大切に、したいもの
「最近、どうだね?王弟殿下とは」
最初、わたしがすねたお茶会から、何度か交流を重ねたある日。夜に、父の執務室に呼び出された。
「どう、ですか。楽しくやっていますわ」
そう答えると、父はこれまでに見たことがないほど柔らかい表情になった。その相好の崩しっぷりに、わたしは目をみはる。
「そうか。良かったよ。その様子ならば、大丈夫そうだね」
「はい、おかげさまで楽しく交流できておりますわ」
「そう、なら良いんだけれど。そうだ!」
そこで、父はポンッとわざとらしく手を打つ。
「いや、わざとらしすぎるんですけど?」
「二人の仲睦まじさを貴族の皆様にお知らせしておいで。今度、王家が開催する舞踏会があるだろう?それに、二人で出てくると良い。私とレノーラは、ちょうど領地にいく日だからさ」
いや、突っ込み、ガン無視!?
けれども、父の提案は妥当だ。貴族の人たちにもそろそろ、お披露目をしなければならないはずだし、それこそちょうど良い機会だ。
「・・・ラージェント公爵様に話してみます」
「うん、そうしてくれ」
父の執務室を辞して、わたしは部屋で一人、舞踏会のことをずっと考えていた。
もちろん、公爵令嬢なのだから、舞踏会に出席するのは、日常茶飯事だ。一年の約三分の一を舞踏会で過ごしているような気がするほど。
けれど、今まではエスコートはパートナーがいない従兄弟に頼んだり、長兄に頼んだりしていた。その
ため、親族以外の男性にエスコートしてもらったことがなかった。
「どうしよう・・・。上手くやれるかしら」
少し、不安になってきた。
アルヴィンを思い出す。意地悪く笑うアルヴィン。悪戯が成功したというようなアルヴィン。笑顔を単に貼付けただけのようなアルヴィン。
全て、思い出すだけでどきっとする。どうしてなのかは、————分からない。
ただ、この感情を大切にしたい。そう感じた。
引き続き、読んでくださり、ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
まだ、続きます!
投稿は不定期に行いますが、頑張るので、読んでくださると嬉しいですᕦ(ò_óˇ)ᕤ




