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グレイトディバイド  作者: 白煤芒洋


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第40話「揺蕩≪たゆた≫う日々」

 船に揺られ、三人と一羽は新たな大地へ降り立った。


 ファリマ公国へ辿り着くと、グンダは王宮へと案内した。


「グンダ殿、お帰りなさいませ」


 宮殿の兵士がグンダを見かけると深々とお辞儀をする。


「この者達を厚くもてなすように」


 スギヤマ達は兵士に連れられ部屋に案内されていく。


「姫様!幻瑚(げんこ)の宝剣を手に入れました!」


「まことか!まさか本当に手に入れて戻ってくる者が現れるとは……。言いつけ通り幻瑚の宝剣を持ち帰った者と婚約じゃ!グンダ!お主が見つけてくるとは、無事で良かった」


 数日後、国中を挙げての盛大な結婚式が行われた。


 スギヤマ達は豪勢な料理を振る舞われ、腹が膨れると、王宮の綺麗な寝室で眠った。


 その夜……。


 スギヤマは夢を見ていた。


 見覚えのある仲間とペアでテニスの大会に出場する夢だった。


 息の合ったコンビネーションで順調に勝ち上がり、いよいよ準決勝という所だった。




「なぁ杉山、もう一ヶ月だぞ、いい加減目を覚ませよ」


 見舞いに来ていた本田は病室で語り掛けていた。


 杉山の点滴の繋がれていた腕がピクリと動き、うっすらと目が開かれる。


「まさかお前、気が付いたのか!ちょっと待ってろ、先生を呼んでくる!」


 その後、杉山は順調に回復し退院する事となった。


「あの占い師覚えてるか?結局俺一人で話し合いで見張りをしていて無事に話が進んだよ。意識が戻ったら連絡するように言われてる、今週末家に行こう」


 杉山達は占い師の家を訪れると、使用人に迎え入れられる。


 やがて見覚えのある顔をした女性が現れる。


「良かった、元気そうで、とても心配していたのよ」


 そう言うと近藤郁恵(いくえ)は笑顔を見せた。


 家に入ると食事が振る舞われ、その場には近藤つづらも出席していた。


「いやはや、トラックに轢かれ奇跡の生還か!運が良いのか悪いのか」


 つづらが楽しげに言う。


「体に不都合はないのか?」


 本田が尋ねる。


「今のところは問題なさそうだよ」


 杉山が答える。


「こちらの問題も、あの後すっかり解決してね、船を売却してその資金で別の事業を始めたところ上手くいっているみたい」


 郁恵がほっとしたように言う。


「ご馳走様でした」


「いつでも来ていいからね」


 郁恵の家を後にすると、それぞれの帰路につく。




「いよいよ大会だな杉山!これまでの練習の成果を発揮する時だ」


 杉山と本田はペアを組んでダブルスの試合に参加していた。


 一回戦、二回戦と順調に勝ち進んでいき、準決勝の試合が始まった。


 杉山は試合中ふっとどこか遠い風景を思い出し、集中を途切れさせていた。


 そこでは杉山が素手で多くの異形と戦う存在しない記憶……。




「スギヤマ、どうしたのよ、上の空で」


 晴れ渡る晴天のもと、木陰でリルが話しかける。


 銀色の鳥は優雅に羽を動かしていた。


「ああ、ちょっと昔の事を思い出していた」


「そう、そろそろシティス達と待ち合わせの時間よ。行きましょう」


 シティス公国の王宮でグンダ達と合流すると、グンダが話を切り出す。


「ところで姫がまた別の宝を欲してるんだが……協力してくれないか?」


「えぇ!?次はこの国の王様でしょ、国を開けて大丈夫なの?」


「無茶が出来るのも今の内なんでな、今度の旅が終われば死ぬまで面倒は見るぞ」


 スギヤマは首に手を伸ばすと、それまであった刻晶は消えていた。


「はは、もう力もないですし、遠慮しておきます」


「そうか、それも良いか。姫への説得を考えておく」


「それじゃ話はここまでね。スギヤマ、後で昼ご飯を食べに行きましょう」


 シティスが嬉しそうに誘う。


 街へ繰り出すと、穏やかな風が吹き抜け、花壇に水やりをする人や楽しそうに遊ぶ子供たちの姿があった。


 スギヤマはこれからも平穏な生活が続いていくことを願った。


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