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量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました  作者: 星野林


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ホムンクルス集落での1日

 ホムンクルスの集落の書庫にて、ボクは彼らが保管していた魔道書を読んでいた。


 とても1日で読める量ではないが、《オレ》と一緒に読めば理解するのも早くなる。


 ボクか《オレ》が魔法の意味を理解できれば、それはもう習得したことになるから、普通の人より魔道書を読むだけでも魔法を覚えるのは早い。


 〈さてと……そろそろ戦闘スタイルを決める時期だな〉


(戦闘スタイル?)


 〈そ、最終的には満遍なく強くなるけど、どういう風に強くなるかの方向性を決める〉


 近接か遠距離か、物理攻撃か魔法重視か、速度重視か防御重視か……。


 〈ドラゴノイドは高い魔力量で遠近どちらも強く成れるが……《オレ》的には近距離できる魔剣士タイプに育ってくれるといいんだけどな〉


(魔剣士?)


 〈魔法が使える剣士……魔剣士。身体強化で近接攻撃力に強くなって、治癒魔法で自身の傷を治す。物理攻撃が効きにくい相手には魔法で倒すって感じだな〉


(なるほど)


 となると覚えるべき魔法は……。


 〈棚の上から2段目、右から3番目……黄色い背表紙の本を取ってくれ〉


(これかな?)


 ボクは《オレ》に言われた本を手に取ると、瞬間移動の魔法が書かれていた。


 〈お、ラッキー……瞬間移動の魔法があるじゃん〉


(使い方は……マーキングした場所に飛ぶことができる魔法?)


 〈そうそう、ゲームではお助け魔法として結構序盤に覚えることができるんだが、移動距離と質量分魔力を消費するから人間側でプレイすると魔法使いにでもならないと魔力量が不足するんだよな〉


(ボクなら大丈夫なの?)


 〈補助とはいえ魔族化の魔法10回行なっても魔力が尽きないから、相当な量の魔力がある……と思う。瞬間移動の魔法を覚えても大丈夫だろう〉


《オレ》はこの魔法の使い方として、移動手段に使うのが一般的だが、マーキングは手に触れた一瞬で刻むことができるので、事前に別の場所の石にでもマーキングをしておけば、戦場から一瞬で離脱したり、相手の体にマーキングをして石や矢じりでも飛ばせば、相手の体に大ダメージを与える武器になるとのこと。


 その威力は頑丈な鉄の盾や鎧を一撃で破壊できるほど。


 〈戦場に落ちている石が凶悪な武器に早変わりだ〉


《オレ》の戦術だと、石を2つ用意し、1つは人が密集してない人味方の場所に、もう一つは空を飛んで、雲に隠れながら敵の大将がいそうな場所に落とす。


 石を投げ込むでもいい。


 そしたらマーキングした石に瞬間移動を行なって、奇襲で敵の大将の鎧や体に触れる。


 そしたら直ぐに瞬間移動で離脱。


 あとはマーキングした相手に火球の魔法とかを飛ばしまくれば倒せるって寸法だ。


 やり方次第ではマーキングした石を敵陣に投げ込む。


 スクエニーに巨大なダークボールや火球を作ってもらう。


 ボクがそれを敵陣に瞬間移動で落とす。


 これだけで安全に大量の敵を倒すことができる。


 射程距離が短い爆弾みたいな魔法ほど効果が高い。


 〈爆弾みたいな魔法もこの書庫にねーかな? 〉


(あったら凶悪だよね……ん? 肥料を作る魔法)


 〈お、肥料を作る魔法は応用すれば空気から火薬が作れるから、大量の爆弾を作ることができるぞ〉


(火薬?)


