また近いうちにきます
短めです!
どこか、慣れた香りが鼻腔をくすぐる。
ん、と目を覚ますと、目の前にはアルヴィンがいた。心配そうな顔でこちらを覗き込んでいる。
「・・・アルヴィン様?」
「!————大丈夫ですか、マリアンナ嬢」
何故か、アルヴィンは驚いたように一瞬、目を見開いたけれど、すぐにわたしを安心させるような微笑をたたえた。
「は、い・・・。ここ、どこですか?」
わたしの弱々しい尋ねに、アルヴィンは痛ましそうに眉を寄せた。
「覚えていませんか?貴女の屋敷で、お茶会をしようと言うときに、貴女は倒れたんですよ。意識がなかったですし、かなりの高熱を出していましたから、記憶がないのは仕方ありませんが」
アルヴィンの言い分に、わたしは目を見開いた。
そうだった。アルヴィンとともにお茶会をして、婚約者としての交流を図ろうとしていたのだったわ。すっかり、忘れていた。
「そうでした・・・。あの、倒れてしまい、申し訳ありません・・・」
わたしが恐縮して、縮こまると、アルヴィンはにこやかな笑顔を浮かべてくれた。
「気にしないでください。私は今日はもう、これで帰ります。また、お邪魔させていただいてもかまいませんか?」
彼が帰ってしまう、ということに残念な気持ちを覚えていたわたしだったけれど、その言葉をきいて、ぱっと顔を輝かせた。
「もちろんです!またいらしてくださいませ。わたくし、今日はこんな姿で送り出すのはとても、お恥ずかしいのですけれど、お気をつけて」
「ありがとう。ではまた来ます。近いうちに」
「ええ。お待ち致しておりますわ」
にっこりと笑顔を作り上げ、アルヴィンを全力で見送ったわたしは————力尽きて、また泥のように眠り込んだ。
他にも、作品を投稿しておりますので、良ければそちらもぜひ!!(宣伝すみません・・・)




