表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣に立つ  作者: 松本ゆきみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/28

選択前夜

夜は、相変わらず静かだった。

それが、少しだけ怖い。

須郷迅は、机に向かったまま、

進路資料を閉じた。

読み切ったわけじゃない。

答えを出したわけでもない。

ただ——

これ以上見ても、揺れるだけだと分かった。

(……逃げてねぇよな)

自分に問いかける。

今日は、

誰にも連絡していない。

頼らなかった。

縋らなかった。

それだけで、

胸の奥が少し痛む。

一方で、

佐藤玲奈は自室の明かりを落としていた。

布団に入っても、

目は冴えている。

机の上には、

二本線を引いた進路メモ。

第一希望。

第二希望。

どちらも、現実的だ。

(……それでも)

どちらを選んでも、

何かを手放す。

「平気」

そう言い聞かせる癖が、

今夜はうまく機能しなかった。

スマホが震える。

——迅。

短い文。

『明日、

 面談の結果、

 話していいか』

玲奈は、

すぐには返さなかった。

(……揺れてる)

それは、

依存じゃない。

選択の前に立っている人間の揺れだ。

しばらくして、

短く打つ。

『はい。

 聞きます』

それだけ。

迅は、

その返信を見て、

深く息を吐いた。

(……並んでる)

でも、

決めるのは自分だ。

玲奈も、

天井を見つめながら思う。

(……並んでる)

でも、

代わりに選ぶことはできない。

夜は、

何も起こさなかった。

声を聞かなかった。

会わなかった。

それでも、

それぞれの場所で、

 選択の前に立っていた。

それが、

最後の揺れだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