとう」


 ボクはスクエニーに料理を作ってもらったお礼を言って、自室に戻り、明日からの潜入任務に備えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。