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夢見鳥の丘と、彩月のアンドロメダ

作者: 逢乃 雫

陽のあたる坂道を


丘へ上る景色に



やわらいでいく


彩月(いろどりづき)の日差しを浴びて



出しそびれた夏の


手紙をそっと



手渡すように


風にかざした手のひら



光の中で踊る


葉たちはまるで



もぎたての


シャインマスカット



移りゆく季節を


結晶のように



鮮やかな翠に


やさしく包みながら




風のひと吹きごとに


空はまた一つ


秋めいて



夢見鳥がひらり


風に舞いながら



夕映えの丘に


咲いたリシアンサスの



花びらは


アメジストの色



蛍草はやわらかな


光を心に映して



やがて月明かりの


彼方に煌めく



雲は夜空を泳ぐ


ネオンテトラのように




星空と瞳のあいだに


光は溢れて



天の川を越えゆく


白鳥の背を追うように



北の夜空へと


羽ばたき上りゆく



カシオペヤ座の


星々の光




星空と瞳のあいだに


光は舞いながら



(そら)を遥かに


舞いゆく



夢見鳥のような


アキルドの星



金糸雀(かなりあ)の羽と


桔梗の花びらが



遥か幾星霜の


時空を染めながら




夏空の下で


あの日拭った額の汗も


あの時流れた頬の(しずく)



いくつもの


夜を越えながら



朝露のように


やがて煌めくその時を



見上げた彼方の


夜空には


アンドロメダ銀河



二百万光年の


遥かな時空さえ



真っ直ぐ駆け抜ける


光があるのなら



心という


はてしない銀河を



駆ける夢という


光も、きっとあると




陽のあたる坂道を


上りゆく景色に



夢見鳥がひらり


明日の風に舞いながら



やがて夜空を


舞いゆく


カシオペヤの星



はてない夢は、


星空と瞳のあいだに






















カシオペヤ座は、神話の王妃が由来で、5つの明るい星が羽ばたくようなWの形をなし、9月頃から北の夜空へ上がります。中心近くのアキルドは、金色と紫色に見える二重星です。


この星座の東にある淡い光はアンドロメダ銀河で、「目で見える最も遠い天体」とされ、200万光年を越える彼方にあるとされます。


彩月いろどりづきは9月、夢見鳥は蝶、蛍草ほたるぐさ露草つゆくさの別名です。リシアンサスは、トルコキキョウとも呼ばれる紫の花で、花言葉は「希望」「優美」です。


季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] タイトルの夢見鳥も彩月も素敵な言葉ですね。 地上の風物から夜空の銀河へ、広がりに開放感があります。 「心という はてしない銀河を 駆ける夢という 光も、きっとあると」のところが特に素敵だと…
[良い点] 「光の中で踊る 葉たちはまるで もぎたての シャインマスカット」が今回特にお気に入りのフレーズでした。 美しい黄緑色とその新鮮さが共に感じられて素敵ですね。 秋の訪れるを感じる素敵な詩でし…
[良い点] >夏空の下で あの日拭った額の汗も あの時流れた頬の滴しずくも いくつもの 夜を越えながら この部分がまた好きです。 秋の風に乗って、舞う蝶々に ほら、空をみてごらん? と言われている気…
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