 〈あ、そっか……魔王軍は火薬を知らないんだったな……人間側が使う火を近づけると爆発する粉だ。まぁこれは《オレ》もイメージしやすいし、ホムンクルスの人達も覚えているだろうからやり方を教えられるぞ〉


(ふむふむ)


 とりあえず今日は瞬間移動の魔法を覚えることに集中するのだった。






 翌日も、翌々日もホムンクルスの人達を魔族に変える魔法を行っていくが、3日目で触媒が尽きた。


 あとはちびちびボクの尻尾を切断して魔族に変えていく必要がある。


 そして元ホムンクルスの人達の農業は魔法によるゴリ押しだった。


 空気から肥料を生み出す魔法で肥料を大量に作ると、それを畑にばらまいて、成長力を促進する魔法を掛けた種を撒いておけば数日後には収穫できるほど大きくなる。


 水を与えたりするのも魔法で生み出した水や雨雲を作る魔法で人工的に雨を降らせたり。


 逆に、この様な魔法を使わないと自給自足を行うことが難しいのらしい。


 小麦や野菜の他にキノコ、あと豚と鶏を飼育していて、食文化は魔王軍よりも上。


 今日も魔族に生まれ変わったヒトミをリーダーにパスタを作り、真っ赤なトマトをたっぷり使ったスパゲッティを振る舞ってくれた。


 書庫での勉強を終えたボクは借りている家でくつろぐ。


 石造りのしっかりした家で、ボクらが拠点とするために、集落やの人達が修繕や清掃をしてくれた。


 スクエニーとエレン、ミラの3人と一緒の家に住んでいるけど、スクエニーはここ2日は疲れ切って、ご飯を食べたら直ぐに眠ってしまい、エレンとミラは隊長やジン達に文字の読み書きを教えてもらったり、ウルフ達に組手をしてもらって、こちらも疲れてボクが帰ると寝ているか、寝室で交わっているかのどっちか。


 ボクは家に帰ってからも、スクエニーに教えてもらった光源を生み出す魔法で、明かりを灯し、周辺の地図を見ながら《オレ》に今後どの様に行動すれば良いかの意見を求める。


 〈ホムンクルスを全員魔族に変えるまで1週間近く掛かる。動くとしたらそこからだな〉


 ボクは今いる場所に白い石を置く。


 そして味方がいる場所にも白い石を置いていく。


 補給兵の人達が伝令ついでにこの集落で備蓄している余剰食料を持って、他の部隊に売り込みながら情報収集をしているけど、砦が落ちてから5日で落とした村や町はまだ2箇所。


 ボクらがいる集落は除いてそれである。


 聞くと将軍様が相当苛ついているらしく、脱走兵や逃亡兵、成果を挙げられていない部隊員とかは懲罰部隊に組み込まれて、無理に突撃させて、戦線を拡大させているとか。


 兵員の補充は間に合うのだろうか? 


 〈何でこんな状態で味方の軍は勝ててると思う? 〉


(うーん……人間側も消耗しているから?)


 〈いや、違う。砦の兵員は消耗していたが、領主視点だと村や町を落とされても良いからこちらの消耗を狙い、直属の兵員は温存している〉


 確かに、村や町を守っているのは兵ではなく冒険者や郷土愛から志願した志願兵からなる防衛隊が抵抗しているらしいと隊長が言っていたっけ。


 〈引き込んで、敵が消耗したところを叩く……多分将軍様をどうにかできる決死隊でも編成しているところじゃないか? 〉


(それって……まずくない?)


 〈まずいけど、《オレ》らはどうしようもない戦場の流れだし、今《オレ》らがいる場所は僻地も僻地。人間側も魔王軍の脅威が無くなるまでは取りに来ない場所だから戦局に関与できないけど、その分こちら側は安全だ〉


 定期報告や物資提供、集落を1小隊で抑えているとなれば上層部もそのまま放置するだろう……とのこと。


(じゃぁ当分は力を蓄えればいいってこと?)


 〈そうだな……だからここら近くにある英雄の墓荒らしでもするか。英雄の装備品の回収と……部隊を育成できる教官役の確保でもしようか〉


(教官役? そんな都合の良い人物がいるの?)


 〈そんなの人間側から攫ってくるか、他の部隊が奴隷として捕まえたのを買い叩くんだよ〉


(あ、そんな感じ……)


 〈とりあえずホムンクルスを魔族に変える、瞬間移動の魔法を覚える、他部隊の様子を確認しながら過去の英雄の遺物を集める、良い人材が売っていたりしたら購入する。こんな感じだな〉


(了解……さてと夜も更けてきたからボクも寝ようかな)


 〈おやすみ〉


(おやすみなさい)


 こうして1日が終わっていくのだった。

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