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お初にお目にかかります

新連載、始めました!

今度は、『完璧』な二人の恋物語です〜!

お楽しみくだされば、幸いです。

選んでくださり、ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

よろしくお願いします!

「お初にお目にかかります、ラージェント公爵様。わたくしは、マリアンナ・クラリスでございます」


 そういって、にっこりと微笑んでから、すっと腰を落とし、カーテシーをする。それから、また視線を戻すと、目の前の紺色のような髪に、金色の瞳を持つ男性は嘘くさい笑みを浮かべて、わたしにいった。


「ご丁寧にありがとう、マリアンナ嬢。改めて、私はアルヴィン・ラージェントだ。どうぞ、これからよろしく」


「はい、こちらこそお願い申し上げます」


 そう言って、微笑む。目の前の男性——アルヴィン・ラージェントも同じように微笑みを浮かべた。その様子を、隣でわたしの両親——クラリス公爵と夫人、それから、ミゲルの兄である、国王陛下と王妃殿下がにこやかに見守っていた。


「まあまあ、素敵なご縁をいただきまして、本当にありがたいことですわ。うちのマリアンナは本当に、

もうすぐで婚姻適齢期もすぎそうなところでございましたから・・・」


「あら、素敵なお嬢さんではないの。クラリス公爵夫人も、ご自慢のお嬢さんなのでしょう?」


「まあ、王妃殿下、そのような恐れ多いお言葉をいただいて本当にありがたいことでございますわ」


 わたしの母と彼の義姉がやり取りをする様を見ていた国王陛下がふふっと笑って、わたしに話しかけて

くる。


「いやあ、うちの弟をもらってくれてありがとうね、マリアンナ嬢」


「いえ、とんでもございません。わたくしこそ、良縁に恵まれて、本当にありがたいと思っております」


「いや〜、本当によくできたお嬢さんだね、クラリス公爵。素敵なご令嬢に、うちの弟と結婚してもらう

のは、どうにも忍びないねえ」


 国王陛下がはははっと笑う。父である、クラリス公爵はいやいや、と同じように笑った。


「うちの娘のようなものを王弟殿下にあてがうようで申し訳ないのですがねえ・・・」


「そんなことはないよ。なあ、アルヴィン?」


 はじめて国王陛下がミゲルに話しかける。ミゲルは笑顔をはりつけ、「ええ」と頷いた。


「社交界の白梅と名高いマリアンナ嬢が婚約者だなんて、光栄です」


 内心、瞠目する。わたしの銀髪にちなんだ、『社交界の白梅』。まさか、今その名前を出されるなんて。恥ずかしい限りだけれど、『白梅』にふさわしい振る舞いをしなければならない。わたしはかなり努力して、笑顔を顔に浮かべた。多分、かなり引きつっているに違いない。


「ま、まあ・・・。そのような名前、わたくしにはふさわしくありませんわ・・・」


 そう言ったわたしを父、公爵はニコニコと笑って、なだめた。


「まあまあ。ここは素直に受け取っておくもんだよ。それにしても、僕が考えた、『社交界の白梅』だけれど、意外に広まったね」


 お前か——————————っ!


 思わず父親に向かって叫びたくなるのはしょうがないだろう。うん、しょうがない。


「あ、そうだ。公爵、今いうのは悪いと思うんだけど、」


「ああ、仕事ですね?」


「え、お父様、今陛下が何も仰らないうちから仕事って仰ってましたね?」


「気のせいだ」


 いや、すぐに否定したけれど、絶対にいってた。多分、これは『あとはお若いお二人で』のパターンじ

ゃない?


「あら、そう言えば、クラリス夫人?サロンで一緒にお茶でもいかが?おいしい紅茶を手に入れましたの」


「あら、嬉しいです。では、ご相伴に預からせていただきますわ」


「では、決まりだな。マリアンナ嬢とアルヴィンは二人で話していると良い」


「今日は、薔薇園も開放するわ」


 王妃殿下の言葉にわたしはぎょっと目を見張る。嘘でしょう!?あの、若かりし国王陛下——

その頃は王太子殿下——がその頃の王太子妃殿下に贈られた、誰にも今まで見せたことはないというあの噂の薔薇園をっ!?

「い、いえ。それは恐れ多いことにございますので、遠慮させていただきます・・・」


「あら、そう?なら、別の庭園を開放するわね」


「ありがとうございます、義姉上」


 って、えええっ!アルヴィン様も普通に受け入れているし、良いの?これは、お言葉に甘えちゃって良いんですか?誰か教えて〜!


 わたしは笑顔の中で頭をフル回転させ、にこっと笑顔を深めてから、王妃殿下に向き合う。


「良いのですか、王妃殿下?」


「もちろんよ!大歓迎だわ!アルヴィンくんと仲良くなってほしいもの」


「まあ・・・嬉しいですわ、ありがとう存じます。では、お言葉に甘えさせていただきますね」


 そう言って、ニコニコと微笑む。母もニコニコと笑いかけてくれたから、多分これが正解なはずよ。


「ええ、たくさん甘えてちょうだいね!わたくしも、貴族から王家に嫁いだ身ですもの。何か相談したい

ことがあったら、何でもきいてちょうだい。わたくしは王妃という身分があるけれど、貴女の相談に乗る

ときはその身分は気にしないでほしいの」


 王妃殿下はついにわたしの手をとって、親身になってくださると約束してくれた。思わず頷きそうになる自分を叱咤しながら、恐る恐るきく。


「お気持ちはとても嬉しいのですけれど、何故そこまでしてくださるのですか?」


「あら、マリアンナ、不敬よ。王妃殿下、申し訳ございませ・・・」


「良いの、夫人。気にしないで。・・・そうねえ、なぜかしら。ああ、そうだわ。あのね、この人の」 

この人、のところでばんばんっと国王陛下の肩を叩く。内心、ひええっと思ったけれど、顔には出さず、神妙な顔をしてきき続けた。


「お母様・・・前王妃殿下がね、とてもお優しくって。丁寧に相談に乗ってくださったのよ。おかげで、わたくしは最初の式典の時とかでも、失敗せずに取り組めたの。緊張したときのおまじない、とかね、いろいろ教えてくださって。そのときのことが今に繋がっているのよねえ」


 王妃殿下はだからね、と目を細めつつ、笑いかけた。


「わたくしもその優しさをつなげたいの。ほら、思いやりの連鎖って感じかしら?」


 王妃殿下が笑みをこぼされたのを見て、わたしも思わず微笑んでしまう。


「素敵なことだと思います。では、わたくしもお言葉に甘えさせていただきますね」


「まあ!嬉しいわ。これからは、お互いに義姉と義妹になるのよね!素敵〜!これからよろしくね、マリアンナちゃん!」


「ま、マリアンナちゃん?・・・はい、よろしくお願い申し上げます」


 わたしはニコニコと微笑んで、快諾する。母も仕方ないわね、というような笑顔で見守ってくれていた。


「では、参りましょう、マリアンナ嬢。どうぞ、お手を」


 アルヴィンがそう言って、手を差し出してくれる。その仕草までもが完璧で、やはり自分と同じだ、と

感じる。わたしもまた、寸分のぶれもない仕草で手をのせてから、見上げた。


「お願い致します、ラージェント公爵様」

読んでくださり、ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

次に続きます!

投稿は不定期に行いますが、頑張るので、読んでくださると嬉しいですᕦ(ò_óˇ)ᕤ

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