プロローグ
ジャンルは学園物ですが、きっと違います。
高校生ですが、学校メインではありませんし。
そんなことはまあ、どうでもいいですよね。
楽しんでもらえればうれしいです。
この世界は現実と虚構が入り乱れている。
なんて、そんなふうに言えばどんな混沌と世界なのかと思われるかもしれないが、なんてことはない。ふつうの、ごくごくふつうのありきたりな世界だ。けれど『ふつう』なんて、そんなものの中に収まってしまうというのは悲劇に他ならず、何をもって『ふつう』なのかも立場によって異なるだろう。
ぼくは彼女たちと出会ってからそう思うようになった。もともとそういうことが起こるとは知っていたから、あとは認めるだけだった。
「そもそもそんな学問で語れる話じゃないんだ」
と、全てが終わった後に言われた。
「この世界は並行世界の一部さ。たとえばAの世界とBの世界が交わったとき、世界と世界の概念が混じり合いその存在が流出することがあるんだね、これが。ま、理解はしなくていいよ。覚えておけば」
だから、その学問は大方当たってるけど、間違ってる。彼女は続けた。
やっぱりぼくには理解できなかったけれど、うん、今でも、一連の出来事が終わりを迎えたいまでも、ぼくは理解できていなかった。ただ、その学問には矛盾があることくらいには気づいた。
それがその並行世界というものの存在を裏付けるものか、ということはさておいて。