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同胞よ、太陽へ自由へ

その日の午前4時、ブーフェルト強制収容所は今までにないほど騒がしかった


辺り一面から叫び声が聞こえる


ナターリア達はジーナ達と合流し、解放された獣人を誘導していた


「早く!この先の海岸に向かって走って!早く!」


「押さないで!危ないわよ!ちょっと!」


体力がある捕虜は我先にと押しのけて走っていく

衰弱したものはフラフラしながら歩き、倒れてもがいているものもいた


「くっ…人手が足りない…!」


「こちらジーナ!カイン!人手が全然足りないわよ!ほとんどの人はまともに動けないわ!どうすればいいの!」

ジーナが怒鳴り立てた


「こちらカイン! 今そちらに突撃隊が向かってる!収容所の掃討はもうすぐ終わる!しばらく持ち堪えてくれ!」


「…!分かったわ!やるわよ!イーナ!」


「はい!」


ジーナ達は無我夢中で逃げる人々を何とか誘導していた


………………………………………………………………


「よっしゃ!残るは中央棟だな!」

東棟を攻め落とした突撃隊は、最も大きな建物である中央棟に入ろうとしていた


「さっきの奴らで守衛は片付けたはずだ!残りを狩るぞ!」


「おう!」


ウルフェン達は中央棟の壁を駆け上り、屋上に到達した


屋上には換気のための扉が空いており、中が見えた

中では職員らしき者たちが怯えた様子で立てこもっていた


ウルフェンは隊員の1人に指示すると、隊員は手榴弾を投げ入れた 


爆音と煙と共に中は静かになった


「突入!」

40人の突撃隊は次々と建物内に侵入し、各部屋を制圧していった


「隊長!おかしな部屋を発見しました!」

階段の下から隊員の声が聞こえる


「なんだ!ハース!何を見つけた!」


「来てください!よく分かりません!」


急いで階段を降りると地下に到達した

ウルフェン達はその変わった部屋の全貌を見た

天井は低く、人の背丈ほどしかないが、レンガの壁と等間隔に並べられた小さな鉄の扉は異様な存在感を放っていた


「これは……」

ウルフェンが恐る恐る扉を開けると

中には何かの灰や煤が積もっていた


「焦げ臭い…動物が焼けたような匂いです…」


「……これは…焼却炉だ……」


「焼却炉?ゴミでも燃やしてたんですかね?」


「違う!死体を燃やしてたんだ!」

ウルフェンが炉に手を突っ込み白い枝切れのようなものを拾い上げた


人の橈骨らしき骨だった


「…な……!」

隊員達は絶句した


その鉄の扉は計30枚ほどあり、部屋の隅にはストレッチャーらしきものが幾つも立てかけられていた


「これが全て…人を…」


「だろうな…殺した奴らをここで燃やしてたんだ…」


隊員達はあまりにも無機質なその部屋で言葉を失うしかなかった


「すると…同胞達も……」


「言うな!!今は任務に集中しろ!」

狼狽える隊員にウルフェンは一喝した


「ここには誰もいない!早く中央棟を制圧して、合流するぞ!」


「「「はい!」」」

隊員達は無理矢理にも頭を切り替えてウルフェンに続いた…



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